わたしに触れないで

結丸

最悪な人(脚本)

わたしに触れないで

結丸

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〇ホテルのレストラン
爪紅 覚「美味しいか?」
爪紅 栞「うん」
爪紅 覚「良かった」
爪紅 栞「そういえば、華奈子さん元気?」
爪紅 覚「ああ、元気だよ」
爪紅 栞「うまくいってるの?」
爪紅 覚「うん? まぁ、うまくいってると思うけど──」
爪紅 栞「セックスも?」
爪紅 覚「なっ・・・!!」
爪紅 栞「ねぇ、答えてよ・・・ 最近いつシたの?」
爪紅 覚「やめなさい、栞。 こんな場所でする会話じゃない」
爪紅 栞「じゃあ他の場所ならいいの?」
爪紅 覚「そ、そういう訳じゃ──」
爪紅 栞「私、心配なの。 お兄ちゃんが遠慮してるんじゃないかって」
爪紅 覚「えっ・・・」
爪紅 栞「お兄ちゃんって優しいから・・・ 子供作らないのかなって」
爪紅 栞「私が出来なくなっちゃったから」
爪紅 覚「・・・っ」
爪紅 栞「図星?」
爪紅 覚「いや、俺は・・・」
爪紅 栞「お兄ちゃん」
  栞はテーブルの下で覚の手を握った。
爪紅 栞「私は大丈夫だから。 お兄ちゃんはお兄ちゃんで、幸せになって」
爪紅 栞「せっかく結婚したのに、 華奈子さん可哀想よ」
爪紅 覚「・・・優しいな、華奈子は」

〇おしゃれなリビングダイニング
爪紅 華奈子「・・・・・・」
覚の声「ただいまー」
爪紅 覚「あれ、今から食事?」
爪紅 華奈子「ん・・・ 作ったんだけど、なんか食べれなくて」
爪紅 覚「体調悪いのか? 片付けとくから、早めに寝たほうが──」
爪紅 華奈子「どこ行ってたの」
爪紅 覚「取引先との食事会だけど・・・ 伝えたよな?」
爪紅 華奈子「取引先ね・・・」
  華奈子は立ち上がり、
  覚のスーツに顔を近付けた。
爪紅 覚「華奈子・・・?」
爪紅 華奈子「随分と甘い香りがする人なのね」
爪紅 覚「・・・・・・」
爪紅 華奈子「ごめん、寝てくるね」
爪紅 覚(あの様子じゃきっと 気付いてるんだろうな・・・)
爪紅 覚(心配させないように嘘をついたつもりが、 逆効果だったか・・・)

〇豪華なベッドルーム
爪紅 華奈子(あーあ・・・ あんなこと言うつもりじゃなかったのに)
爪紅 覚「華奈子・・・寝た?」
爪紅 華奈子「ん・・・」
爪紅 覚「・・・・・・」
  覚は華奈子の頬に触れた。
爪紅 覚「身体、辛い?」
爪紅 華奈子「・・・・・・」
爪紅 覚「・・・キスしてもいいかな」
爪紅 華奈子「えっ」
爪紅 覚「やっぱり起きてた」
爪紅 華奈子「ちょ、ちょっと・・・!」
爪紅 覚「ごめんごめん。 でも、キスしたいのは本当だから」
爪紅 華奈子「もう・・・ そんなの、いちいち聞かなくていいのに」
爪紅 覚「ん・・・」
  覚は微笑み、華奈子にキスをした。
  やがて覚の手は華奈子の身体の輪郭を
  なぞり始めて・・・
爪紅 華奈子「・・・んっ・・・」
爪紅 覚「出来れば昨日のリベンジも したいんだけど・・・いい?」
爪紅 華奈子「リベンジって・・・ やだ、覚ったらどうしたの?」
爪紅 覚「栞に心配されちゃってさ」
爪紅 華奈子「──っ」
爪紅 覚「そろそろ子供のこととか ちゃんと考えようと思って」
爪紅 華奈子「何それ・・・」
爪紅 覚「え?」
爪紅 華奈子「栞ちゃんに言われたからするの?」
爪紅 覚「そんなつもりじゃ・・・」
爪紅 華奈子「・・・気持ち悪い・・・」
爪紅 覚「何だよ、それ・・・ 栞は俺達のことを心配して──」
爪紅 華奈子「心配なら何を言ってもいいの? 妹が兄夫婦の夜の営みに口出ししても いいわけ?」
爪紅 覚「別に、栞はそういうつもりじゃ──」
爪紅 華奈子「もういい。 今日は・・・別の部屋で寝るから」
爪紅 覚「・・・はぁ・・・」

〇女性の部屋
爪紅 栞「・・・ちょっと派手かしら」
  栞は姿見に映る自分を見て呟いた。
爪紅 栞「でも、意外とお兄ちゃんってこういうのに 弱そうだし・・・」
爪紅 栞「万が一のときのために、 あったほうがいいわよね」
爪紅 栞「あ・・・噂をすれば」
爪紅 栞「もしもし? どうしたの、こんな時間に──」

〇おしゃれなリビングダイニング
  ──翌朝。
爪紅 覚「・・・おはよう」
爪紅 華奈子「おはよう」
爪紅 覚「華奈子、昨日は──」
爪紅 華奈子「コーヒー、飲むよね?」
爪紅 覚「・・・・・・」
  覚は立ち上がり、華奈子の手を掴んだ。
爪紅 華奈子「っ、何?」

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