幸せのハリボテ

komarinet

第九話 名前(脚本)

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〇ビジネスホテル
「・・・」
「・・・」
栄田 栞里「堀田さん!」
堀田 晴臣「落ち着いて下さい」
堀田 晴臣「奴らがご主人の手の者なら、 あなたを傷つけることはないはず」
堀田 晴臣(故に、今出来る策はこれしかない!)
堀田 晴臣「栄田さん。 先に謝っておきます。すみません」
栄田 栞里「えっ!?」
栄田 栞里「きゃっ!」
堀田 晴臣「動くな! 動けば彼女の命は無いぞ!」
梶 弘樹「おっ、いたいた!」
梶 弘樹「どういうカラクリだか知らないが すっかり出し抜かれたよ」
梶 弘樹「流石は魔法使いってとこか?」
堀田 晴臣「くっ、あいつも戻ってきたか」

〇オフィスのフロア
梶 弘樹「取締役、『魔法使い』のやつを囲みました」
栄田 駿「ご苦労様」
梶 弘樹「バックアップまでしてもらって 申し訳ありません」
栄田 駿「なんの。二手三手先を読むのは ビジネスの常識だよ」
栄田 駿「上司である僕がフォローするのも 当然のことさ」
梶 弘樹「取締役。実は今、奥様がやつの人質に 取られているのですが・・・」
栄田 駿「あっはっは。そりゃブラフだよ 栞里を傷つけても彼にメリットはない」
栄田 駿「気にせず奴を捕らえてくれていいよ」

〇ビジネスホテル
梶 弘樹「あのナイフはブラフだ。 彼に彼女を傷つけることはできない」
梶 弘樹「とっとと捕らえろ!」

〇ビジネスホテル
堀田 晴臣(くっ、これまでか!)

〇ビジネスホテル
駿の部下たち「おい、何だあの車! こっちに突っ込んで来るぞ!」

〇車内
浜 伊織「ロン! あれ!」
初刷 論(はつずり さとし)「見えてるって。うわー、20人はいるぞ」
浜 伊織「どうすんの?」
初刷 論(はつずり さとし)「決まってるだろ。このまま突っこむ」
浜 伊織「アンタ馬鹿ァ? 何人轢くつもり!? 一発でムショ送りよ!」
初刷 論(はつずり さとし)「大丈夫。伊達に走り屋やってねぇよ」
初刷 論(はつずり さとし)「あの背の高いおっさんの横、 通れると思わねぇ?」
浜 伊織「通れるわけないでしょ!」
初刷 論(はつずり さとし)「ドリフトすっから、捕まってろよー」
浜 伊織「バカバカバカ!! 無理無理無理無理っ!!」

〇ビジネスホテル
駿の部下たち「おい! そっち行ったぞ! 避けろぉぉぉ!!」
「うわあああああっ!」
(誰にも接触せずに停車した!?)
(なんて運転技術だ!)
浜 伊織「所長、こっちです! 早く!」
堀田 晴臣「浜くん!? すまん、助かった!」
堀田 晴臣「栄田さん、乗ってください!」
栄田 栞里「あわわわっ、は、はいっ!」
梶 弘樹「マジかよ。逃げられちまった」

〇商業ビル

〇オフィスのフロア
栄田 駿「うん、うん。そうか まあ、仕方ない」
栄田 駿「怪我人はいないんだろ? じゃあ、別に構わないよ」

〇黒
栄田 駿(あの状況を覆すか)
栄田 駿(さすが”魔法使い”の名は伊達じゃないね)
栄田 駿(栞里の携帯モニターも切れた)
栄田 駿(凄腕のエンジニアも抱えてるか)
栄田 駿(・・・)

〇炎
栄田 駿(10年・・・)
栄田 駿(僕はずっと待ち続けていたんだ!)

〇高い屋上
佐伯 栞里「────」
栄田 駿「あの日の屈辱を 僕は一日だって忘れたことはない!」

〇オフィスのフロア
栄田 駿(彼女の幸せに終わりを告げるのは)
栄田 駿(この僕でなきゃならないんだ!)
???「取締役。アポイントのお客様がお見えです」
栄田 駿「了解! すぐ行くよ!」

〇高速道路

〇走行する車内
浜 伊織「はい、どうぞ。 もう一つの携帯監視ソフトは除きましたよ」
栄田 栞里「あ、ありがとうございます」
栄田 栞里「えっと・・・」
浜 伊織「ああ、そうか。はじめましてですよね」
浜 伊織「堀田の部下で浜と言います」
栄田 栞里「あ、そうなんですね。 お世話になっております。栄田と申します」
浜 伊織「ええ、存じ上げております」
堀田 晴臣「うーむ。しかし迷うね」
堀田 晴臣「助かったよと言うべきか。 君たちの命令違反を咎めるべきか」
浜 伊織「んなもん、前者に決まってるでしょ」
浜 伊織「勝手に一人で突っ込んで、 自滅しかかってましたからね」
初刷 論(はつずり さとし)「いや本当、所長が追い込まれるなんて 相当ですよね」
浜 伊織「あんたはいいから前向いて運転してて。 あと尾行も警戒するのよ!」
浜 伊織「全く、うちの男どもは。 どいつもこいつも!」
堀田 晴臣「ところで君たち どうやってここが・・・あっ!」
堀田 晴臣「病院の時だな?」
浜 伊織「止めたって行くのはわかってましたから」
堀田 晴臣「いや、そうは言うけどね。 彼らは本当に危ないんだよ」
堀田 晴臣「巻き込んでしまったからには 一緒に動くより他ないけどね」
浜 伊織「ま、今は大丈夫だと思いますよ」
浜 伊織「奥さんの乗ってる車に突貫してくるほど あいつら馬鹿じゃないでしょ」
浜 伊織「それより、はい。所長これ」
堀田 晴臣「なんだい、これは・・・」
堀田 晴臣「あっ! 浜くん君ねぇ!」
浜 伊織「区役所のデータベースから拾った 栄田 駿の戸籍データです」
浜 伊織「どうせ非合法な情報屋から 買うつもりだったんですよね?」
浜 伊織「コストカットですよ」
栄田 栞里「それ、まさか!」
浜 伊織「そう。あなたのご主人の過去が 明らかにされる書類です」
浜 伊織「所長。見せてもいいんですよね?」
堀田 晴臣「もちろん。彼女には知る権利がある」
栄田 栞里「・・・」
栄田 栞里「あ、あの・・・これ」
浜 伊織「ああ、ここが名前変更の履歴。 つまり、栄田駿になる前ですね」
栄田 栞里(そんな・・・!)

〇高い屋上
???「────」
栄田 栞里(忘れるはずない)

〇走行する車内
栄田 栞里「足立 雄輔。 これが駿の、本当の名前」
堀田 晴臣「心当たりが?」
栄田 栞里「え、ええ。高校の・・・同級生です」
堀田 晴臣「差し支えなければ、 ご関係などお伺いしても?」
栄田 栞里「あ、ええ。その、高校の頃の話ですが 彼に告白されたんです」
栄田 栞里「その時は付き合ってる人もいたし、 お断りしちゃいましたけど」
堀田 晴臣「なるほど。その後彼は? あなたのストーカーになったり?」
栄田 栞里「まさか。ギクシャクはしましたけどね」
栄田 栞里「同じクラスだったので元々お話は してたのですけど」
栄田 栞里「最後半年くらい会話が無いまま 卒業してしまいました」
堀田 晴臣「そうですか。 答えにくいことをありがとうございました」
浜 伊織(・・・)

〇高速道路

〇セルリアンタワー東急ホテル
栄田 栞里「ここで大丈夫です ありがとうございました」
堀田 晴臣「ひょっとしたらまた尾行とかは 付くかもしれません」
堀田 晴臣「あなたに直接的危害が 加わることはないとは思いますが」
堀田 晴臣「どうかお気をつけ下さい」
栄田 栞里「ええ、わかりました」
堀田 晴臣「また、新たな情報がわかりましたら 何らかの方法でお伝えします」
栄田 栞里「はい、よろしくお願いします」
堀田 晴臣「それでは、また」

〇車内
堀田 晴臣「・・・」
初刷 論(はつずり さとし)「彼女、これからどうするんですかね」
堀田 晴臣「さあ。僕らの仕事は調査をして 依頼人に伝えること」
堀田 晴臣「彼女がどうなるかまでは 僕らの責任ではないよ」
初刷 論(はつずり さとし)「出ましたね。いつもの台詞」
堀田 晴臣「依頼人にいちいち感情移入してたら この仕事は務まらない」
堀田 晴臣「だけど──ひとつ言うなら」
堀田 晴臣「彼ら、自分たちが栄田の手の者だって 一言も言ってはいないんだ」
初刷 論(はつずり さとし)「え? じゃあ通りすがりのヤバい人たち?」

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次のエピソード:第十話 高校時代【前編】

コメント

  • 栞里にはどんな事情が?二人の学生時代とは?気になる気になる!
    ちなみに少年時代を出されると愛着3割増になってしまう癖なので、駿の株が上がってしまいました。どうしよう。

  • 名前を変えるほど、相当な恨みを持ってそうだし、栞里も栞里でやっぱり怪しかった……!

  • え、栞里もなんか抱えてる? あの笑み怖い……Σ(゚口゚;
    そして堀田チーム最高じゃないですか!! いいですね、パワーバランスとか役割が。
    堀田所長の声は、私の最推し声優の樫井笙人さんに演じていただきたい!!

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