超美人、超能力探偵、超絶体絶命!

刀神凛太郎

エピソード11(脚本)

超美人、超能力探偵、超絶体絶命!

刀神凛太郎

今すぐ読む

超美人、超能力探偵、超絶体絶命!
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇貴族の応接間
天上美月「逢わせてください、翔くんに」

〇地下に続く階段
天上美月(・・なんて言うべきじゃなかったかも)
天上美月(嵐の夜に、シリアル・キラーが潜んでる 地下牢へ降りていくなんて)
天上美月(怖すぎる!)
菊梁善意「だ、大丈夫ですよね? 逃げ出して襲ってきたりしないですよね?」
天上美月「ちょっと 刑事がビビってどうすんのよ!」
天上美月(とりあえず、自分のことは棚上げ、棚上げ)
高天神美音子「ご心配なく。 ただの座敷牢じゃありませんから」
高天神美音子「閉じ込めた人間を逃さないカラクリが 何重にも施された」
高天神美音子「複雑怪奇な迷路構造の 絶対開かずの座敷牢なんです!!」
高天神美音子「出るには何段階もの複雑な手順があって 脱出はほぼ不可能!」
菊梁善意「で、でも、閉じ込められたひとが 脱出手順を知ってたら?」
天上美月「あるいは試行錯誤の末に 正解を導きだしたら?」
天上美月「彼には十分な時間がありましたよね?」
高天神美音子「翔には無理。 あの子は前向性健忘なんです」
天上美月「短期間で記憶がリセットされてしまう 脳の障がいですか?」
高天神美音子「ええ。15分しか記憶を残せないんです」
菊梁善意「それって、もしかして逮捕のときに 撃たれて転落したせいで?」
高天神美音子「あ、お気になさらずに。 翔の自業自得なんで♪」
天上美月(身内のことを、そこまで言う?)
天上美月「じゃ、翔くんは 座敷牢から出られないんですね」
高天神美音子「事件の前、 翔はこの座敷牢のことを知りませんでした」
高天神美音子「彼が脱出方法を覚えることは もう永遠にありません」
天上美月「だけじゃなく もしかして座敷牢にも死の罠が?」
高天神美音子「察しがいいですね。あたし、だんだん あなたのことが好きになってきちゃった」
高天神美音子「もちろんジタバタしなければ安全です。 高天神家の人間なら承知していることです」
天上美月(覚えていられなくても 複雑な脱出手順も、メモはできる)
天上美月(けれど死の罠がある以上 試行錯誤で確かめるのはハイリスク)
天上美月(彼女が安心しているのは、そのせいね)
菊梁善意「音楽堂もそうですけど なぜ危険な罠を除去しないのですか?」
高天神美音子「どうやって除去すればいいか 誰も正解を知らないからです」
高天神美音子「この屋敷は、 戦国時代から改修を繰り返してきました」
高天神美音子「代々の当主が防備を強化するために 新たな仕掛けを加えたんですけど」
高天神美音子「敵に知られるおそれがあるので 文書のかたちでは残しませんでした」
天上美月「じゃあ 一子相伝の口伝にでもしたんですか?」
高天神美音子「そう! そうなのよ! 口伝で言い伝えるスタイル」
高天神美音子「けれど、代々積み重なって口伝も 覚えきれないぐらい膨大な量になり」
高天神美音子「さらに当主や後継者が 急死するケースが相次いで」
高天神美音子「口伝の一部は失われて わからなくなっちゃった、というわけ」
高天神美音子「しかも、カラクリは複雑に連動してるから とっても厄介なの!」
高天神美音子「ある仕掛けを解除しようとしたら 別の仕掛けが発動したりとか」
高天神美音子「明治以降でわかってるだけでも、職人や 一族の十数名が事故で亡くなったそうよ」
菊梁善意「ニッチもサッチもいかない感じなんですね」
高天神美音子「まあ、屋敷ごと ぶっ壊すしかないんじゃないか、って」
  ふいに美音子は立ち止まった。見ると、
  壁からラッパのような筒が突き出している
天上美月「これって伝声管ですか?」
  伝声管とは、通話用の金属製の管だ
  糸電話のようなシンプルな原理で
  離れた場所にいる人同士が会話できる
  昔は船などに取り付けられて
  船内の各部署の連絡用に使われていた
高天神美音子「古臭いでしょ? 明治の初めごろに設置されたんだって」
高天神美音子「まあ、これでも用は足りるし さっき話したように改造は危険だから」
菊梁善意「そのまま使ってるってことですか?」
高天神美音子「ええ。これで翔に呼びかけます。 直接会うのはリスキーだから」
高天神美音子「翔! 起きてる? あたしよ、美音子」

〇屋敷の牢屋
  高天神翔は、座敷牢の中にいた
高天神美音子「翔! 起きてるなら返事して」
高天神翔「やあ美音子姉さん、久しぶり ・・っていうべきかな?」
高天神翔「僕の記憶では昨日会ったばかりだけど あれからずいぶん時間がたったんだろう?」
高天神美音子「8年よ、あれからね と言っても、忘れちゃうわよね」
高天神翔「らしいね。いましがた読んだ、自分からのメモにそう書いてあった」
高天神美音子「でも8年間は覚えていなくても 8年前に自分が起こした事件のことは」
高天神美音子「ちゃんと覚えてるわよね?」
高天神翔「姉さん、昔話をしに来たのか? その間に誰と話してるのか、忘れちまうぜ」
天上美月「翔くん、初めまして。私は天上美月。 事件の捜査でお邪魔している諮問探偵よ」
高天神翔「探偵? 事件? なんの?」
天上美月(自然に考えれば彼は事件のことは知らない はずだけど、本当にそうかしら?)
天上美月(誰かに教えてもらい それを自分宛てのメモに残していれば)
天上美月(いま現在「知ってる」可能性はある)
天上美月(あるいは、なんらかの方法で この座敷牢を脱出して)
天上美月(犯行後に戻ってきて、あえて自分を 無知の状態にしている可能性も・・・)
高天神翔(事件って・・・俺の△※◯・・学校で・・ 違う□●*・・・別の?)
天上美月(座敷牢までかなり距離がある。 翔の思念は途切れ途切れにしか読めない)
高天神美音子「殺されたのよ!!」
天上美月「美音子さん!!」
高天神翔「殺された・・って?」
高天神翔(伯父さん? 多聞兄さん? それとも◯▼※$、いや□*●◎?)
天上美月(ダメだわ。ノイズが入って 思念がクリアに読み取れない)
天上美月(けど、事件のことは知らないみたいね。 まあ状況から考えて当然なんだけど)
高天神翔「わかった! 殺されたのは梨香子姉さんだろう?」
高天神翔「あの人が殺されるのは当然だからな」
天上美月(え? 何言ってるの? 殺されるのが当然って、どういうこと?)
  ~ 次回へ ~

成分キーワード

ページTOPへ