40(脂重)

72

街コンって(脚本)

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〇綺麗なリビング
  体重が少し落ちた事で、以前よりも前向きな気持ちになった。恋愛に対しても
  とはいえ、日々の生活ではこれと言って出逢いがない。だからここまで独り身が続いているのだと、自分にも言い訳をしている
  街コン。昔はそんなものはなかった。お見合いというのは聞いた事があるけれど
  お見合いはテレビで見たイメージでしかない。勝手だけど、良いイメージは無い。あくまでも勝手だけど

〇広い和室
  正装をして、格式高そうなお店でお話をする。その前には写真が送られてくるんだったっけかな
  仲人さんという人がいて、写真や相手の経歴の説明を受けて、会うか会わないか決めるのだとか
  現代人は街コンサイトや、ゲーム感覚でマッチングアプリなどを利用する人もいる
  仲人さんが間に入るお見合い。写真では断れても、現地まで行ったら断れるのだろうか
  そもそも仲人さんって言う人が何か怖い。地域の有権者みたいな感じだし
  そう考えると街コンは、企業が間に入るのだから安心だ

〇綺麗なリビング
  ちなみに街コンは、初めてどころかこれまで検索すらした事がない。
  離婚をしたのはかなり前。それ程揉めた離婚でもなかったが、その前後のストレスはかなりのものだった
  再婚願望はあったが、何せ生活の立て直し一つとっても意外としんどかった
  お互いが納得した離婚でも、一つの家から一人が出て行けば、家電やその他の物を公平に分ける必要がある
  つまりその補充の分だけまたお金はかかる。だから生活の立て直しには、思いの外時間を使ってしまった
  再婚を望む事は別に特別なことではない。さらに今は婚活をするのにも便利な時代となっている
  体重も落ちてきている私。行動に移すなら今しかないと思った

〇綺麗なリビング
  さっそくスマートフォンを起動して、インターネットで街コンについて調べた
  街コンはとても簡単に検索できた。ただ思いの外、情報が多かった事に驚いた
  開催場所、時間帯、年代別、離婚者経験者専用、などなど
  自分の年代、離婚歴あり。その条件だけでも一ヶ月の間にそこそこの回数が開催されていた
  ちょっと驚いたのは値段設定。金額は企画によって様々だけど、お高めな男性に比べて、女性はかなりの低価格で参加が出来ること
  なんだか気軽に参加出来そうだ

〇綺麗なリビング
  初めてで分からない事だらけだけど、開催場所は、自分の家と職場のラインから逆方向に離れた場所が良い
  遠すぎるのは交際するのに非効率だけど、近すぎると知り合いに会いそうな気がして、何か抵抗を感じたから
  とりあえず消去法を行い、一つの街コンに申し込んでみた
  自宅から電車で約40分。そこそこ栄えている地域の場所で行われる街コン
  街コンには趣味コンなど、楽しみながら行われるような狙いのものもあったが、初心者なので最もシンプルなものを選んでみた

〇綺麗なリビング
  翌朝目が覚めると、昨日行った申込みが少し心の中で重くなっていた。なんだか夜中ノリで、ネット注文をしたような気分に似ている
  そういえば、学生時代に国語の先生が話していた事を思い出した
国語の先生「手紙を書く時は、夜中を避けた方がいいんだよ」
国語の先生「夜中に書いた手紙を朝になって見ると、恥ずかい内容になっている事があるから」
  ネット社会になった今でも、夜中誰かに送った言葉に、翌朝後悔する事は割と多い
  今回の場合、参加を申し込んだ事にはあまり後悔していないが、日付を一週間後の日曜日にした事は、完全に夜中のノリだった
  とはいえ潔く、昨晩の自分の勇気と決断も受け止める事にした

〇駅のホーム
  仕事に行くため、家を出ていつも通りの電車に乗る
  街コンに申し込んでからは、変に男性を見てしまうようになってしまった
  あんな人だったら良いかなぁ、あの人は若いのに髪の毛薄いなぁ、あの人は体重管理が出来ていない
  人様に対してなんとも失礼な事だけど
  どうでもいい事を色々と考えながらも、久々にドキドキしていた

〇大きいデパート
  街コン当日、現地に到着。大きなビルの中の一室で行われるようだった
  少し早く着いたので、とりあえずそれとなく会場を散策
  大きなビルの中には、洋服屋さんや雑貨屋さん、飲食店まで入っていた
  たくさんの人達がいる中、同じくらいの年代の人を見かけると、参加者かと思い、男女問わずにドキドキしていた

〇施設の入口
  会場を一目見てから一旦スルー。「私は関係ない人」っていう感じで
  なんとなく受付っぽい人も確認出来た。後は・・・いつ入るか
  10分前だと早すぎる気がするし。5分前くらいが調度良いかも
  そう思いながらも受付に行ったのは、8分前くらい。10分を切ったら、自分の気持ちの間がもたなくなってきたのだ

〇休憩スペース
  中に入ると、いくつかのテーブルがセットされていた。
  すでに何人かの参加者が、テーブルに座っていた。顔を見たいが、見ればこちらも見られてしまう
  私は受付の人以外、誰とも目を合わせないようにしながら、手続きを行った

〇休憩スペース
  テーブルに据わると、専用の用紙に自分のプロフィールを記載する
  名前は当然だが、相性を感じさせるような星座、血液型など。さらには性格や職業などの情報
  自分を動物に例えると、どんな異性が好みかなど、とにかく細かい記載が求められた

〇休憩スペース
  プロフィールを書いている間にも、参加者らしき人と受付の人の声が聞こえてくる
  段々とドキドキが増す
  そしてついに、今回の「街コン」がスタートした

〇休憩スペース
  参加者の女性と男性には、それぞれ番号がついている。私は女性の2番。早く着いてしまっていたから
  今回の参加者は男性・女性がそれぞれ8人。各テーブルすでに男性・女性が着座している
  スタートとともにお互いのプロフィールカードを交わし、トークがスタート。5分話して一旦終了
  女性はそのまま着座して、男性は次の数字の女性のテーブルに移動する。そしてまた5分のトーク。これが繰り返される
  一周すると、良かった印象の人にメモを書く。それをスタッフが回収して、相手に渡す。それが終わると2周目がスタート
  行う事は同じだが、メモのやりとりが2周目の鍵となる。それが終わると、トークは終わり、相手を選ぶ
  マッチングすれば、皆に解らないように2人で会場を先に出ていく。残った人は不成立となり、一斉に解散となる

〇休憩スペース
  なので私はすでに、2番の男性と同じテーブルにいる。なんとも普通な人だけど中身をどうだろう
  目の前に相手がいる何とも言えない雰囲気が、変に緊張を誘う
  そしてスタート。プロフィールカードを交換。その内容を見ながら、お互い質問をし合う
  あっと言う間に5分は経つ。急いて別のメモ用カードに名前と自分なりの印象を書く。これを8回。さらに後半にもう8回行った
  8人の人、それぞれの個性はなんとなく解ったが、ときめきはあまりなかった。ただこの人はいい印象だなぁと思う人はいた

〇休憩スペース
  私は一周目の後、何人かの人にメモをもらっていた
  2周目はメモをくれた何人かの男性とも会うので、さらにドキドキした
  久しぶりに男性との会話を楽しんでいる私がいた

〇休憩スペース
  そしてあっと言う間に時間は過ぎていき、街コンは最後の結果発表へと移った
  一組目、二組目と呼ばれた後、そこで今回は終了となった
  この日の街コンでは、私は誰ともマッチングをしなかった

〇幻想
  実は最後にマッチングしたい相手の名前を書く時に、私は誰の名前も書かなかったのだ
  何人か良さそうな人もおり、思ってた以上に面白かった街コン
  わざわざ今日決めなくても、何回か参加していれば、街コンのようなものでも、運命的な出逢いがあるかもしれないと考えた
  ネットで見た時には、趣味コンなんてものもあった
  さて、今度は何婚に参加をしてみようかしら

次のエピソード:ラーメンが食べたくなった日に

コメント

  • 日々の生活も考え方も、もちろん肉体もかなりポジティブになり、街コンデビューですか!? 読んでいて見習いたくなってしまう展開ですね!

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