街コンって(脚本)
〇綺麗なリビング
体重が少し落ちた事で、以前よりも前向きな気持ちになった。恋愛に対しても
とはいえ、日々の生活ではこれと言って出逢いがない。だからここまで独り身が続いているのだと、自分にも言い訳をしている
街コン。昔はそんなものはなかった。お見合いというのは聞いた事があるけれど
お見合いはテレビで見たイメージでしかない。勝手だけど、良いイメージは無い。あくまでも勝手だけど
〇広い和室
正装をして、格式高そうなお店でお話をする。その前には写真が送られてくるんだったっけかな
仲人さんという人がいて、写真や相手の経歴の説明を受けて、会うか会わないか決めるのだとか
現代人は街コンサイトや、ゲーム感覚でマッチングアプリなどを利用する人もいる
仲人さんが間に入るお見合い。写真では断れても、現地まで行ったら断れるのだろうか
そもそも仲人さんって言う人が何か怖い。地域の有権者みたいな感じだし
そう考えると街コンは、企業が間に入るのだから安心だ
〇綺麗なリビング
ちなみに街コンは、初めてどころかこれまで検索すらした事がない。
離婚をしたのはかなり前。それ程揉めた離婚でもなかったが、その前後のストレスはかなりのものだった
再婚願望はあったが、何せ生活の立て直し一つとっても意外としんどかった
お互いが納得した離婚でも、一つの家から一人が出て行けば、家電やその他の物を公平に分ける必要がある
つまりその補充の分だけまたお金はかかる。だから生活の立て直しには、思いの外時間を使ってしまった
再婚を望む事は別に特別なことではない。さらに今は婚活をするのにも便利な時代となっている
体重も落ちてきている私。行動に移すなら今しかないと思った
〇綺麗なリビング
さっそくスマートフォンを起動して、インターネットで街コンについて調べた
街コンはとても簡単に検索できた。ただ思いの外、情報が多かった事に驚いた
開催場所、時間帯、年代別、離婚者経験者専用、などなど
自分の年代、離婚歴あり。その条件だけでも一ヶ月の間にそこそこの回数が開催されていた
ちょっと驚いたのは値段設定。金額は企画によって様々だけど、お高めな男性に比べて、女性はかなりの低価格で参加が出来ること
なんだか気軽に参加出来そうだ
〇綺麗なリビング
初めてで分からない事だらけだけど、開催場所は、自分の家と職場のラインから逆方向に離れた場所が良い
遠すぎるのは交際するのに非効率だけど、近すぎると知り合いに会いそうな気がして、何か抵抗を感じたから
とりあえず消去法を行い、一つの街コンに申し込んでみた
自宅から電車で約40分。そこそこ栄えている地域の場所で行われる街コン
街コンには趣味コンなど、楽しみながら行われるような狙いのものもあったが、初心者なので最もシンプルなものを選んでみた
〇綺麗なリビング
翌朝目が覚めると、昨日行った申込みが少し心の中で重くなっていた。なんだか夜中ノリで、ネット注文をしたような気分に似ている
そういえば、学生時代に国語の先生が話していた事を思い出した
国語の先生「手紙を書く時は、夜中を避けた方がいいんだよ」
国語の先生「夜中に書いた手紙を朝になって見ると、恥ずかい内容になっている事があるから」
ネット社会になった今でも、夜中誰かに送った言葉に、翌朝後悔する事は割と多い
今回の場合、参加を申し込んだ事にはあまり後悔していないが、日付を一週間後の日曜日にした事は、完全に夜中のノリだった
とはいえ潔く、昨晩の自分の勇気と決断も受け止める事にした
〇駅のホーム
仕事に行くため、家を出ていつも通りの電車に乗る
街コンに申し込んでからは、変に男性を見てしまうようになってしまった
あんな人だったら良いかなぁ、あの人は若いのに髪の毛薄いなぁ、あの人は体重管理が出来ていない
人様に対してなんとも失礼な事だけど
どうでもいい事を色々と考えながらも、久々にドキドキしていた
〇大きいデパート
街コン当日、現地に到着。大きなビルの中の一室で行われるようだった
少し早く着いたので、とりあえずそれとなく会場を散策
大きなビルの中には、洋服屋さんや雑貨屋さん、飲食店まで入っていた
たくさんの人達がいる中、同じくらいの年代の人を見かけると、参加者かと思い、男女問わずにドキドキしていた
〇施設の入口
会場を一目見てから一旦スルー。「私は関係ない人」っていう感じで
なんとなく受付っぽい人も確認出来た。後は・・・いつ入るか
10分前だと早すぎる気がするし。5分前くらいが調度良いかも
そう思いながらも受付に行ったのは、8分前くらい。10分を切ったら、自分の気持ちの間がもたなくなってきたのだ
〇休憩スペース
中に入ると、いくつかのテーブルがセットされていた。
すでに何人かの参加者が、テーブルに座っていた。顔を見たいが、見ればこちらも見られてしまう
私は受付の人以外、誰とも目を合わせないようにしながら、手続きを行った
〇休憩スペース
テーブルに据わると、専用の用紙に自分のプロフィールを記載する
名前は当然だが、相性を感じさせるような星座、血液型など。さらには性格や職業などの情報
自分を動物に例えると、どんな異性が好みかなど、とにかく細かい記載が求められた
〇休憩スペース
プロフィールを書いている間にも、参加者らしき人と受付の人の声が聞こえてくる
段々とドキドキが増す
そしてついに、今回の「街コン」がスタートした
〇休憩スペース
参加者の女性と男性には、それぞれ番号がついている。私は女性の2番。早く着いてしまっていたから
今回の参加者は男性・女性がそれぞれ8人。各テーブルすでに男性・女性が着座している
スタートとともにお互いのプロフィールカードを交わし、トークがスタート。5分話して一旦終了
女性はそのまま着座して、男性は次の数字の女性のテーブルに移動する。そしてまた5分のトーク。これが繰り返される
一周すると、良かった印象の人にメモを書く。それをスタッフが回収して、相手に渡す。それが終わると2周目がスタート
行う事は同じだが、メモのやりとりが2周目の鍵となる。それが終わると、トークは終わり、相手を選ぶ
マッチングすれば、皆に解らないように2人で会場を先に出ていく。残った人は不成立となり、一斉に解散となる
〇休憩スペース
なので私はすでに、2番の男性と同じテーブルにいる。なんとも普通な人だけど中身をどうだろう
目の前に相手がいる何とも言えない雰囲気が、変に緊張を誘う
そしてスタート。プロフィールカードを交換。その内容を見ながら、お互い質問をし合う
あっと言う間に5分は経つ。急いて別のメモ用カードに名前と自分なりの印象を書く。これを8回。さらに後半にもう8回行った
8人の人、それぞれの個性はなんとなく解ったが、ときめきはあまりなかった。ただこの人はいい印象だなぁと思う人はいた
〇休憩スペース
私は一周目の後、何人かの人にメモをもらっていた
2周目はメモをくれた何人かの男性とも会うので、さらにドキドキした
久しぶりに男性との会話を楽しんでいる私がいた
〇休憩スペース
そしてあっと言う間に時間は過ぎていき、街コンは最後の結果発表へと移った
一組目、二組目と呼ばれた後、そこで今回は終了となった
この日の街コンでは、私は誰ともマッチングをしなかった
〇幻想
実は最後にマッチングしたい相手の名前を書く時に、私は誰の名前も書かなかったのだ
何人か良さそうな人もおり、思ってた以上に面白かった街コン
わざわざ今日決めなくても、何回か参加していれば、街コンのようなものでも、運命的な出逢いがあるかもしれないと考えた
ネットで見た時には、趣味コンなんてものもあった
さて、今度は何婚に参加をしてみようかしら
日々の生活も考え方も、もちろん肉体もかなりポジティブになり、街コンデビューですか!? 読んでいて見習いたくなってしまう展開ですね!