伝説のブラジャー(脚本)
〇中東の街
ここは、とある世界のとある街、
藩都《ハント》────
〇闘技場
この藩都の闘技場で
繰り広げられる武闘大会。
優勝を目指す強者たちが、今、
この地に集まる──!
〇城の回廊
エリコ「・・・いよいよ武闘大会・・・」
エリコ「この大会に優勝すれば・・・」
エリコ「伝説のブラジャーが手に入り、 伝説のチャンピオン武裸者《ブラジャー》 になれるのよ!」
とてもややこしい!!
エリコ「この日のために、 血の滲むような努力をしてきたのよ」
エリコ「絶対に・・・優勝する!!」
「あら、そこにいるのは、 もしかしてエリコさんじゃなくて?」
エリコ「あなたは・・・ライバルのツキミ!!」
ツキミ「あなたも 伝説のブラジャーを求めてきたの?」
ツキミ「でも、残念ね」
ツキミ「伝説のブラジャーは、このツキミが! いただくわ!!」
エリコ「そんなこと・・・絶対にさせない! 優勝するのは、この私よ!!」
ツキミ「ふん、あのトーナメント表をご覧なさい」
ツキミ「私たちが闘うのは、決勝戦・・・」
ツキミ「せいぜい、 途中で負けないようにがんばることね」
エリコ「そのセリフ、 そっくりそのままお返しするわ」
モブ2「おお、A級武裸者のツキミだ・・・!」
モブ「あっちは、A級のエリコか!?」
モブ3「こりゃ、 この武闘大会、熱くなりそうだな!!」
〇闘技場
エリコ(一回戦は、B級武裸者のサヨリ・・・)
エリコ(B級だからって、 ナメてかかったらいけないわ)
エリコ「私は、常に全力でいく・・・!」
エリコ「衣 装 変 換 !! 《クロス・チェンジ》!!」
「武裸者の正服・・・勝負下着!!」
サヨリ「くっ・・・ 一回戦で黒のA級と当たるなんて・・・ ついてないわ・・・」
サヨリ「でも、私だってB級のトップよ!! 負けるわけには・・・いかないっ!!」
サヨリ「衣 装 変 換 !! 《クロス・チェンジ》!!」
「両者、構えて!」
「レディ・・・」
「ファイッ!!」
「おおっと、両者、同時に仕掛けた!!」
エリコ「フッ!!」
「A級エリコ選手の、凄まじい攻撃!」
「しかし、 B級サヨリ選手も負けていません!」
サヨリ「はあああっ!!」
「サヨリ選手、力強い蹴りです!」
「しかし、避けられたー!!」
サヨリ(攻撃が・・・当たらない!)
エリコ(今のはヤバかったわ・・・! 喰らってたらダウンだったかも・・・!)
「さあ、両者再び間合いを取ります!」
エリコ「悪いけど、ここで躓くわけには いかないのよ!」
エリコ「はああああああああああっ!!!!」
サヨリ「あぐっ・・・!!」
「おおーっと!! エリコ選手の怒涛の攻撃で、サヨリ選手 ダウーーーーン!!」
「ワン、ツー、スリー、フォー!」
エリコ(終わった・・・ 立てるはずないわ・・・)
「ファイブ、シーックス、セブン!」
「エイッ、ナーイン、」
サヨリ「くっ・・・ まだ・・・や、れ・・・」
「テン!!」
「勝者、エリコ選手ーー!!」
その後、
エリコは順調に勝ち進み──
残すはいよいよ
決勝のみとなった
〇闘技場
ツキミ「ふふふ・・・来たわね・・・」
エリコ「あ、あなた、そのクロスは・・・!」
エリコ「まさか、 禁断のS級に手を出したというの!?」
ツキミ「ふふ・・・ エリコ、あなたを倒すためにね・・・」
エリコ(S級になるためには、禁断の地へ赴き 修行する必要があるという・・・)
エリコ(ツキミ・・・あなたはそれほどまでに、 私のことをライバルと認めてくれていたのね・・・!)
エリコ「あなたの想いに応えるためにも・・・ 最初から、全力で行くわ!」
ツキミ「フフ、そうこなくちゃ」
「両者、構えて!」
「レディ・・・」
「ファイッ!!」
「両者、間合いを────」
「はあああああああああああっっ!!」
「と、取らないーーッ!! 両者、いきなり接近ーーッ!!」
「エリコ選手の攻撃を────!」
「ツキミ選手、この怒涛の攻撃をすべて 弾いて受け流しています!」
モブ「うおおおおお、 さすがS級になったツキミだ!」
モブ2「いや、エリコもすごいぞ!」
モブ3「さすが優勝候補の2人・・・!」
エリコ「はあ・・・はあ・・・」
エリコ(さすがね・・・ 一度もクリーンヒットしないわ・・・)
ツキミ「はあ・・・はあ・・・」
ツキミ(エリコ、また腕を上げたわね・・・ 攻撃のひとつひとつが重いわ・・・)
(でも・・・)
「負けられない!!」
ツキミ「ふっ・・・」
エリコ「ふふっ・・・」
ツキミ「スキありよ!」
エリコ「しまっ・・・」
エリコ「ぐっ・・・!!」
ツキミ(入った・・・!!)
「エリコ選手、ダウン!!」
ツキミ(勝った・・・!?)
ツキミ(いいえ・・・)
ツキミ(まだよ!!)
ツキミ「エリコ! あなたの力はそんなものなの!?」
ツキミ「もっと私を楽しませてちょうだい!!」
エリコ「くっ・・・無茶言うなぁ・・・」
「エリコ選手、立ちましたー!」
エリコ(いいのを喰らっちゃったわ。 ダメージが大きい・・・)
エリコ(あと1回・・・ あと1回だけなら・・・)
「エリコ選手、構えました! 戦意はあるようです!」
エリコ(ツキミの動きをイメージして・・・!)
エリコ「はあああああああああっ!!」
ツキミ「いつもと動きが違う──!?」
ツキミ(しまった・・・フェイント!?)
エリコ「渾身の────」
エリコ「一撃いいいいいいぃぃぃ!!!!」
「きゃあああああああっっ!!」
〇闘技場
「ツキミ選手、ダウーーーーン!!」
「ワン! ツー!」
ツキミ「カウントは・・・もういいわ・・・」
「えっ? しかし・・・」
ツキミ「私の負けよ・・・ もう、体が動かないわ・・・」
「ツキミ選手、戦意喪失────!」
「よって、勝者、 エリコ選手ーーーーーー!!」
エリコ「はあ・・・はあ・・・」
エリコ「か、勝った・・・」
エリコ「勝ったわーー!!」
ツキミ「エリコ・・・」
エリコ「ツキミ・・・本気で闘ってくれて ありがとう・・・」
ツキミ「ふふっ・・・」
ツキミ「あなたがS級に来るのを 楽しみにしているわ」
エリコ「いやー、そのクロスを着る勇気は、 まだないなー」
ツキミ「なんでよ!」
エリコ「あはははは」
「優勝したエリコさんには、 伝説のブラジャーが贈られます」
エリコ「こ、これが伝説のブラジャー・・・!」
エリコ「なんて神々しい純白なの・・・!」
エリコ「これで、私もチャンピオンなのね・・・!」
「ちょーーーーっと待ったぁ!!」
エリコ「だ、誰!?」
「おっとぉ、ここで乱入者のようです!」
ユキ「私は、武留魔《ブルマ》のユキ!」
ユキ「あなたに勝って・・・」
ユキ「私も武裸者になるわ!」
エリコ「あなたが・・・武裸者に!?」
ユキ「ええ。武裸者のあなたに勝てば、 私もクラスアップよ!!」
エリコ「ま、まってユキさん、 それは考え直した方がいいわ!」
ユキ「なぜ!? 私が弱いから!? やってみなければわからないわ!」
エリコ「あなたは・・・そのままでいいのよ!」
ユキ「ええっ? そのままでいいって・・・ どういうこと!?」
エリコ「あなたには、クラスに関係なく、 そのままで強くなってほしいの」
エリコ「だって・・・ 武留魔はそれはそれで需要があるの!!」
エリコ「なのに、すでに絶滅危惧種なのよ!!」
エリコ「あなたは、 武留魔のままで生きてほしいの!!」
ユキ「エリコさん・・・・・・」
ユキ「わかりました。 私、このまま強くなります!!」
ユキ「もっと強くなって、 正式にこの大会に出たら・・・」
ユキ「その時は、闘っていただけますか!?」
エリコ「ええ、もちろんよ! 受けて立つわ!」
ユキ「ありがとうございます! 私、がんばります・・・!」
「武留魔ユキ選手、ここで退場です!」
モブ「おおー! なんかよくわからんが、感動したぞ!」
モブ2「さすがチャンピオンだ!」
エリコ「ふー。無駄に闘いたくはないものね」
エリコ「さて、 これで伝説のブラジャーを堪能でき──」
「ちょっと待ったぁ!!」
「おっとぉ、今度はなんだ!?」
???「俺は!! 武離異夫《ぶりいふ》のテツオ!!」
エリコ「ぶ、ブリイフ!?」
???「今度は、俺が相手だ!!」
「しかし、 あなたは武離異夫ではありませんか・・・」
「彼女は、A級武裸者ですよ!? 勝てる相手ではありません!」
テツオ「勝てる、勝てないじゃねぇ・・・」
テツオ「やるか、やらないかだ!!」
テツオ「そして、俺はやる!!」
テツオ「もう、武離異夫だと馬鹿にされるのは コリゴリなんだ!!」
テツオ「そして俺はそいつに勝ち・・・」
テツオ「伝説の憤怒士《ふんどし》に クラスアップする!!」
エリコ「で、伝説の・・・」
「憤怒士!?」
テツオ「そう・・・ここにあるんだろ? 伝説のふんどし・・・」
テツオ「そいつを手に入れれば、 俺は憤怒士にクラスアップできるんだ!!」
エリコ「ええー? 今日は武裸者の大会よ? 伝説のふんどしなんて、あるわけが──」
「たしかに! たしかーーに! ここに伝説のふんどしはあります!」
エリコ「いや、あるんかい!!」
テツオ「おお・・・!」
エリコ「いや、『おお』じゃねーわ!」
エリコ「この大会の優勝者は私! もう決まったの!」
エリコ「それに、今は武裸者の大会! 武離異夫さんは参加できないの!」
テツオ「武離異夫言うな!! 俺はテツオだ!!」
「うーん、そうですねぇ・・・ コンプライアンス的にもアレですし・・・」
「武離異夫の大会は、 また今度ということで・・・」
テツオ「そ、そんな・・・俺は憤怒士に なれないと言うのか・・・!?」
エリコ「いや、なれないとは言ってないけど、 大会は毎年あるわけだし」
「そうですね。来年は、武離異夫と憤怒士の トーナメントも視野に入れましょう」
テツオ「来年・・・」
テツオ「来年こそ、貴様に勝って憤怒士に なってやるからな!!」
「え、えー・・・ 武離異夫のテツオさん、退場致しました」
エリコ「・・・・・・・・・・・・」
エリコ「まさか、 憤怒士なんてクラスがあるとは・・・」
エリコ「とにかく」
エリコ「私は、チャンピオン武裸者エリコ!!」
エリコ「腕に覚えのある武裸者は、 かかってらっしゃい!」
エリコ「来年、ここで待っているわ!!」
かくして、武闘大会は幕を閉じた──
つづ・・・かない!!
あまりにもハイレベルな作品に震撼しました。
天才的だと思います。
大真面目にこれを考えているなこさんが好き!
禁断のS級クロスがどことなくS仕様なのも好きですw
そして武裸者というパワーワード。それを巡って繰り広げられる女性達の闘いに謎の感動を覚えます!
「憤怒士」強そう…。
後半のボケまくりのキャラたちへのエリコのツッコミが、流石のチャンピオンでした。
ブラジャーだけでも当て字にすると面白いのに、フンドシまであるのがスゴイ!
こーゆー作品が大好物なんで、続いてほしいです。