二十話 決戦(脚本)
〇諜報機関
中井 雛「あれは・・・!! 紗枝さん、晶くんの体はどうなっているの!?」
日谷 紗枝「・・・私は黒沼さんの体の9割を、ギャラジーへと変化させる薬を開発しました」
日谷 紗枝「恐らく、人間の体に収まりきらないギャラジーの一部が、黒沼さんの体から発現した」
中井 雛「そ、それじゃあ・・・!! 晶くんの体はもう元に戻らない!?」
中井 雛「彼の元々の形状ですら、もう戻すことはできないってこと・・・!?」
日谷 紗枝「・・・申し訳ございません」
日谷 紗枝「でもこうすることでしか、あのギャラジーは倒せない!先生も見たでしょう!?」
日谷 紗枝「対ギャラジー用爆発物や対ギャラジー用銃器でも敵わなかったんですよ!?」
中井 雛「・・・っ」
どきなさい!!
私には入る権利があるわ!
中井 雛「こ、この声は・・・!」
研究員「そ、それでもあなたは安静にしろと言われて・・・」
知らないわよ!!
さっさと退きなさい!!
渋屋 杏「せ、先生・・・どういうことなんですか!」
渋屋 杏「黒沼は今どこにいるんですか!? 何をしているんですか!?」
中井 雛「あ、杏ちゃん・・・ 晶くんは・・・」
日谷 紗枝「渋屋さんは知らなくても問題ありません」
渋屋 杏「ッ、どうして!? 私が役に立たないエージェントだから!?」
渋屋 杏「私が期待外れのエージェントだから、もう用済みってわけ・・・!?」
日谷 紗枝「違います!!」
日谷 紗枝「黒沼さんが戦うと決めたのは、彼があなたをもう苦しませたくないと思ったからです!」
日谷 紗枝「今あなたが黒沼さんの場所に行って、あなたが命を落としたら・・・!!」
日谷 紗枝「それこそ、何よりも黒沼さんが望まないことです!!」
渋屋 杏「そんなの、あなたに言われたって納得できません!」
中井 雛「・・・確かに、紗枝さんの言う通りかもしれない」
渋屋 杏「え・・・!?」
〇化学研究室
中井 雛「晶くん、沙耶さんを信じちゃダメ。 沙耶さんはまた、晶くんから何かを奪うよ」
中井 雛「次は・・・杏ちゃんかもしれないんだよ!?」
黒沼 晶「・・・!!」
〇諜報機関
中井 雛「晶くんは、いつも杏ちゃんを気にかけてたから」
中井 雛「前の戦闘だって、杏ちゃんが無理しないようにって頑張ってた」
中井 雛「だから、きっと晶くんは──」
渋屋 杏「それなら尚更、私は行かなきゃ」
渋屋 杏「このまま何の借りも返せないまま、あいつを見殺しになんて絶対にしたくない!!」
渋屋 杏「誰に止められても私は行きます。誰も場所を教えてくれないなら、自力で・・・!!」
中井 雛「晶くんはそれを望んでいないかもしれないよ?」
渋屋 杏「それでも、です・・・!」
渋屋 杏「私はまだ、あいつに伝えられていないことが山ほどあるんです!」
渋屋 杏「このまま別れになってしまったら、私は一生、ずっと後悔します・・・!」
中井 雛「・・・そっか」
中井 雛「・・・分かった。 今すぐに車を出すよ、行こう!」
渋屋 杏「えっ!?」
日谷 紗枝「せ、先生!?」
中井 雛「ごめんね、紗枝さん。 でも私も、晶くんに生きていて欲しいから」
中井 雛「こんなところで見てるだけじゃ、何もできないしね」
中井 雛「それに、杏ちゃんを一人で行かせる方が心配」
渋屋 杏「雛先生、ありがとうございます・・・!!」
中井 雛「杏ちゃんは先に駐車場に!! 私はとっておきの秘密兵器を出してくる!!」
渋屋 杏「はい!」
日谷 紗枝「ひ、秘密兵器・・・? それって・・・」
日谷 紗枝「先生、それは待ってください!! いくらなんでも危険すぎます!!」
〇古びた神社
黒沼 晶「うおおおおおぉぉぉっ!!」
ギャラジー「この脆弱な人間如きが・・・!! 小さい体でちょこまかと、目障りだ!!」
黒沼 晶「っと、危ねえ・・・!」
黒沼 晶「はあぁぁっ!」
ギャラジー「くっ、ぐおおぉぉぉ・・・!!」
黒沼 晶「よし、攻撃が通った・・・!!」
黒沼 晶「このままいけば──ッ!」
黒沼 晶「うっ・・・!?」
黒沼 晶「か、顔が・・・痛い・・・!?」
黒沼 晶「ぐああぁぁぁぁあっ!」
黒沼 晶「い、一体、何が・・・!!」
ギャラジー「ははは、愚かなものよ」
ギャラジー「体内のギャラジーが抵抗しているのだ。 ギャラジーの長である我と戦いたくないとな」
ギャラジー「体をギャラジーに変化させて我と同等に戦ってきたのだろうが、体はいつまでもつかな?」
ギャラジー「いや、体の前に、人間としての理性が保てなくなるかもしれぬな?」
黒沼 晶「ち、畜生・・・ 舐めるなよ、ギャラジー・・・!」
黒沼 晶「俺の体が滅びる時は、お前も一緒だ!!」
黒沼 晶「うおおおおぉぉぉぉ!!!」
黒沼 晶「フー、フーッ・・・!!」
ギャラジー「今のは人間の機械技術というものか? そんなもので理性を保とうとしているのか」
黒沼 晶「いいや、違う・・・!」
黒沼 晶「これは、身体能力向上装置の初期型にのみプログラムされた機能」
黒沼 晶「更に身体能力を向上させるプログラムだ。 普通の人間の体なら耐えきれないもの」
黒沼 晶「ギャラジーを取り込んだ今の体でも、あと何秒耐えられるか分からない」
黒沼 晶「だが・・・理性が壊れる前に、お前だけは絶対に倒す!!」
黒沼 晶「例え、俺の命が滅ぶことになってもだ!!」
ギャラジー「な、なんだと・・・!!」
ギャラジー「クッ・・・!」
ギャラジー「よく考えたな、人間。 その意志の強さは認めてやろう」
ギャラジー「だが、残念だったな」
黒沼 晶「な・・・!! あいつ、隠れやがった!!」
黒沼 晶「うっ・・・がっ、ごほっ!!」
黒沼 晶「出て、来やがれ・・・!! 逃げんじゃねーよ・・・!!」
黒沼 晶「く、くそっ・・・」
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