第3話 ムカデ編(脚本)
〇黒
私の血の繋がった父は、ギャンブル・酒・タバコが辞められない典型的なクズだった。
そんなクズはギャンブルで借金を重ねては、私と母にストレスをぶつけてきた。
こういうクズを
全て殺して
苦しんでいる人達を救けたい
だけど慈悲深い神様は
理解し、赦しなさいと言った
私は
〇黒
1つ、他の人とは決定的に違うところがある
〇黒
私は
理解するが、赦さない
〇白
〇スポーツクラブ
束の間の休日
私と恭介さんは汗を流しにスポーツクラブに来ていた
恭介さんは仕事漬けの日々を送っているが、肉体が鈍らないようにと鍛錬も怠らない
まさに出来た大人
だが
「あ!奇遇ですねぇ、恭介さん、ゆいさん」
山岸巌「こんにちは、いい筋トレ日和ですね」
私と恭介さんの間に突然割って入ってきたこの男
山岸巌(やまぎし いわお)
監視しているのでは?と思うレベルで、スポーツクラブでほぼ毎回エンカウントする。
そして明らかにヤ○ザであるのだが、恭介さんは何故か特に気にしていない
藤井恭介「こんにちは、山岸さん! 最近良くお会いしますね」
藤井恭介「結構頻繁に来られてるんですか?」
山岸巌「いえ、週2回程度ですよ。きっと恭介さんと筋トレリズムが似てるんですね」
藤井ゆい(うさんくさっ!)
山岸巌「立ち話もアレですし、さ、筋トレ始めましょう」
藤井ゆい(恭介さんは確かに魅力的。 でもヤ○ザに気に入られる要素はない筈)
藤井ゆい(山岸が変な事をしないか、しっかり見張らないと!)
〇テーブル席
結局、山岸さんと一緒に筋トレに励み、話の流れで一緒にランチをする事になってしまった。
山岸巌「筋トレの後は、やっぱりタンパク質を補充しないと」
山岸巌「しかし、恭介さんは着痩せするタイプですな」
山岸巌「自分、目が悪くて、筋肉チェックは必ず触れて行うんですが⋯」
モミモミ⋯
山岸巌「まるで阿修羅像のような肉体ですな!」
藤井ゆい(外せよグラサン)
藤井恭介「ははっ!そんな事ないですよ、クラブのトレーナーさんなんかもっと凄いじゃないですか」
山岸巌「いやいや、このスマートな見た目に、けしからん大胸筋が付いてるのが凄いんですよ」
山岸巌「全く、親の大胸筋が見てみたいもんですわ」
藤井ゆい(こいつ、筋肉の話しかしねぇな)
山岸巌「ねえ?ゆいさん」
藤井ゆい「へっ!?」
山岸巌「恭介さん、持病があるって言うけど」
山岸巌「この筋肉ならコロナも殺せそうですよね!」
藤井ゆい「は、はは⋯そうですね⋯」
山岸巌「筋肉ならいくら密でも構いませんしね!」
藤井ゆい「ええ⋯確かに⋯」
絡まれると痛い⋯
何だっけな⋯
何かに似てる⋯
見た目が攻撃的だけど⋯
目が悪いから触覚に頼っていて⋯
絡まれると痛いやつ⋯
藤井ゆい「あ、ムカデだ」
山岸巌「何ですとっ!!!」
山岸巌「どこですか!? その虫ケラは!?」
藤井ゆい「あー⋯」
藤井ゆい「恭介さんの⋯横?」
山岸巌「気安く恭介さんに近づく虫ケラがっ! 自分がバラしてやりますわ!」
藤井恭介「ん?特に見当たらないですし、大丈夫ですよ。虫そんなに苦手じゃないですし」
山岸巌「ちっ、逃げやがったか。 また見かけたら言ってくださいね。 自分がケリつけておくんで」
藤井ゆい(恭介さんって、虫もそうだし、基本的に見かけで動じる事がないんだよなぁ)
藤井ゆい(それが良いところでもあり悪いところ⋯)
藤井ゆい(すぐに変な虫を寄せ付けてしまう)
〇黒
優しい母に、ダニがついていたように
善良な人間には、害虫が群がりやすい
害虫は、エゴの塊
簡単に、その欲を口にする
「恭介さんに可愛いって言われたい!!」
中山紗季「恭介さんに熱く見つめられて、抱きしめられたい!!」
野本明美「私もお子様になって、能天気に過ごしたいわ」
〇黒
慈悲深い神様は、どんな罪人の懺悔でも聞いて下さるという
あなたの憎む人を理解し、赦しなさい
あなたに
あなたの憎む人を救う力を与えましょう
〇黒
そう、私は──
他の人とは、決定的に違うところがある
〇黒
私はクズを『救ける』力を、与えられた
〇白
〇スポーツクラブ
ムカデ⋯じゃなくて山岸さんとは、それからも何回もスポーツクラブでエンカウントした。
ムカデ⋯じゃなくて山岸さんは、マルチ商法の勧誘をしてきたり、受け子をお願いしてきたり
なんていう事はなく、ただただ恭介さんの筋肉を褒め称えていた。
藤井ゆい(ムカデらしく、油断しているところで噛みつくつもりかしら⋯)
藤井ゆい(いや、違う。クズはすぐ欲を出すもの⋯)
藤井ゆい(この人は⋯何も願わない⋯)
藤井ゆい(ただ純粋に⋯)
藤井ゆい(恭介さんが好きって事!?)
山岸巌「あれ、ゆいさん、百面相してどうしたんですか?」
藤井ゆい「い、いえ⋯えーっと⋯ 山岸さんから見て、父の筋肉ってそんなに魅力的なんですか?」
山岸巌「はは、恭介さんは、昔お世話になった兄貴に凄く似てるんですよ。他人とは思えなくて⋯」
山岸巌「ついつい話しかけちまいまして⋯いつも親子水入らずのところ、すいません」
藤井恭介「いえ、僕も山岸さんから知らなかった事を沢山教えてもらえて楽しいですよ!」
山岸巌「アニキっ!!」
あれ⋯
一見、人を刺し殺しそうな見た目をしているのに
全く危害を加えてこないどころか
自分の願いさえ言わない
いつも恭介さんの事ばかり⋯
まるで恭介さんの幸せだけを願う
私と同じ⋯
藤井ゆい(見掛け倒しのグロテスクで)
藤井ゆい(全く噛み付いてこない)
ああ⋯
これは⋯
〇黒
ムカデじゃなくて
ヤスデよ!!!
〇開けた交差点
山岸巌「ゆいさん」
藤井ゆい「はい⋯(まさか害虫を身誤るなんて)」
山岸巌「恭介さんを大好きなゆいさんなら分かると思いますが」
山岸巌「あのスポーツクラブのトレーナー」
山岸巌「恭介さんのこと狙ってますよ?」
藤井ゆい「へっ!?」
藤井ゆい「え、トレーナーって男じゃ?」
山岸巌「やだなぁ、真にモテる男は男女関係ないんですよ」
山岸巌「だけど、安心してくだせぇ」
山岸巌「ガラの悪い俺が付いてますから」
藤井ゆい(まさか⋯ それでわざとタイミングを合わせて⋯?)
藤井ゆい「・・・・・・・・・」
藤井ゆい「山岸さん・・・」
山岸巌「ゆいさん・・・」
「これからも、よろしくお願いします」
〇ソーダ
ムカデ⋯じゃなかった★
ムカデじゃなくてヤスデ!!
ヤスデ、うちにもよく出ます…(違)
山岸さん、敵じゃなかったんですね。
いやいや、まだわかりませんよ!😅
これはいいオチ!
早とちりでの力行使がなくてよかった…
あまりにも魅力がありすぎるが故に集まる虫達
フィトンチッドが出ればいいんですけどね
神様!!力の譲渡先、危うすぎるよ!!!!😂変化球回でしたけど、この雰囲気良いですね😂
読み進めるうちに、魅力的すぎる魔性のおじさんの方が逆にアレなのでは……?と思っちゃいました😇米花町におけるコナン君的な……