第3話 園崎家(脚本)
──翌日──
いくつかの検査を済ませた後、記憶喪失以外の身体の異常も無いことから、俺は帰宅を許可された。
帰宅と言っても、俺の家ではないが。
そんなことを考えていると。
紫苑「着きましたよ、お嬢様」
柊さんの運転する車がある場所に停まる。
〇立派な洋館
紫苑「ここがお嬢様のご自宅、園崎家でございます」
町外れに金持ちの屋敷がある、なんて噂は聞いたことがあったが、
まさかこの娘の自宅がそうだったとは。
紫苑「では、参りましょう、お嬢様」
咲希(和馬)「は、はい、柊さん!」
紫苑「・・・」
紫苑「・・・紫苑、でいいですよ」
紫苑「お嬢様は昔から私のことをそう呼んでいましたから」
咲希(和馬)「分かりました、」
咲希(和馬)「紫苑・・・さん」
紫苑「・・・・・・」
紫苑「えぇ」
紫苑「よろしくお願い致します、お嬢様」
柊さん・・・紫苑さんとそんな会話を交わしながら、俺たちは園崎家の中に入って行った。
〇洋館の廊下
栞「おかえりなさいませ、お嬢様」
屋敷の中に入ると、何人ものメイドさん達が俺を出迎えてくれた。
咲希(和馬)「た、ただいま・・・」
紫苑「・・・」
咲希(和馬)(なんかあのメイドさん、紫苑さんの方を睨んでなかったか?)
そんなことを考えていると。
紫苑「・・・着きました」
紫苑「こちらが奥様の書斎です」
いつの間にか、この家の当主、つまり咲希の母親の書斎の前に着いていた。
ちなみに、父親は咲希が幼い頃に亡くなっており、園崎家は母親と咲希の2人だけということだった。
咲希(和馬)「お、お願いします」
紫苑「失礼致します」
紫苑「奥様、お嬢様がお戻りになられました」
「・・・入りなさい」
〇屋敷の書斎
紫苑「お嬢様」
紫苑「あちらに座っておられる方がお嬢様のお母様、園崎薫(そのざきかおる)様でございます」
咲希(和馬)(この人が、咲希の・・・)
薫「・・・」
咲希(和馬)(?)
薫さんは何やら書類に目を通している。
咲希(和馬)「あ、あの・・・」
薫「・・・咲希」
薫「あなた、記憶喪失だそうね」
薫さんは書類に目を通したまま、話しかける。
咲希(和馬)「は、はい・・・」
薫「そう」
薫「では、今までのことは何も覚えていないのね」
咲希(和馬)「え、えぇ・・・。 すみません・・・」
薫「・・・分かったわ」
薫「指示は追って出します。 もう下がっていいわ」
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