第2話 彼女の名は。(脚本)
〇病室(椅子無し)
バス事故に遭ったと思ったら、目が覚めたら美少女の身体になっていた──。
これは夢か何かか?
咲希(和馬)(・・・とにかく、目の前の彼女に事情を説明しないと・・・)
咲希(和馬)「あ、あの、俺・・・」
紫苑「・・・お嬢様・・・」
事情を話そうとした途端、彼女は俺を抱きしめて泣き出した。
咲希(和馬)「・・・!!」
紫苑「あの日、お屋敷を出て行かれてから、お嬢様のことが心配で・・・」
紫苑「事故に遭われたと知った時は、目の前が真っ白になりました・・・」
紫苑「本当に、本当にごめんなさい・・・」
紫苑「私がもっと、貴女の力になれていれば・・・っ!」
咲希(和馬)「・・・っ!」
・・・この2人の間に何があったのかは分からない。
・・・ただ、何か大きな事情があることは、この人の涙を見て、嫌というほど伝わった。
・・・俺のことは、今は言うべきではない。
本能的にそう感じた俺は──。
咲希(和馬)「・・・すみません。 俺・・・、いや・・・私は・・・」
その後、お医者さんが来て俺のことを診察してくれた。
幸い目立った外傷は無かったとのことだった。
ただ──。
俺は重度の記憶喪失と診断された。
当然だ。
俺はこの娘のことも、目の前の彼女のことも分からないのだから。
そのことを打ち明けた時、彼女は酷くショックを受けていたが──。
紫苑「お医者さまからは、お嬢様が目を覚ますだけでも奇跡と言われていたんです」
紫苑「記憶のことは、これからゆっくりと思い出していきましょう」
紫苑「私も全力でサポート致しますので」
俺を不安にさせまいと、強がっていたのだろう。
そう言って微笑む彼女の手は震えていたが、
今は彼女の優しさに甘えることにした。
紫苑「では、私は一旦、奥様に報告の電話を入れてきます」
咲希(和馬)「ま、待ってください!」
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