1 日野日葵の初配信(脚本)
〇綺麗な一人部屋
鹿島日和「本当に大丈夫なの?」
鹿島陽彩「うんっ!」
鹿島陽彩「ちゃんと見てて! お姉ちゃんっ」
プルルルル・・・
鹿島陽彩「電話来た!」
鹿島陽彩「あっ、はい。 わかりました!」
鹿島陽彩「もうすぐだって。 じゃあ、行って来るねー!」
鹿島日和「いってらっしゃい」
鹿島日和(何もないといいのだけど・・・)
〇女の子の一人部屋
鹿島陽彩「ふう・・・」
鹿島陽彩「こんな私がVTuberデビューかあ・・・」
私、鹿島(かしま)陽彩(ひいろ)は今日VTuberとしてデビューする。
何のとりえもない、地味なJKだけどVTuber会社の社長は何か光るものを見つけたらしい。
私が所属するのは、あわあわプロダクションというところ。
かなり大手の企業らしくて、今日一緒にデビューする子があと3人いるらしい。
プルルルル・・・
鹿島陽彩「はい。 鹿島です」
???「こんにちは。 マネージャーの本橋(もとはし)よ。 よろしくね」
鹿島陽彩「よろしくお願いします」
本橋「さっそくだけど、用意は出来てる?」
鹿島陽彩(もうすぐ初配信が始まっちゃうのか・・・)
鹿島陽彩「はい。出来てます」
本橋「そう、良かったわ。 1時間後に始まるからそれまでは同期の配信でも見ていてね」
鹿島陽彩「わ、わかりました」
本橋「じゃあ、あとはチャットで連絡するわ」
鹿島陽彩(ふう。 同期の配信を見に行かなきゃ・・・)
〇ソーダ
進行係の人「それでは、天姫(あまき)さんでーす!」
進行係の人「では、どうぞ!」
天姫「はじめまして、なのです」
天姫「わたくしの名前は、天姫。 天から舞い降りた姫なのです」
現在、あわあわプロダクション公式アカウントで三期生が一人ずつ自己紹介を行っている。
一人目が天姫。
二人目が幽川ゼロ。
三人目が日野(ひの)日葵(ひまり)、つまり私。
四人目がアリス。
配信の時間は一人30分。
あと一時間後に始まるんだと思うとすごく緊張する。
天姫「年齢は18で種族は天使。 人間の皆さんにとっては敬うべき存在なのです」
天姫「ちなみに好きな物は、可愛いものですの」
天姫「皆さん、よろしくなのです」
進行係の人「では、配信タグ決めなどをお願いします」
天姫「了解ですわ」
天姫「まずは・・・」
天姫の初配信は順調に進み、二人目の配信に移った。
天姫「続いては、幽川(ゆうかわ)ゼロくんなのですね。 わたくしもお邪魔しますわ。 では、ご登場お願いしますの」
幽川ゼロ「死んで幽霊になった幽川ゼロっす」
天姫「幽霊でもVTuberになれるのですね」
幽川ゼロ「そうっすね~」
天姫「わたくしは天から舞い降りた天使。 人間はわたくしに敬語を使うべきなのです!」
幽川ゼロ「いや俺、幽霊っすけど?」
天姫「そうでしたわ。 では許しましょう」
幽川ゼロ「じゃあ、自己紹介するっすね」
幽川ゼロ「名前は幽川ゼロ。 年齢は、幽霊なので0歳っす」
天姫「幽霊は年を取らないというのでしたわね」
幽川ゼロ「・・・・・・」
幽川ゼロ「・・・次。 好きな物は娯楽全般っす」
天姫「可愛いぬいぐるみなどですね」
幽川ゼロ「いや、ゲームとかっす」
幽川ゼロの配信時間は残り10分。
心臓がばくばくする。
幽川ゼロ「ゲームとかできたらいいっすね。 それで満足っす」
天姫「成仏できますわね」
幽川ゼロ「出来ればしたくないっすけど」
幽川ゼロ「じゃ、よろしくっす」
天姫「同期ですし、互いに切磋琢磨して頑張りましょう・・・なのですわ」
幽川ゼロ「そうっすね~」
天姫「次は配信タグですわね」
幽川ゼロ「あー、もう決めてあるっすよ」
天姫「え!? わたくしが決めるのではないのですか?」
幽川ゼロ「そんなわけないっすよ」
天姫「じ、冗談ですわ」
幽川ゼロ「配信タグは、ゼロの部屋。 ファンアートタグは、心霊写真っす」
幽川ゼロ「これで終わりっすよね。 もう次行っていいっすよ」
天姫「では、少し早いですけど三人目に行きましょう」
〇女の子の一人部屋
鹿島陽彩「凄い緊張する・・・」
ピコンっと音がして、メッセージが送られてきた。
鹿島陽彩(マネージャーさんからだ。 用意を初めて下さい、か)
鹿島陽彩「頑張らなきゃ・・・」
鹿島陽彩「ふう・・・ 用意は終わった、かな」
鹿島陽彩「あと、3分・・・ 試しにキャラクターを動かしてみようかな・・・」
鹿島陽彩「えっと、これかな」
日野(ひの)日葵(ひまり)。
それが私のVTuberとしての名前だ。
日野日葵「すごい可愛いなあ、この衣装」
日野日葵「アイドルみたいな感じがする・・・」
日野日葵「あと、1分。 頑張らないと・・・!」
〇ソーダ
天姫「続いては・・・」
幽川ゼロ「あ、俺もう帰るっす」
天姫「え・・・ 了解なのですわ」
幽川ゼロ「じゃ、また次の配信で。 ばいっす」
天姫「えーと、では続いての方に登場いただきますわ」
天姫「どうぞ」
日野日葵「は、はじめまして! 日野(ひの)日葵(ひまり)ですっ」
天姫(さっきの幽川ゼロよりはまともそうね)
天姫「わたくしは天姫。 よろしくですわ」
日野日葵「あっ、はい! よろしくお願いしますっ」
天姫「まずは自己紹介ですわね」
日野日葵「あっ、そうですね」
日野日葵(えっと、何を言えばいいんだっけ・・・)
天姫「名前と好きな物などを言ってくれればいいですわ」
日野日葵「あ、ありがとうございます・・・」
日野日葵「名前は日野日葵ですっ ええっと、好きな物は甘いものと・・・」
天姫「可愛いものですわ」
日野日葵「可愛いものじゃなくて、小説です・・・」
天姫「ごほん ただの冗談ですわ」
日野日葵「あっそうですよね 気にしちゃってごめんなさい・・・」
天姫「いえ、別にいいのですわ」
日野日葵「よ、良かったです・・・!」
天姫「他に自己紹介はありますの?」
日野日葵「えっと、特にないです・・・」
天姫「じゃあ、タグを決めていきますわ」
日野日葵「は、はいっ」
天姫「まずは配信タグですわね」
日野日葵「そうですね・・・」
天姫「『向日葵の下』がいいですわ!」
日野日葵「じゃあ、それにしますね」
天姫「次は、ファンアートタグですわ」
日野日葵(ファンアートタグかあ・・・ 天姫さんは『天使の絵』で幽川ゼロくんは『心霊写真』だったけど・・・)
天姫「日葵のファンアート、ですわ!」
日野日葵(安直すぎる気がするなあ・・・)
日野日葵「あ、『お日さまイラスト』で、いいですか・・・?」
天姫「あなたのタグですわ。 好きに決めるべきなのです」
日野日葵「あ、ありがとうございます」
天姫「もう、30分経ちましたわ。 次の人を呼びましょう」
日野日葵「あ、わかりました!」
天姫「では、どうぞ!」
Vtuberは実際にやると大変らしいですね。
でも、楽しそうだなあと思います。
もう一人の自分が出来るわけで、彼女たちもすごく楽しそうで、主人公のドキドキ感が伝わってきました!
こういう世界があったのかぁ!!Vtuberなるもの恥ずかしながら、知りませんでした。この小説をきっかけにまた除いてみたい世界が広がりました♪他のキャラクターになりきれるなんて楽しそう♪ドキドキが伝わって来ましたよ。こういうドキドキも含め新しいことに挑戦していくことはすてきですね!!
VTuberは、完全にそのキャラクターになりきらなければいけないから、けっこう大変そうです。でも思い切って演じられたら、すごく楽しい職業なんだろうなぁと推察します。日常でどんなことがあっても、たとえ不幸なことがあっても、VTuberとしてはそのキャラクターを全うできるというのは素晴らしいことですね。でもわたしたちも、VTuberでなくても、なにかに没頭できたらそれは素晴らしいことなんじゃないでしょ