アライブ・ソルジャーズ

十七話 疑念(脚本)

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〇屋上の隅
  ──リベリオン本部、屋上。
  俺はそこで、今までのことを思い出していた。
黒沼 晶「俺は、渋屋と出会うまで・・・ 「全ての人を救うこと」を偽善だと嘲り、その夢を諦めていた」
黒沼 晶「誰かを救うために自分が死んでしまったら、大型ギャラジーを倒せる人間がいなくなる──」
黒沼 晶「そう思い込んで、俺はその行為を正当化していた」
黒沼 晶「俺がその夢を追いかけるには、あまりにも俺の意思が弱かったんだ」
黒沼 晶「だが・・・ 渋屋がここに来てから、全てが変わった」
黒沼 晶「あいつの汚れのないまっすぐな意思が、俺の憧れを思い出させてくれた」
黒沼 晶「いつでもみんなのことを救う、莉呑のことを──」
黒沼 晶「俺は、自分の本当の夢を追いかけることができるようになった」
黒沼 晶「全て・・・ あいつのおかげだったんだ」
黒沼 晶「それなのに、あいつは全てを失った」
黒沼 晶「失わせてしまった・・・ エージェントに、なってしまったせいで・・・!」
黒沼 晶「だから、俺はもう逃げない」
黒沼 晶「俺が全て、終わらせる・・・!」
日谷 紗枝「黒沼さん、車の準備ができました」
黒沼 晶「分かりました、今行きます」

〇車内
日谷 紗枝「最後の戦いへ、行くのですね」
黒沼 晶「はい」
日谷 紗枝「黒沼さん」
黒沼 晶「・・・なんですか」
日谷 紗枝「私は、あまり個人的な感情で人と話をしたくありません。 仕事に支障が出るのは避けたいので」
黒沼 晶「分かっています、そんなことくらい」
日谷 紗枝「ですが・・・ 今だけは、私ではない誰かの言葉として聞いてください」
日谷 紗枝「姉さんの死を、あなたのせいだと誤解していたことをお詫びします」
黒沼 晶「!?」
日谷 紗枝「そして、あなた自身のことも・・・ 私は何も知らなかった、知ろうともしてこなかった」
日谷 紗枝「全て、お詫びさせてください」
日谷 紗枝「・・・申し訳ございませんでした」
黒沼 晶「え、えっと・・・? 何があったんですか、日谷さん」
日谷 紗枝「姉さんの研究ノートを読みました。 あなたの体の状態や、危険・・・その全てを知りました」
黒沼 晶「・・・日谷さんも、知らなかったんですね」
日谷 紗枝「・・・っ」
日谷 紗枝「黒沼さん、どうぞお気をつけて」
黒沼 晶「はい。 今まで、ありがとうございました」
日谷 紗枝「・・・」
日谷 紗枝「あぁ、もう・・・!」
日谷 紗枝「どうしてなの・・・! 姉さん・・・!」

〇屋敷の牢屋
日谷 沙耶「・・・遅いわね」
黒沼 晶「沙耶さん」
日谷 沙耶「あらあら、やっとね。 決心はついたのかしら?」
黒沼 晶「はい。 俺は親玉のギャラジーを倒しに行きます」
日谷 沙耶「本当に大丈夫? 死ぬかもしれないのよ?」
黒沼 晶「分かっています」
黒沼 晶「でも、今のうちに終わらせないと・・・ 余計に渋屋を苦しませることになる」
日谷 沙耶「・・・そう、そこまで決意が固いなら大丈夫ね」
日谷 沙耶「問題はあと一つだけ・・・ 晶クン、あなたは私を信じられるの?」
黒沼 晶「え・・・?」
日谷 沙耶「嘘はつかなくていいから、本当のことを言うのよ」
日谷 沙耶「私はあなたの体を、身体能力向上装置に適応できるように改造した」
日谷 沙耶「── そう」
日谷 沙耶「あなたの体が半分ギャラジーになるなんて、教えもせずにね」
日谷 沙耶「改造は成功。 まぁ、私にかかれば失敗なんてないんだけどね?」
日谷 沙耶「だからと言って、自分の行いを許してとは言わないわ」
日谷 沙耶「勿論、あなたのその顔を見て・・・ 後悔もしてないけど」
黒沼 晶「はい。 俺はその改造のおかげで、ギャラジーと戦うことができました」
黒沼 晶「許すどころか、沙耶さんには感謝しています」
日谷 沙耶「ふふ、ありがとう」
日谷 沙耶「じゃあ、私のことを信じてくれるわね?」
黒沼 晶「はい・・・!」
日谷 沙耶「じゃあ、親玉のギャラジーに打ち勝つために、私の提案を聞いてくれるかしら?」
黒沼 晶「もちろんです。 この悲劇の連鎖が止められるなら・・・!」
日谷 沙耶「そう、良かったわ。 なら晶クン、あなたには・・・」
日谷 沙耶「あなたの体の9割を、ギャラジーにしてもらうわ」
黒沼 晶「さ、沙耶さん、それは・・・!」
日谷 沙耶「ええ、そうよ。 下手をすればあなたはそのままギャラジーに体ごとを乗っ取られるかもしれない」
日谷 沙耶「・・・でも、こうでもしないと親玉のギャラジーは倒せないわ」
日谷 沙耶「相手はどのギャラジーよりも強力なんだもの」
日谷 沙耶「今までの半端な武器だけじゃ仕留めきれない」
日谷 沙耶「私も戦力として協力したいけど・・・ 私は体の全てがギャラジーになってる」
日谷 沙耶「親玉のギャラジーに逆らうことを、体が反対してもおかしくないわ」
黒沼 晶「・・・っ」
日谷 沙耶「大丈夫よ、すぐにとは言わない」
日谷 沙耶「そうね・・・ 明日の朝までには返事を頂戴」
日谷 沙耶「そろそろ、私の意識も限界に近づいているみたいだから」
黒沼 晶「・・・分かりました」
日谷 沙耶「・・・」
日谷 沙耶「やっぱり、ちょっと酷よねぇ・・・」

〇化学研究室
黒沼 晶「・・・」
黒沼 晶「親玉のギャラジーを倒すには・・・ 俺自身がギャラジーにならなければならない、か」
黒沼 晶「──流石に、怖いな」
黒沼 晶「自分が自分ではなくなってしまいそうだ。 もし体が乗っ取られたら、渋屋は・・・」
黒沼 晶「いいや、違う。 恐れてる暇なんてない」
黒沼 晶「決めたんだ、全て終わらせるって・・・」
黒沼 晶「乗っ取られてたまるかよ・・・! 俺は、絶対にギャラジーを滅ぼす!」
黒沼 晶「だから、渋屋・・・ 待っていてくれ・・・」

〇屋敷の牢屋
  ──次の日の朝。

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