RUMOR…あなたの街の怪異譚

伊藤無銘

片付け(脚本)

RUMOR…あなたの街の怪異譚

伊藤無銘

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〇黒背景
  女子高生のサキさんには、
  大学生の彼氏がいる。
  その彼のことで相談を受けた。

〇マンションの共用廊下
  第参話
  『片付け』

〇女性の部屋
サキ「絶対おかしい!」
めい「はあ・・・」
サキ「なんかさあ」
サキ「妙に機嫌がいいんだよね」
めい「まあ悪いよりはいいんじゃないですか?」
めい「と言うか」
めい「私、その手の話は疎いので」
めい「あまりお役に立てるとは思えないんですが」
サキ「うん、それは知ってる」
めい「・・・!!」
サキ「めいさんに恋愛相談しようとか」
サキ「ハナっから思ってないから」
めい「・・・」

〇一人部屋
  サキさんの話というのは、
  彼氏の部屋についてであった。

〇女性の部屋
めい「確か彼氏さんって」
めい「マンションで一人住まいでしたよね?」
サキ「うん」
サキ「あいつ片付け出来ないからさあ」
サキ「汚部屋よ、汚部屋!」
サキ「でもこないだ行ったらさ」
サキ「なんか片付いてんだよね」
めい「自分で掃除されたんじゃ?」
サキ「いや、ないから」
サキ「私、絶対他に女いると思って」
サキ「あいつのこと問い詰めたのね」
サキ「そしたら私がやってくれてると思ってたなんて言うのよ」
めい「してないんですか?」
サキ「するわけないじゃん」
めい「・・・」

〇一人部屋
  サキさんの彼氏が言うには、
  夕方アルバイトへ行っている間に、
  誰かが部屋を片付けてくれているという。

〇女性の部屋
サキ「だから私、確かめてやろうと思ってさ」
サキ「あいつがバイト行ってるときに」
サキ「部屋の前で張り込んでたのね」
めい「誰か来ました?」
サキ「それが誰も来ないのよ」
サキ「そんでね」
サキ「あいつが帰ってきてから一緒に中に入ったら」
サキ「やっぱり片付いてんの」
サキ「おかしくない!?」
  確かに奇妙な話だ。
  部屋の出入り口は玄関しかなく、
  構造上、ベランダや窓からの出入りも難しいという。
サキ「こうなったらさ」
サキ「誰がやってるのか知りたいじゃん?」
めい「まあ・・・」
めい「そうですね」
サキ「だから今度は私が部屋の中に隠れてるから」
サキ「めいさんには外から見張っててほしいの」
めい「ああ・・・」
めい「そういうお話ですか・・・」

〇マンションの共用廊下
  後日、私たちは問題の部屋を訪れた。
  サキさんの彼氏はすでに出かけており、
  部屋の中にはサキさん一人が残っている。
  今のところ、
  誰かが訪ねてくる気配はない。
めい「・・・」
  スコットランドやイングランドの一部には、
  ブラウニーという家事の手伝いをしてくれる妖精の伝承がある。

〇一人部屋
サキ「やられた」
サキ「一瞬、目を離した隙に・・・」
  サキさんの言う通り、
  部屋の中は綺麗に片付けられていた。
めい「サキさんはどこに居たんですか?」
サキ「え、クローゼットの中だけど・・・」
  私はそのとき何故か、
  隣の部屋のことが気になった。

〇部屋の扉
めい「・・・」

〇一人部屋
めい「ええっ!!」
サキ「え、何!?」
  隣の部屋にいたもう一人のサキさんは、
  一瞬で煙のように消えてしまった。
  その後、その部屋が勝手に片付けられることはないそうだ。

次のエピソード:分身

コメント

  • えっ、もう一人のサキさん!?
    しかも消えてしまったって、、、
    それと、サキさんによるめいさんの扱いがちょっと可哀想になりますねw

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