エピソード2(脚本)
〇ゴシップボックス_ゴシップボックス・内(ライティング白)
『あなた方には、共通項があります』
『全てを曝け出して、脱出を目指しましょう』
『共通項が、この部屋の鍵です』
薬師寺透「なんだ、これ・・・脱出ゲームでもやれってことですか」
青木谷さち「下にも何か書いてある」
『共通項は?』
室井秀明「ここに共通項を打ち込めば、鍵が開くってことか」
薬師寺透「でも・・・共通項って何ですか?」
青木谷さち「私たち全員に、何か共通するところがあるってことでしょ」
「・・・・・・」
薬師寺透「あのぉ・・・ちょっと自己紹介しませんか?」
薬師寺透「お互いのことが分かれば、共通点も分かるかもしれないですし」
「・・・・・・」
薬師寺透「・・・じゃあ、僕から!」
薬師寺透「薬師寺透って言います。広告制作会社で、デザイナーみたいな仕事やってます」
薬師寺透「会社では、やっくんて呼ばれてます。 二十八歳です。趣味はゲームで、スマホのパズルゲーとかよくやります」
薬師寺透「えーと・・・今日は、よろしくお願いします」
室井秀明「合コンかよ・・・」
青木谷さち「青木谷さち。港区在住の主婦で・・・旦那は、コンサル会社の経営やってる」
青木谷さち「苗字は旦那のであんまり呼ばれ慣れてもないから・・・さちでいいわ」
薬師寺透「さちさん、趣味は?」
室井秀明「だから合コンかって」
薬師寺透「でも、趣味が共通項かもしれないじゃないですか?」
青木谷さち「趣味はいろいろあるけど・・・スマホゲームはやんないわね」
青木谷さち「なんか、子どもっぽい感じするし。 最近はピラティスとかハマってるかも」
薬師寺透「ピラティスって・・・あの、やってるとどんどん頭がおかしくなる・・・」
青木谷さち「違う。体幹鍛えるやつ」
薬師寺透「あ、そっちの・・・」
青木谷さち「そっちって何・・・ピラティス、他にないでしょ・・・」
青木谷さち「そうだ、あなたは? 会社の経営されてるんでしょ」
室井秀明「・・・室井秀明。『ドルチェ&ドラゴンズ』っつう名前のこどもっぽいゲームを、渋谷の小せえ会社で作ってる」
薬師寺透「・・・あっ! どっかで見たことあると思ったら・・・ドルドラの室井社長じゃないですか!」
青木谷さち「有名なの?」
薬師寺透「ドルドラっつったら、超有名じゃないですか! テレビCMとかもバンバン流れてますよ」
青木谷さち「ごめん、あたしテレビとかあんまり観ないから・・・」
室井秀明「スマホゲームもやらねえしな」
青木谷さち「・・・気に障ったなら謝るけど?」
室井秀明「いいよ別に、港区の連中とは元から気ぃ合わねえしな」
薬師寺透「ちょ・・・喧嘩しないでくださいよ、数少ない仲間なんですから」
室井秀明「俺たちがいつ仲間になったんだよ」
薬師寺透「いやだって、一緒に脱出する仲間じゃないですか!」
薬師寺透「僕もムロイモンも、明日予定があってヤバいモン同士ですし」
室井秀明「・・・その、名前で、呼ぶな」
薬師寺透「え? テレビ出てるとき、いっつもムロイモンって呼ばれてるじゃないですか」
室井秀明「あれは向こうが勝手にそう呼んでんだ。 俺は一度もそう呼べなんて言ったことはない」
薬師寺透「そうなんですか・・・なんか、すみません」
室井秀明「お前、変に素直なところあるな・・・」
青木谷さち「とにかく、私たちは今、訳の分からない相手に閉じ込められてる」
青木谷さち「脱出するには、お互いの共通項を見つけろって言われてる」
青木谷さち「その共通項ってやつを早く見つけて、こんな狭苦しい場所、さっさと出ましょ」
薬師寺透「ですね。・・・なんか、趣味は全然共通してないみたいなんで、出身地とかどうですか? 僕、長野なんですけど」
青木谷さち「あたしは島根」
室井秀明「福岡」
薬師寺透「・・・バラッバラですね」
青木谷さち「この子もきっと、違うでしょうね」
薬師寺透「その子が着てる制服、ワイズマン学園のだから、たぶん出身は東京なんじゃないかな」
青木谷さち「なに、ワイズマン学園って」
薬師寺透「世田谷にあるお嬢様高校ですよ」
青木谷さち「あなた、制服とか詳しいの?」
薬師寺透「詳しいってほどではないですけど、ワイズマン学園の子たちは通勤電車でよく一緒になってたから、それですぐ分かったんです」
青木谷さち「ふぅん・・・あ!共通項、今住んでる場所はどう?」
青木谷さち「出身地はダメだったけど、今住んでるとこはたぶんみんな東京なんじゃない?」
室井秀明「・・・俺は、三茶だ」
青木谷さち「私は南青山。薬師寺くんは?」
薬師寺透「・・・か、川崎です」
青木谷さち「川崎?」
室井秀明「神奈川のか」
薬師寺透「そうです・・・」
青木谷さち「さっき、通勤電車で一緒になるって」
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