少年ドリルは廃刊です!

西瓜頭

番外編「あゆむのお着替え」「若き三角の悩み」(脚本)

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〇白いバスルーム
  番外編①
  あゆむのお着替え
  2日間風呂なし徹夜
  →殺人学ランへの
  お着替えの幕間──
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「今脱いだ、この服」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「どんだけ臭いんだろ?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「こーいうのって気になっちゃうよね」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ちょっとだけ・・・(クンクン)」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「エ゛ン゛ッ ッ ! ! ! ?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ウワーッ!?(服ポイー)」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「えっ? イヤイヤイヤ・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「うそでしょ?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「女の子からしちゃいけない臭いしたぞ?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「あえてたとえるなら 小学校の頃、教室で飼ってた──」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「カブトムシの死んだ虫かごの臭い・・・」

〇教室
  小学生の頃、生き物係だったあゆむは
  カブトムシのビーちゃんを
  誰よりも可愛がっていた
  それは三連休の前日
  ビーちゃんがお腹を空かせないように
  大好物の「きゅうり」を
  これでもかというほどあげたのだ
あゆむ「またね! ビーちゃん!」
  それがビーちゃんとのお別れとも
  知らずに・・・

〇教室
  休みあけ、真っ先に虫かごに向かった
  あゆむが見たのは──
  崩れたきゅうりに挟まれて
  もう二度と動かなくなった
  ビーちゃんの姿だった・・・
  それは夏の日
  腐りかけたきゅうりと
  死んだビーちゃんの臭いが
  今も鼻の奥に、残っている──

〇白いバスルーム
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ごめんね、ビーちゃん」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「でも、私のワキに化けて出ないで・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「──ってオイ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「んなワケないじゃん!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「もっかいだけ確認してみよ〜」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「今度は男らしく・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「深呼吸だッ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「せーのっ♪」
  スゥウウウウウウウウウッッッ!

〇黒
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「──」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・・・・・・・」

〇漫画家の仕事部屋
「あ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(泣)」

〇雑誌編集部
  番外編②
  若き三角の悩み
  少年ステップ編集部
三角 瑛里(みすみ えいり)「・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「はぁ〜」
三角 瑛里(みすみ えいり)「仕事やめてぇ〜」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「ちょっとちょっと」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「どーしたの三角くん」
三角 瑛里(みすみ えいり)「あ、変集長」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「今「変態」の「変」で言ったでしょ! ナニその役職ッ!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「よく伝わりましたね〜 漫画でもあるまいし」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「まったく」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「もうちょっと やる気出してもらわないと困るよ?」
三角 瑛里(みすみ えいり)「私は困りませ〜ん」
三角 瑛里(みすみ えいり)「部下のやる気の管理は 上司の仕事じゃないですかぁ〜?」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「お望みなら分けてあげるけど?」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「僕の男漫画愛をネッチリ、タップリとね・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「ゴメンなさい」
三角 瑛里(みすみ えいり)「マジメに仕事します・・・」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「泣くほどイヤなの!?」

〇雑誌編集部
恩田 実弥(おんだ さねみ)「で、何をそんなに悩んでるんだい?」
三角 瑛里(みすみ えいり)「それがですねぇ・・・」

〇書斎
  私の担当の漫画
  『鬼コロブレード』の話なんですけど
  最近、登場人物のアゴが
  どんどん尖ってきたんです
  おかしいぞ? と思って先生に言ったんですけど・・・
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「アゴを尖らせはじめてから 私の漫画は人気が出てきたの」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「皆どこまでも尖ったアゴが好きなの!」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「アンタみたいな新人に何がわかるの? 尖らせるのをやめたら──」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「読者に見捨てられるじゃない!!!」

〇雑誌編集部
恩田 実弥(おんだ さねみ)「美容整形を繰り返して後戻り出来なくなっちゃった人みたいだね・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「読者からも最近 「アゴがどんどん鋭くなって心配」 「刺さりそうで怖い」「武器かな?」 とか手紙来てるし」
三角 瑛里(みすみ えいり)「内容は面白いのに」
三角 瑛里(みすみ えいり)「どうしたらいいんですかね・・・」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「三角くんは尖ったアゴは嫌いだっけ?」
三角 瑛里(みすみ えいり)「・・・うーん」
三角 瑛里(みすみ えいり)「どちらかと言えば好き、ですね」
三角 瑛里(みすみ えいり)「でも、作品には客観性が必要です それとコレとは──」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「ボクはキライッッッ!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「だから他の好きな男漫画のことだけ! もっと考えてるねっ!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「ばいび〜〜〜〜〜〜〜」
三角 瑛里(みすみ えいり)「に・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「逃げやがった・・・!」

〇雑誌編集部
三角 瑛里(みすみ えいり)「うーん・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「好きなら──考えろって?」
三角 瑛里(みすみ えいり)「『好き』と『客観性』 の両立なんて──」
三角 瑛里(みすみ えいり)「で き る じ ゃ ん !」
三角 瑛里(みすみ えいり)「ウオオオオオオーッ!」

〇書斎
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「──先生ッ!」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「何度来てもムダよ アゴは絶対に──」
三角 瑛里(みすみ えいり)「尖らせて下さいッ!」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「・・・・・・・・・」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「────へっ?」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「こ、これは・・・?」
三角 瑛里(みすみ えいり)「過去の少年漫画における アゴの角度と人気の相関性のデータです!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「人気をとるなら── 読者のためなら!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「この角度がイチバン鋭いですッ!」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「──で、でも」
三角 瑛里(みすみ えいり)「先生、私、『鬼コロブレード』が 好きです」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「だから、イチバン良い状態で皆に届けたいんです」
三角 瑛里(みすみ えいり)「お願いします! 私を信じてくださいッ!」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「・・・」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「──ありがとう」
三角 瑛里(みすみ えいり)「!」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「わかったわ この角度で──やってみる!」

〇幻想2
  その後
  大人気を博した『鬼コロブレード』は
  アニメ化! 映画化!
  日本中が熱狂する
  社会現象を巻き起こした!
  作者は、後に語る──
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「あの時、編集さんがアドバイスしてくれなかったら」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「アゴの角度が、ほんの少しズレていたら」
六峠 鰐晴(むとうげ わにはる)「今の私はいなかったかもしれませんね・・・」

〇雑誌編集部
  この成果で三角の株は急上昇!
  ステップ編集部において押しも押されぬ権力を手にしたのだった・・・!
恩田 実弥(おんだ さねみ)「・・・やったな、三角くん」
三角 瑛里(みすみ えいり)「ハイッ! これも全部──」
三角 瑛里(みすみ えいり)「私の実力のおかげですね!」
  社会現象とまでなった
  鬼コロブレード
  その影響を受けた若者達が
  「少年ステップ」に
  新たな風を巻き起こすことを
  彼らはまだ
  知らない──
三角 瑛里(みすみ えいり)「さぁ! どんどん尖らせちゃうからね♡」

次のエピソード:第6話「時間よ、戻れ」前編

コメント

  • 柱言ったら元ネタバレるじゃないですか(笑)
    あ!作者の名前やたら読みにくいと思ったらオリジナルの作者から来てるんですね。今理解しました。
    変集長のボケ、漫画っぽくて好きです。
    楽しい番外編でした。作中別キャラのもう一幕あってもいいくらいです。

  • カブトムシをコオロギの仲間と思ったのか…
    スズムシなら、スズムシならこんな悲劇は……!

    (アゴ、連想するのは「学園○ンサム」「城○内くん」「某ジ○リの帝」あたりですかね……笑)

  • タイトルはゲーテの若きウェルテルの悩みのパロディですかね

    愉快なみんな、キャラがたってて、番外編も楽しいですね!
    でも、やはり、あの狂人がナンバーワン!!

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