美と醜(脚本)
〇高い屋上
初めてのコクリは無様な結果に終わった・・・
ううん、違う。無様とかそんなレベルじゃない。あまりに残酷すぎた・・・
最初から結果なんてわかってたし・・・わたしにとって大切だったのは、想いを初めて誰かに伝えること
たったそれだけのことだったのに・・・
〇高い屋上
野崎さわ「こんなとこに呼び出してゴメン・・・」
新見宏太「いや・・・ 話って何?」
野崎さわ「あのわたし・・・ええっと・・・その」
(だめだ、全然言葉がでない・・・このままじゃだめだ)
「わたし、新見君のこと・・・」
キンコーンカンコーン
新見宏太「チャイムだ、ゴメン。 俺、行かなきゃ」
「あはは、そうだね」
新見宏太「話はまた今度でいいかな?」
「あっ、うん。時間取ってくれてありがとう」
新見宏太「いや、いいよ。じゃあ・・・」
(何やってんだろ、わたし・・・。これじゃ、何も始まらないじゃん)
〇高い屋上
山中たく「宏太さあ、さっき野ブタに呼び出し、食らってたよねー」
新見宏太「げっ!!なんで知ってんの?」
山中たく「俺の情報網、甘くみてんじゃねーの。付き合い長いのにさあー」
新見宏太「マジ、勘弁してほしいわ」
山中たく「別にいいじゃん。ただ断ればいいだけっしょ。いつも通りにさあ」
新見宏太「断るのだって、結構ストレス貯まるんだぞ。それなりに言葉を選ばなきゃいけないし・・・」
山中たく「それに相手があの野ブタだしな」
新見宏太「それそれ。なんていうかさあ、あいつ、免疫なさそうだし・・・」
山中たく「いや、いくらでもあるだろ。それこそ連戦連敗だろ」
新見宏太「そうじゃなくて、なんか初めてのコクリなんじゃないかって」
山中たく「ああ、そういうことー。それじゃあ、あんま傷つけたくないよなー。で、何て断ったの?」
新見宏太「チャイムに救われた。だから断る必要もなかった」
山中たく「へえ、ラッキーじゃん」
新見宏太「まあな」
山中たく「まあ良かったんじゃねーの。勇気を出しての行動が傷つかずに済んだんだから。互いにWinWinだな」
新見宏太「そうだな」
野崎さわ「・・・」
野崎さわ「・・・」
〇電車の中
幸せそうなカップルを見るたび、いつからだろう。うらやましいという気持ちを抱かなくなったのは・・・
高校生A「疲っれたなあー」
高校生B「今日も一日、お疲れ様ー。こんなに宏太が頑張れる奴なんて知らなかったー」
高校生A「何それ?俺って、めっちゃ頑張る奴だし、努力家のつもりだけど・・・」
高校生B「それ、自分で言っちゃう?そういうアピール、格好わるー。黙って頑張ってるとこが好きなのになあ」
その代わりにわたしの中に芽生え始めた気持ち・・・
喜怒哀楽・・・ひとつひとつの感情に宿るエネルギー。喜びや楽しみは人を明日に向かって歩ませる力があるのかもしれない。でも
高校生A「うううう・・・」
高校生B「ちょっと宏太、どうしたの?」
高校生B「ウソ―。宏太、ちょっとしっかりして──。誰か──」
「早く救急停止ボタン押して―」
「お嬢ちゃん、無理に動かさないほうがいい」
わたしの生きる原動力、それは・・・そしてあの日失った気持ちと引き換え手に入れた魔の力・・・
野崎さわ(別に彼らに恨みがあるワケじゃない。他人の幸せを羨んだって仕方ないことはわかってる。でも・・・)
航(わたる)「・・・」
野崎さわ(何だろう、この子。さっきから、じっと人の顔を見て・・・)
航(わたる)「・・・」
航(わたる)「ゾウオ」
野崎さわ(ゾウっ?今、何て言ったの?)
航(わたる)「今、ゾウオの念を放ちましたね?」
野崎さわ(この子、わたしに話かけてるの?)
こんばんは!振られた女のコの復讐劇かなと思ったらファンタジー要素が出てきてわくわくしてます!
あの少年が何者なのか続きが気になります!
「その能力欲しい!」と反射的に思ってしまいました。恐ろしい話ですね。主人公に共感してしまったからかもしれません。
とても共感できるお話でした。怒りの消化不足になると、恨みに変わってずっとお腹の中に溜まりますよね...。あれ、一種のエネルギーに変換できちゃうのではないかと、私も時々考えます😌