INTERMISSION(脚本)
〇荒廃したショッピングモール
「私の父は刑事、だった」
「お前の父は軍人、だそうだな」
「場所は違えど同じ師範学校で学んだ身」
天粕「何故無政府主義などに身を堕とした」
天粕「大杉天よ」
オオスギアマネ「僕は、相手が対話したいのであれば王様だろうと貧民だろうと子供だろうと老人だろうと男だろうと女だろうと分け隔てなく語り合う」
オオスギアマネ「この人生の時間の全てをその人に捧げてもいい」
オオスギアマネ「だが聞く耳を持たず理解する脳を使わぬ獣に裂く時間は、一秒も持ち合わせてない」
オオスギアマネ「BOW!BOW!」
天粕「愉快な男だな」
オオスギアマネ「アジトを襲ったのは君だろう」
天粕「・・・」
天粕「貴様らがのたまう平等思想は確かに正しい」
天粕「元老もブルジョワも私的財産も排除せねばならない」
天粕「そして全ての臣民は等しく国に奉仕する、のだ」
天粕「まさにユートピアではないか」
オオスギアマネ「あの本、嫌いなんだよね」
オオスギアマネ「あれに描かれてるのは地獄だよ」
オオスギアマネ「みんなが同じ顔した不気味な地獄さ」
オオスギアマネ「たとえば、君みたいなつまんない顔してるんじゃないかな?アマカスキミヒコ君」
天粕「自由は管理されるからこそ尊いもの」
天粕「ミカドの名のもと全ての臣民がひとつの魂となり神国となる」
天粕「それこそが列強に対抗する唯一の道と何故分からぬのだ!」
オオスギアマネ「だからといって、こちらを仮想敵にするのはやめてほしいな」
天粕「なにまだまだこれから、だ」
天粕「英雄の遺志は鼠によって穢さればら撒かれるだろう」
天粕「その時大儀は、成就する」
オオスギアマネ「あーあ」
オオスギアマネ「英雄はさておき、遺志ときたか」
オオスギアマネ「もう少しこの世界に登場し続けたかったな」
天粕「まあそう残念がるな。崇高なお前には似合わんさ」
天粕「取るに足らぬこの世界、は」
〇黒
天粕「そう。取るに足らぬ、物語だ」
INTERMISSION