異世界アパート

金村リロ

第12話 異世界流駆除術(脚本)

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〇古いアパートの部屋
  ドドド! ガガガ! ゴゴゴ!!
テツヤ「うわっ!?」
  突如鳴り響いた轟音。俺は反射的にベッドから飛び起き、あたりを見回した。
テツヤ(今の音、中庭から聞こえたよな?)

〇謎の植物の生えた庭
  事件か事故か。確かめるため中庭に駆け込むと──
シロ「てやぁああっ!」
リリム「さっさと大人しくなりなさい!」
魔物「ギイィッ!」
  そこには猫くらいの大きさをした、ネズミのような摩訶不思議な生き物と戦うシロさんたち姿があった。
テツヤ「なんだこりゃ!?」
リリム「テツヤ! いいところに来たわね!」
ミア「ちょうと人手が足りなくて困ってたの」
アン=マリー「テツヤ様、こちらをどうぞ」
テツヤ「ホウキ?」
ソルーナ「それには武器としての『加護』を授けている」
ソルーナ「魔法の使えないそなたでも、こやつらと互角に戦えるはずだ」
テツヤ「互角に戦うって・・・えっ、俺もこの戦闘に参加しろってことか!?」
リリム「その通り! あんたはあっちを担当して! 1匹でも討ち漏らしたら、今月は減給よ!」
テツヤ「んなムチャな!」

〇謎の植物の生えた庭
テツヤ「はあ、はあ・・・今ので全部倒せたか?」
シロ「お疲れ様でした、テツヤ殿! 初めてとは思えないほどのご活躍でしたね!!」
テツヤ「褒めてもらえるのは嬉しいんだけど、そもそも今のはなんだ!? あんな生き物、見たことないぞ!」
リリム「何って、魔物に決まってるじゃない」
テツヤ「ま、まも、魔物?」
ミア「ええ。こちらの世界と我々の世界を繋ぐ扉は魔力歪ませ、それに釣られてたくさんの魔物が集まってくるの」
リリム「それを放置してたら大変なことが起こるから、定期的に扉を開いて今みたいに一掃してるってわけ」
シロ「これも守(もり)の仕事のひとつなんです!」
  シロさんが誇らしげに胸を張ったその時、マリーはピクリと長い耳を動かした。
アン=マリー「──皆さん、そろそろ第二波が来ます。ご準備を」
ソルーナ「テツヤ、そなたは念のためこれを飲んでおくといい」
  渡されたのはガラスの小瓶だった。
ソルーナ「飲めばたちどころに力が湧き、中型程度の魔物なら一人でも倒せるようになるはずだ」
テツヤ「そんな怪しげなもの飲めるかよ!?」
ミア「大丈夫よ。ソルーナちゃんはあの名門サルミネン家の長子で、当代でもっとも優れた薬師と言われてるんだもの」
シロ「そういえばソルーナ殿は、守になる以前は宮廷に召し抱えられていたのですよね!?」
テツヤ(名門? 宮廷? いかにも凄そうな言葉がポンポン飛び出してくる)
テツヤ(それなのに、なんで守なんて閑職に──)
リリム「テツヤ! ちんたらしてないでさっさと飲みなさい!」
テツヤ「んがっ!?」
  リリムは俺の手から瓶を奪い、無理矢理口にねじ込んできた。
  ほのかに甘い液体を飲み干すと・・・
テツヤ「なんだこの感覚!?」
テツヤ(確かに体の奥から力が湧いてくる)
  それに驚いていると──
  ズン、ズン、ズン、と地響きがしてアパートの敷地全体が揺れる。
リリム「っ! 見て!」
  顔を青くしたリリムが指さした先。そこには巨大な牛のようなものがいた。
ミア「どうしてここに、あんな強力な魔物が・・・!」
魔物「ブモォオォオッ!」
  そいつは大きな鳴き声を上げたかと思うと、こちらに向かって走ってくる。
シロ「大型の魔物に単独で挑むのは危険です! ここは全員で連携を取って──」
ソルーナ「いや。あれならば、我らだけで十分だ」
  そう言ってからソルーナはアン=マリーをちらりと見る。
ソルーナ「行け」
アン=マリー「はっ」
  瞬きをする間にアン=マリーの姿は消え去り──
魔物「グオォオオッ!?」
  いつの間にか巨大な魔物の背中に回った彼女は、持っていた武器で相手を斬り付けた。
ソルーナ「──巡る因果の炎に焼かれるがいい」
  ソルーナが小さな声でそう呟いた瞬間、何もない場所から炎が現れ魔物の体を大いつくす。
魔物「ガァアアアアッ!?」
  まさに一瞬の出来事。俺の二倍はあるであろう魔物を、二人はあっさり倒してしまったのだ。
リリム「テツヤ、驚いてる場合じゃないわよ。まだ小型の魔物が残ってるんだから、そっちを片付けないと!」
テツヤ「えぇっ!? まだ終わらないのかよ!?」

〇謎の植物の生えた庭
ミア「ふう・・・今度という今度は終わりですね」
シロ「怪我なく無事に終了してよかったです! それにしても、お腹が減りましたね」
リリム「いっぱい動いたし、焼き肉でも食べたい気分ね」

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コメント

  • あのメガネ牛男は、ここで出てくるのね

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