少年ドリルは廃刊です!

西瓜頭

第5話「俺たちの創作(たたかい)はこれからだ!」(脚本)

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〇漫画家の仕事部屋
  〜前回までのあらすじ〜
  ──迫る締切。エアコンの爆発。
  始まる我慢大会という名の男比べ。
  部屋に充満する伝説級の激臭
  父の形見(臭い学ラン)が災いし、あゆむはついに倒れてしまう!
  男達はその覚醒を願い、あゆむの
  ほっぺをつねくりまわすのだった!

〇漫画家の仕事部屋
「男坂先生〜〜〜〜〜〜〜!!!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ひたひ、ひたひ・・・! おひてる、おひてるヨォ」
「おっきろ────────!!!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「おひてるって〜〜〜」
「これでもか〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「お・き・て・る・っ・て! ! !」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「言ってんだろォ────!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「もー! 敷島サン!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「来るの遅いッ!」
敷島 海(しきしま かい)「・・・」
敷島 海(しきしま かい)「すんません、センセ」
敷島 海(しきしま かい)「目が覚めて、よかった」
敷島 海(しきしま かい)「差し入れ──買ってきたッス」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・あ」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「タピオカ・・・ミルクテー」
敷島 海(しきしま かい)「いらないッスか?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・飲む♡」

〇漫画家の仕事部屋
敷島 海(しきしま かい)「空気の入れ替え完了! 暑さもマシになってきたッスね!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「でも、入稿って明日の正午だよね」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「もう、時間が・・・」
敷島 海(しきしま かい)「心配ご無用ッス!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「え、誰ェ!?」
敷島 海(しきしま かい)「コチラ、印刷所の社長サンです!」
敷島 海(しきしま かい)「こんなこともあろうかと もう半日待って貰えるようお願いしといたッス!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「さ・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「さすが敷島サンッ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「頼りになるわ〜」
社長「ドンペリーニョの借りは返さねえとな」
敷島 海(しきしま かい)「アッ! 社長!」
敷島 海(しきしま かい)「ソレは言っちゃダメッス!!」

〇漫画家の仕事部屋
敷島 海(しきしま かい)「話は聞きました」
敷島 海(しきしま かい)「自分のフォローが足りなかったッスね・・・」
敷島 海(しきしま かい)「申し訳ないッス!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「いや、そんなこと──」
敷島 海(しきしま かい)「で、早乙女クンなんスけど 本人の希望で」
敷島 海(しきしま かい)「今日は、帰ってもらうッス」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「へ!?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「あの、僕──」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「申し訳なくて」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「本気の皆さんを見て」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「ミーハーな気持ちで来た自分が恥ずかしくなって・・・」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「しかも、大好きな「ドリルマン!」が 自分のせいで──」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「これ以上迷惑かけられません」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・」
敷島 海(しきしま かい)「早乙女クンは ここまで、ってコトで」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「そんなの」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ダメに決まってるじゃねーか!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ゼッテー最後までやってもらうからな!」
敷島 海(しきしま かい)「へ?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「ど、どうして?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「僕を使ってくれるんですか・・・?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「それは──」

〇漫画家の仕事部屋
あゆむ「父ちゃん」
あゆむ「おうえんだん? で父ちゃんと一緒に最後まで残った人達って」
あゆむ「すっごく辛くて、痛くて 苦しかったんだよね」
金田 一生(かねだ いっせい)「ああ、そうだな」
あゆむ「それなのに──」
金田 一生(かねだ いっせい)「『なんで最後まで逃げ出さなかった』か?」
あゆむ「──!」
あゆむ「・・・うん」
金田 一生(かねだ いっせい)「父ちゃんも あの時初めてわかったんだけどな」
金田 一生(かねだ いっせい)「好きなこと、やりたいことと 向き合うってのは」
金田 一生(かねだ いっせい)「どうしても、苦しくなるんだ」
あゆむ「えー! うっそだー!」
金田 一生(かねだ いっせい)「あゆむが好きなことはなんだ?」
あゆむ「──!」
あゆむ「父ちゃんの漫画!」
金田 一生(かねだ いっせい)「そうか! じゃあ将来は漫画家かな?」
あゆむ「なれるかなぁ」
金田 一生(かねだ いっせい)「いいか、あゆむ」
金田 一生(かねだ いっせい)「何になるとしても」
金田 一生(かねだ いっせい)「『独り』でやろうなんて思うなよ」
あゆむ「へ?」
金田 一生(かねだ いっせい)「その道の途中で、お前が苦しいとき 痛いとき──」
金田 一生(かねだ いっせい)「どうしようもなく逃げ出したい時」
金田 一生(かねだ いっせい)「支えになってくれるのは・・・」

〇漫画家の仕事部屋
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「──」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「『同じ志を持った、仲間だから』」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「たった2日でも 一緒に漫画を創った同志なんだ」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「途中で放り出すワケねぇだろうがァ!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「──ア」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「アニキッ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(アニキて・・・)
早乙女 優(さおとめ ゆう)「やりますっ! やらせて下さい!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「バカッ 泣かないでよ〜」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ドリルついてんだろッ!?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「は──」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「ハイッ!」
敷島 海(しきしま かい)「・・・」

〇漫画家の仕事部屋
  ──そして
ヒャッハー「や──やった」
御出(おで)「つ、ついに・・・」
「脱稿だァ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」

〇アパートの玄関前
  敷島サンは印刷所に走り
  仲間たちはそれぞれの帰路へ・・・
御出(おで)「お腹空いたんだな」
ヒャッハー「ラーメンでも行くかァ!」
ヒャッハー「男坂先生はどうする?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「俺は──」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「次のネーム考えるよ」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「今回ギリギリで 色んな人に迷惑かけちゃったし」
ヒャッハー「──流石だな」
ヒャッハー「俺も負けてられねえゼ!」
ヒャッハー「頑張ってくれよな!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「応ッ!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「・・・」
ヒャッハー「早乙女クンも行くだろォ! ラーメン!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「──は」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「ハイッ! ヒャッハーのアニキッ!」
ヒャッハー「ヒャッ!?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・さて、と」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「お風呂はいろ♡」

〇雑誌編集部
敷島 海(しきしま かい)「『ドリルマン!』入稿完了ッス!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「アァ〜良かった」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「『ドリルマン!』ない少年ドリル 全然売れないからね〜」
敷島 海(しきしま かい)「センセ、男達の憧れの的ッスね〜」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「一番のファンはボクだけどね♡」
敷島 海(しきしま かい)「いーや」
敷島 海(しきしま かい)「俺っスけど!?」
敷島 海(しきしま かい)「認められないなら 担当漫画家連れてステップに 行きますケド!?」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「・・・うぅ、No.2でいいですぅ」
敷島 海(しきしま かい)「そういやドリルって 『男の』漫画雑誌なんスよねぇ」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「他誌との差別化のためにも 「女人禁制」を謳ってるからね」
恩田 実弥(おんだ さねみ)(まぁボクがそうしたいからだけど)
敷島 海(しきしま かい)「もしも──」
敷島 海(しきしま かい)「看板漫画家の男坂センセが『女』 だったりしたら」
敷島 海(しきしま かい)「どうなっちまうんでしょーね?」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「そりゃキミとんでもない コンプライアンス違反だよ」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「『ドリルマン!』は打ち切り」
敷島 海(しきしま かい)「雑誌は売れず──」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「少年ドリルは廃刊です!」
敷島 海(しきしま かい)「まっ、そんなワケねーッスけどね!」
「ワーッ ハッハッハッハッハ!」

〇アパートの玄関前
早乙女 優(さおとめ ゆう)「・・・」
早乙女 優(さおとめ ゆう)(戻ってきてしまった)
早乙女 優(さおとめ ゆう)(アニキに、どうしても伝えたいことがあって)
早乙女 優(さおとめ ゆう)「あれ、ドア──」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「開いてる──」

〇清潔な浴室
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「フーン フンフ フーン♪」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「あ゛あ゛〜」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「風呂は命の洗濯じゃあ〜」

〇漫画家の仕事部屋
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「いい湯だった〜!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「このまま出てきちゃうもんね!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(しばらく男達と一緒だったからナ〜)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「一人サイッコー!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「バタン?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ハァ!? おまっ ちょっ! えぇえ!?(錯乱)」
早乙女 優(さおとめ ゆう)(アニキ、風呂上がりか──)
早乙女 優(さおとめ ゆう)(一流の男漫画家は)
早乙女 優(さおとめ ゆう)(肌のキメも一流なんだな!)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「せめてなんか言えよォ!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「アニキ!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「僕を、アニキの──」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「弟子にしてくださいッ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「弟子ッ!?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「子分でも、舎弟でもイイです!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「アニキの『男』にホレ込んじゃったんです!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「──お 男に?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ヨカッタ! バレてないッ!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「どうしてもッ!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「アニキと一緒に、本気で漫画家を 目指したいんですッ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「──!!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「お願いします!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「──ひゃ!? 近い!」
  ガシッ!
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(・・・両肩を掴まれた)
早乙女 優(さおとめ ゆう)「お願いします! お願いします! お願いします! お願いします!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「揺らすな揺らすな!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「わかった! わかったからッ!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「──へ?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「じゃあっ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「伝わったよ、本気さが」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「アニキッ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ん? アレ──? ヤバッ」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「揺さぶられたせいで」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「タオルが──」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「ア・・・ア・・・」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「アニキのッ・・・!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「ドリル が なァ〜〜〜〜〜〜〜〜い!」

〇古いアパート
「ドリル が なァ〜〜〜〜〜〜〜い!!!」

〇地球
「ド  リ  ル     が な  ァ  ────────い!!!!!」

〇黒

〇ラーメン屋のカウンター
ヒャッハー「あれ、早乙女どこいった・・・?」
ヒャッハー「オ、オイ御出先生、まさか・・・」
ヒャッハー「ラーメンのデッサンを──!?」
御出(おで)「麺がのびる前に、描き切るッ・・・」
御出(おで)「スリリングなんだな」
ヒャッハー「・・・」
ヒャッハー「・・・フ でも、わかるぜ 火が点いちまったんだろ?」
ヒャッハー「負けてられねえよな!」
ヒャッハー「俺たちは、ようやく 登りはじめたばかりだからよ」
御出(おで)「この果てしなく遠い──」
ヒャッハー「男 漫 画 坂 を な !」
「俺たちの創作(たたかい)は これからだァ!」

〇黒
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「──」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「まだだッ!」

〇荒地
  敵の大軍の前に倒れた
  サイボーグバンカラ・赤熱鋼
  彼はその炉心に最後の切り札を残していた

〇黒
  動力炉「ドリル・エンジン」を
  強制的に逆回転させ因果に干渉──
  たった5秒間だけ時を戻す秘奥義
  「リバース・ドリル」!
  その代償は大きく
  使った瞬間に彼の身体は崩壊を始め
  一年後、確実に彼は死ぬ!

〇黒
  一方、現実
  「時間を戻した〜い」!
  切実にそう願う人物が二人
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「次回ッ! 少年ドリルは廃刊です!」

〇黒
「乞う御期待ッ!」

次のエピソード:番外編「あゆむのお着替え」「若き三角の悩み」

コメント

  • めちゃくちゃ笑いました。
    早乙女の第一声それかwwww!
    途中まで「お、タイトル回収してるー」とか気楽に読んでたのに後半ぶっ込まれました。地球引き、最高です。

  • あー、独歩ちゃん!!!!!
    不運!!!!!
    切ない!!!!!
    せっかく、解放されたのに、よりによって早乙女くんにバレるとは!!!!!

    とりあえず、明日お休みなので、追い付くと思います👍

  • 提供のヤツ!良い仕事しやがって……!
    因果を逆転し時を戻すドリルがない現実(リアル)、この逆境をどう乗り越えるのか……!

    そしてラーメンデッサンに麺の伸びをかける御出先生、まさしくプロの鏡ですね。

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