RUMOR…あなたの街の怪異譚

伊藤無銘

来客(脚本)

RUMOR…あなたの街の怪異譚

伊藤無銘

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〇黒背景
めい「こんばんは」
めい「またお会いしましたね」
めい「なんだか」
めい「またすぐ会える気がしてました」
めい「私」
めい「引き寄せる体質なもので・・・」
めい「いえ」
めい「こちらの話です」
めい「そうだ」
めい「せっかくなので」
めい「またいくつか聞いていかれませんか?」
めい「ええ」
めい「その手の話です」
めい「お好きでしょう?」
めい「フフ・・・」
めい「そうですね」
めい「ではまずは」
めい「最近、私自身が体験した話から始めることにしましょうか──」

〇シックな玄関
  第弐話
  『来客』

〇女性の部屋
  これは、
  私が自宅で仕事をしていたときの話です。
  その日は16時に来客の予定があり、
  準備をして待っていたのですが、
  約束の時間になっても相手はなかなかやって来ませんでした。
めい(・・・)
めい(遅いな)
めい(道にでも迷ったのかな・・・)
  電話をかけてみようか。
  私がそう考えていた、
  ちょうどそのとき──

〇シックな玄関
  玄関の扉の向こうに、
  誰かいるような気配を私は感じました。

〇女性の部屋
めい(あれ)
めい(来たのかな?)
  ですがいくら待っても、
  私の部屋のインターホンが鳴ることはありませんでした。
めい(・・・)
めい(・・・)

〇女性の部屋
めい(ああ・・・)
めい(なんかヤバいの来ちゃったかなあ・・・)
  霊感などない私ですが、
  経験上そういう気配のようなものは、
  少しだけわかるのです。
めい(開けなきゃ大丈夫だよね・・・)
  しかし、
  私ははたと気がつきました。
めい(あ、ともこ来ちゃう)
めい(・・・)

〇シックな玄関
  いる──。
  インターホンを鳴らすでもなく、
  通り過ぎるでもなく、
  『それ』はただ扉の前に佇んでいる。
  そのことが私にはハッキリとわかりました。

〇シックな玄関
  「今は来ないで」
  電話でそう連絡しようか。
  とにかくまずは扉の外を確認してみようと、
  私は玄関へと向かいました。
めい(・・・)
  やっぱりいる──。
  すりガラス越しに人影が見えていました。
めい(・・・)
  私は恐る恐る覗き穴を覗き込みました。
  するとそこに立っていたのは──
めい「ともこ!?」
めい「もう、来てるんならなんでチャイム鳴らさないの・・・」
  しかし私が扉を開けると、
  そこにはもう誰も立ってはいません。
めい(えぇ・・・)
  少し間をおいて、
ともこ「ごめーん」
ともこ「遅くなっちゃった」
  ともこが階段を上って来ました。
  タイミング的に、
  ともこがさっきまで扉の前にいたというのはありえないことです。
ともこ「どうかした?」
めい「いやぁ・・・」

次のエピソード:片付け

コメント

  • ぎゃああああー

    続き読みます❣️

  • はじめは、ともこさんの生霊のようなものが来たのかと思ったのですが(事故か何かで体が動かない状態とかで)、どうやらそうでもないご様子で。じわじわと心にくる怪異譚ですね。

  • 短い文章と登場人物も二人という設定の中で、十分に恐怖が感じました。ともこさんに原因があるんでしょうか、それとも彼女の部屋に何か祟りがあるんでしょうか。怖いです。

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