〇住宅街の道
あゆむ「どひゃ〜〜〜」
あゆむ「ちこくちこく〜！」
　　私、金田あゆむ！
　　ピ〜チピチの女子高生！
　　ギリギリの朝は
　　トゥーハンドおにぎりで全力疾走！
あゆむ「今日はどんなことがあるのかなぁ♪ （モグモグ）」

〇通学路
あゆむ「いつもの朝 いつもの曲がり角──」
あゆむ「でも、今日はなんだか」
あゆむ「新しい出会いの　よ・か・ん！」
あゆむ「なんちて」
あゆむ「────アァッ!?」

〇黒
あゆむ（あ──ヤベッ！）
あゆむ（両手がふさがって・・・）
あゆむ「受け身がとれな〜い」

〇通学路
あゆむ「・・・」
あゆむ「あ、あれ？　平気だ」
？？？「お嬢さん」
さすらいのグルメ「大丈夫なんだな？」
あゆむ「あ──」
あゆむ「受け止めてくれたんですね」
さすらいのグルメ「ケガがなくて、良かったんだな」
さすらいのグルメ「おやおや？」
あゆむ「え？　なんです？」
さすらいのグルメ「おにぎりの具──」
さすらいのグルメ「ついてるゾ？」
あゆむ「ヤ、ヤダわたしったら 恥ずかしい！（モグモグ）」
さすらいのグルメ「──ふふっ」
さすらいのグルメ「チャーミングな子だ・・・」

〇水玉2
　　慈愛に満ちた所作
　　憂いを帯びた瞳
　　そして──

〇通学路
あゆむ（はちきれんばかりの包・容・力！）
あゆむ「ス・テ・キ♡」
あゆむ「私あゆむっていいます！」
あゆむ「あ、貴方は──？」
さすらいのグルメ「あゆむちゃんか」
さすらいのグルメ「さっきぶつかった時に」
さすらいのグルメ「コレ、落としたんだな」
あゆむ「え？」

〇通学路
あゆむ「・・・」
さすらいのグルメ「どうしたんだな？ 早く受け取るんだな」
あゆむ「ち──違う、それ」
あゆむ「私のじゃない・・・」
さすらいのグルメ「いいや」
さすらいのグルメ「絶対に君のなんだな」
あゆむ「違う」
あゆむ「違うもん！」
さすらいのグルメ「・・・」

〇ゆるやかな坂道
あゆむ「──ハァ、ハァ」
あゆむ「──」
あゆむ「いっけない、遅刻しちゃう！」
あゆむ「急がなきゃ！」
？？？「ヒャッ!?」
あゆむ「へっ!?」

〇空

〇ゆるやかな坂道
あゆむ「アタタタ・・・（コケちゃった）」
あゆむ「ちょっと！ どこ見て歩いてんのヨーッ！」
？？？「ああん!?」
流しのモヒカン「コッチの台詞だァ！」
流しのモヒカン「ばーか！　ブース！」
あゆむ「何よォ！」
あゆむ「この両側ハゲっ！」
流しのモヒカン「こりゃヘアースタイルだ！」
あゆむ「へー！」
あゆむ「ニワトリの形態模写？」
流しのモヒカン「ハーッ！」
あゆむ「アダッ！」
流しのモヒカン「!?」
あゆむ「イタタ・・・」
流しのモヒカン「──だいじょぶかヨ」
あゆむ「ちょっと足ぐねっただけ」
あゆむ「全然平気！」
流しのモヒカン「意地張んなよ、フラフラだぜ？」
あゆむ「ヘーキったらヘーキ！」
流しのモヒカン「──ったく」
　　ガシッ！
流しのモヒカン「つかまれよ」
あゆむ「へ？　なんで──」
流しのモヒカン「悪かったヨ　ぶつかって」
流しのモヒカン「意地っ張りなオンナは──」
流しのモヒカン「嫌いじゃねぇ」
あゆむ「!」

〇水玉2
　　主張の強い三角筋に・・・
　　ナイフのようなまなざし
　　こんな奴、絶対好みじゃない
　　はずなのに──

〇ゆるやかな坂道
あゆむ（どうして、胸が高鳴るんだろう）
あゆむ（もしかして、これが──）
流しのモヒカン「あ、そうだ」
流しのモヒカン「ぶつかった時、コレ落としたぜ」
あゆむ「──」
あゆむ「違う・・・」
流しのモヒカン「いいや、コレは」
流しのモヒカン「お前のだ」
あゆむ「違う！」
あゆむ「私は、私は──」
あゆむ「ただの女子高生だもん！」
流しのモヒカン「・・・」

〇学校脇の道
あゆむ「ハァ──ハァ」
狂人「アニキ〜〜〜〜〜〜〜♡」
あゆむ「変態だー！」

〇古いアパート
あゆむ「──」
あゆむ「・・・ここ、どこ？」
あゆむ「それに」
あゆむ「受け取ってない、はずなのに」
あゆむ「わたし、普通の女子高生」
あゆむ「だよね？」
あゆむ（あ──わたし、この人知ってる）
あゆむ（いつも、私を助けてくれる人）
あゆむ（困った時に、そこにいてくれる人）
あゆむ（この人は──）
あゆむ「スカしたお兄さん！」
スカしたお兄さん「フゥ────────！」

〇古いアパート
あゆむ「助けて！　お兄さん！」
あゆむ「私はっ・・・」
あゆむ「学校に行きたいだけなのにッ！」
スカしたお兄さん「・・・」
あゆむ「・・・？」
スカしたお兄さん「原稿」
スカしたお兄さん「原稿原稿原稿原稿」
あゆむ「ひぇっ！　なにっ!?」
スカしたお兄さん「原稿！　原稿！　原稿！　原稿！　原稿！　原稿！　原稿！　原稿！　原稿！　原稿！」
あゆむ「ウワッ！　やめろ！　怖いッ！」
スカしたお兄さん「原稿パンチ！」
あゆむ「ギャンッ!?」

〇漫画家の仕事部屋
敷島 海（しきしま かい）「男坂センセ！」
敷島 海（しきしま かい）「原　稿　お　ち　る　！」
男坂 独歩（おとこざか あゆむ）「・・・」
敷島 海（しきしま かい）「オォ──────イ！　起きねえ！ マジヤベえ！」
敷島 海（しきしま かい）「これでどうだ！」
敷島 海（しきしま かい）「ほっぺたぎゅー！」
早乙女 優（さおとめ ゆう）「ちょっと！　そんなに乱暴にしたら・・・」
敷島 海（しきしま かい）「うるせぇ！　男坂センセはナァ！」
敷島 海（しきしま かい）「プロの漫画家なんだよ！」
敷島 海（しきしま かい）「ほっぺの１つや２つ千切れても」
敷島 海（しきしま かい）「譲れないモノがあるんだよ！」
敷島 海（しきしま かい）「落としちゃいけない ──原稿があるんだよォ！」
ヒャッハー「そ、そうだぜ、男坂先生」
御出（おで）「まだ時間は、あるんだな──」
敷島 海（しきしま かい）「ヒャッハー先生！ 御出先生！」
敷島 海（しきしま かい）「無事だったんスね！」
ヒャッハー「シャア！　みんなで──」
御出（おで）「男坂先生のほっぺを」
御出（おで）「つねくりまわすんだな！」
早乙女 優（さおとめ ゆう）「僕も!?」
ヒャッハー「いくぜッ！　せーの！」
「男坂センセ〜〜〜〜〜〜〜〜！」
「起きろぉ──────！　！　！」
　　むくつけき男たちにつねられる
　　あゆむのほっぺた
　　目覚めろあゆむ、血が出る前に！