第7章第3節 『ミストルティン対フライングシャーク』(脚本)
〇アマゾン川のほとり
3日後
〇海辺
只野男志「なに!? 魔力が回復できないだと」
帝院霧乃「はい・・・もしかしたら、ずっとこのままかも知れません」
只野男志(オイオイオイ! コミマもう、明日だぞ! 間に合わないじゃんか!)
帝院霧乃「私たち、この島から出られなくて・・・2人っきり、ですね」
只野男志「あ。一応、バルムン──」
帝院霧乃「私、思うんです!」
只野男志「お、おぉ?」
帝院霧乃「私とデュランダル様は、この島で・・・アダムとイヴになるべき、ではないかと」
只野男志「は?」
帝院霧乃「そうです。それしかないです。 その道しかないんです。 間違いありません」
帝院霧乃「ですからデュランダル様、今ここで、私と!」
只野男志「ちょ、ミストルティン、もちつけ!」
帝院霧乃「さぁ、まずは熱いキスを! エデンの園への第一歩を踏みだすのです!」
只野男志「ふ、踏みだす気はない!」
帝院霧乃「踏みだせば、魔力が戻ります!」
只野男志「へ?」
帝院霧乃「前世で、そんなことがあった気がします! キスで魔力供給とか!」
只野男志(エロゲでよくある設定だ!)
帝院霧乃「さぁ、さぁ! デュランダル様っ!」
只野男志「わ、我、ちょっと食料獲りにいかなくちゃ! また後でぇ!」
帝院霧乃「デュランダル様・・・私、諦めませんから。すべては愛のため!」
〇けもの道
只野男志「キスするべきか、せざるべきか。 それが問題だ」
只野男志「けど、俺のファーストキスが! いいのか? こんなんで!?」
龍場夢來「バナナ! バナナ! ウッホッホッホ! ガッハッハウッホーーッ!」
夢來がバナナキャンデーを持って踊っている。
只野男志「・・・あ、バルムンク。 それ、最後のバナナキャンデーだからな」
龍場夢來「ウホ?」
只野男志「もう、交換できるものはないんだ」
龍場夢來「ウホホ~~?」
只野男志(・・・完全に野生に還っちゃったんだな。 さぁ・・・森にお帰り)
龍場夢來「ガッハッホ~~ッ!」
狩場玖珠絵「なに馬鹿やってんの、クソオタク」
只野男志「え!? く、玖珠絵様!?」
狩場玖珠絵「来なさい。見せたいものがある」
〇密林の中
只野男志「れ、レーヴァテイン!?」
樹の中に取りこまれた令の姿がある。
只野男志「なんでこんなことに!? まさか、闇の勢力(ダークパワーズ)!?」
狩場玖珠絵「でしょうね。 そしてこれをやった奴は、島のどこかに潜んでいる」
只野男志「やばいじゃないですか!」
狩場玖珠絵「えぇ。こんな技を使う闇の勢力を、私は知らないわ。未知の強敵よ」
只野男志「早く島から出ましょう! ミストルティンに船直させないと!」
狩場玖珠絵「なに、あんたら一緒だったの。 っていうか、まだ直してないの?」
只野男志「実は、魔力を失ってるらしくて・・・」
狩場玖珠絵「この緊急事態に!」
只野男志「・・・でもミストルティンが言うには、俺がキスすれば魔力が戻るって」
狩場玖珠絵「じゃあしなさいよ」
只野男志「でも、俺のファーストキスが」
狩場玖珠絵「事態は深刻なのよ! あんたのファッ○ンキスなんてどうでもいいでしょ!」
只野男志「よ、よくはないですよッ!」
狩場玖珠絵「コミマに間に合わなくていいの?」
只野男志「!」
狩場玖珠絵「あんたのコミマに対する情熱は、その程度なの?」
只野男志「そうだった。俺にとって、コミマは・・・」
サメ「シャーーークッ!」
サメの大群が飛んでくる。
只野男志「げげっ。サメぇ! まだいたの!?」
狩場玖珠絵「半分こっちに来る! もう半分は」
只野男志「あの方角・・・まさか、ミストルティンを狙ってる?」
狩場玖珠絵「我に宿りし神聖なる湖水 (セイクリッド・パワー )よ!」
狩場玖珠絵「ホーリー・ウォール!」
サメ「シャーーークッ!?」
只野男志「空中に、透明な障壁(バリア)が!」
狩場玖珠絵「あたしがバリアで防いでるうちに! 行け! ミスティのこと、任せたわよ!」
只野男志「は、はいぃ!」
〇海辺
只野男志「ハァ、ハァ・・・」
帝院霧乃「デュランダル様!」
只野男志「ミストルティン、敵襲だ! 今すぐお前の魔力を元に戻す!」
帝院霧乃「ということは、キスですね!」
只野男志(そうですね!)
只野男志「本当に、キスで魔力が戻るのだな?」
帝院霧乃「はい。 もうこの際、それで戻ってもいいかなって」
只野男志「戻っても、いいかな?」
帝院霧乃「大丈夫です! 絶対もどります!」
只野男志「よし。ならば」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)