異世界で牢屋に入れられましたが、異世界から来て牢屋に入れられた人がいました

空木切

13.さあ時が来た(脚本)

異世界で牢屋に入れられましたが、異世界から来て牢屋に入れられた人がいました

空木切

今すぐ読む

異世界で牢屋に入れられましたが、異世界から来て牢屋に入れられた人がいました
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇一人部屋
  ──二か月後
梨夢(りむ)「ごちそうさまでした!!」
梨夢(りむ)「ふう・・・痛風の危機に追われながら食うイクラは最高だぜ!!」
梨夢(りむ)「・・・」
梨夢(りむ)「はあ全く・・・独り言も多いし、一人で何言ってるんだろう私は・・・」
梨夢(りむ)「む?」
梨夢(りむ)「むむ?何か狙われているような気配が・・・」

〇草原の道
  馬車での移動中・・・
パスカル「姫様。隣町までもうすぐですが、一度休憩しましょう」
姫「どうして?このまま進めばいいじゃないのよ」
パスカル「この先は道が良くないので、姫様も疲れると思います」
パスカル「馬車の点検もしますから、少し辛抱してください。代わりに辺りの景色を眺めて楽しむのも良いと思いますよ」
姫「・・・まあ、いいわ。貴方の顔も見飽きてきたところだし。他の人間と交代なさいよ」
パスカル「・・・はい」
パスカル(・・・顔を見飽きたってなんなんだ・・・)
パスカル「おい、交代だ。俺はこっちの馬車に乗る。誰か代わりに姫様の側にいてやってくれ」
パスカル「ふう。やれやれ・・・」
パスカル「ん?何か、今視線を感じたような」
パスカル「念のため、周りを確認に行くか・・・?」

〇集落の入口
侍丸「392・・・393・・・」
侍丸「・・・500!」
侍丸「ふう。そろそろ昼休憩にするでござる」
元忍「おい侍丸!お前まだ古臭い修行してんのか?」
子供「よく飽きないよなー」
侍丸「飽きないでござるよ。修行も続けるでござる」
元忍「変な奴だな。里の長も継げるか分かんねえってのに」
侍丸「それでもいいでござる」
侍丸「拙者は、拙者の忍術を必要としてくれる人のために、修行をするでござる」
子供「そんな奴いるわけねーよ!!」
元忍「魔法の方が便利で優秀だしな!!」
侍丸「二人とも、世界が狭いでござるな」
子供「へ?」
元忍「何か言ったか?」
侍丸「なんでもないでござる。魔法も忍術も、良いところがあるでござるよ」
「・・・???」
侍丸「拙者は今から昼食でござる。これにて御免」
侍丸「ほっ!よしよし。昼食はおにぎりと漬物でござる~!!」
侍丸「はっ!視線!」
侍丸「拙者のご飯がカラスに狙われているでござるか?」

〇華やかな裏庭
ヴェロニカ「あら。毎日暇なのね、貴方」
アンナ「・・・ヴェロニカ様」
アンナ「す、すみません。道を塞いでしまって」
ヴェロニカ「花壇の手入れ?そんなの、生徒がすることじゃありませんわ」
ヴェロニカ「専門の人間に任せておけば良いんです。貴方、そんなことも知らないのかしら?」
アンナ「・・・で、でも、花が可哀想で」
ヴェロニカ「何のためでも、令嬢が人目も気にせず土まみれになっては恥ですわ」
ヴェロニカ「貴方が道端でしゃがんで、服や手を汚していたら、下で働く人間はどう思うかしら?」
アンナ「でも・・・」
ヴェロニカ「でも、じゃありませんわ。貴方の些細な行動が、他に影響を及ぼす自覚をしなさい」
アンナ「・・・」
ヴェロニカ「貴方にとってはただ目についた花壇でしょうけれど、普段は専門の人間がきちんと手入れをしているんです」
ヴェロニカ「ろくな知識もない人間に、手持ち無沙汰に仕事を引っかき回されたら・・・向こうはどう思うかしら?」
アンナ「あ・・・」
ヴェロニカ「貴方が汚れていれば、下の人間が恥をかく。貴方が身勝手に動けば、他の人間が苦しむ。きちんと考えなさい」
アンナ「う・・・すみません・・・」
ヴェロニカ「その鈍い頭、もっと使ってあげた方がいいんじゃなくって?」
アンナ「はい・・・し、失礼します・・・」
女子生徒A「ヴェロニカ様、変わったよね」
女子生徒B「前から自信満々だったけど、最近余計に・・・」
ヴェロニカ「あら。貴方たち。何か用かしら?」
女子生徒A・B「い、いえっ!!なんでもありません!!」
ヴェロニカ「・・・下品な走り方。廊下は走るものではありませんわ」
ヴェロニカ(ああ、なんだか退屈。花壇を触りたくなる気持ちも分かる気がしますわ)
ヴェロニカ「・・・うん?」
ヴェロニカ(視線を感じます。また誰かがコソコソ話しているのかしら・・・。暇ね。もっと自分のために時間を使えば良いのに)

〇研究所の中
ネイト「あーっ!!もううんざりだ!!いくら金があっても、こんな暮らしはうんざりだ!!」
ネイト(父さんが隠していた財産のお陰で、何不自由ない暮らしはできる。だが・・・)
ネイト「一人きりは飽きた・・・」
ネイト「かといって、外には出られないし・・・」
ネイト(無駄に金があって、やりたい放題やっていた父さんの悪名は世間に知れ渡っている。息子である僕も、とばっちりを食らう)
ネイト(買い物に出るだけで一苦労だ。ここから出て、他の地方へ行けばいいんだろうが)
ネイト「面倒だ・・・」
ネイト「・・・」
ネイト「・・・そろそろいいかな?」
ネイト「さすがにもういいだろう。よし。やってみるとするか」
ネイト「さあ。やるぞ。僕は父さんとは違うからな──」

次のエピソード:最終話 私たちは

コメント

  • 時間を経ての再集結、何だかワクワクする展開ですよね。みな異世界で人間的に一皮むけた感じで、、、いや、梨夢さんは変わらずのイクラ偏愛のようで。痛風危機の量って一体ww

ページTOPへ