最終話 私たちは(脚本)
〇牢獄
梨夢(りむ)「うーん・・・」
梨夢(りむ)「はっ!!目覚めの予感!!」
梨夢(りむ)「・・・」
梨夢(りむ)「見慣れた牢屋だ・・・」
梨夢(りむ)「牢屋を見慣れるのって良いことではない気がするな」
ネイト「牢屋以外の場所が良かったか?」
梨夢(りむ)「いや、たぶんここが一番安全だと思う」
ヴェロニカ「あら。貴方が一番最後ですのね。本当、相変わらず・・・」
ヴェロニカ「昼寝にいそしむ子猫のように無邪気な顔をしていますわね」
梨夢(りむ)「つまり可愛くて仕方ないぜってこと?」
梨夢(りむ)「私が可愛すぎて、なんだか申し訳ないな・・・」
ヴェロニカ「そうやってすぐ調子に乗るところも、愛らしいですわね」
ネイト「久々の再会でテンションがおかしくなってないか・・・?」
梨夢(りむ)「というか、召喚するなら先に合図してよ」
梨夢(りむ)「私、あの玉を持って帰っちゃったから、返したかったのに」
ネイト「玉・・・?ああ、あの雰囲気のために置いてたやつか。別にいらないから好きにしてくれ」
侍丸「あのう」
侍丸「くつろぐの早いでござるな」
パスカル「状況を当たり前に受け入れすぎだろう・・・」
梨夢(りむ)「あ。二人とも。今日の朝は何食べた?」
パスカル「久々に会ってする会話じゃない」
侍丸「拙者は昼食を食べ損ねたでござる・・・」
〇殺風景な部屋
ネイト「着いたぞ。ここだ」
梨夢(りむ)「おおっ。あのカオス部屋が様変わりしている」
〇魔物の巣窟
モンスター?「キシャーッ!!」
〇殺風景な部屋
梨夢(りむ)「ここは何の部屋だったの?」
ネイト「さあ?」
ネイト「空いていたから変な生き物を放り込み放題だった。今は全部元の場所に帰したから安心してくれ」
梨夢(りむ)「まあとにかく、これならみんな安心だ」
梨夢(りむ)(ネイトが誘ったのに誰も動きたがらなくて・・・来たの私だけだし・・・)
ネイト「・・・」
ネイト「また会えてよかった」
梨夢(りむ)「そうだねえ。みんなに会えて嬉しいよ私も」
ネイト「できればずっといて欲しい・・・とは思うが。無理なんだろう?」
梨夢(りむ)「・・・ネイト。別れる時のことは後で考えるものだよ」
梨夢(りむ)「今はみんないるんだから、今を楽しまなきゃ」
ネイト「・・・そうだな」
ネイト「この部屋を好きに使ってくれていい。君なら何の部屋にする?」
梨夢(りむ)「そうだなあ。何がいいかな。ご飯を食べる部屋?」
ヴェロニカ「食堂はいいですわね。私としては衣裳部屋も良いと思うのだけれど」
パスカル「本をたくさん置くのはどうだ?」
侍丸「拙者は魚を飼いたいでござる~」
梨夢(りむ)「よし。全部やろう」
パスカル「無理だな」
侍丸「無理があるでござる」
ネイト「相容れないものを同じ部屋に詰めるな・・・」
ヴェロニカ「さすがに同意しかねます・・・」
梨夢(りむ)「やるって言ったらやるんだよ!!!!」
梨夢(りむ)「私たちは不可能を可能にしてきた!!そうだろ!?!?」
ヴェロニカ「・・・」
ネイト「・・・」
ネイト「不可能を可能にすると言えば・・・」
ネイト「僕としては、今後は自由にこちらへ来られるようにしたいと考えている」
ヴェロニカ「召喚されなくても、ということですの?」
ネイト「ああ、そうだ。その方が便利だと思ってな」
パスカル「それはいい。疲れた時に休みに来れるようになれば嬉しい」
ヴェロニカ「個人的に必要なものを持ってくることもできますしね」
侍丸「ここならまた違った修行に打ち込めるでござる。良いでござるな」
ネイト「そうか、そう言ってもらえるとこちらも助かる」
ネイト「その研究について君たちにも協力してもらいたいんだ。もちろん片手間で構わない」
ヴェロニカ「協力いたしますわ。この世界もなかなか面白いですし」
侍丸「拙者も微力ながら力になるでござる!」
パスカル「俺も役に立てるかは分からないが・・・。異なる世界の者同士で知識を寄せ合えば、不可能はないな」
ネイト「・・・ああ、そうだな」
ネイト「僕はもう一人じゃない。それがこんなに喜ばしいことだなんて知らなかった」
ネイトの言葉にそれぞれ頷く。みんなが同じ気持ちだった・・・
これはとても良い話だったな。ところで私の意見は・・・?
梨夢(りむ)(こう言いつつも、みんなが協力してくれるのは分かりきっている)
梨夢(りむ)(なぜなら、みんな私に甘いから・・・)
梨夢(りむ)「それに」
梨夢(りむ)「どんなに違ってるものでも、離れてるものでも、一緒になれるって証明されたからね」
おしまい
ステキな物語をありがとうございました!
設定の面白さに惹かれた本作でしたが、この変人5人が出会いを経て自省し成長していくストーリー展開に胸を打たれました。笑いと感動がグラデーションとなっていて最後まで楽しませてもらいました!