異世界で牢屋に入れられましたが、異世界から来て牢屋に入れられた人がいました

空木切

10.実は(脚本)

異世界で牢屋に入れられましたが、異世界から来て牢屋に入れられた人がいました

空木切

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〇牢獄
梨夢(りむ)「新入りのネイトくんです。みんな仲良くするように」
ヴェロニカ「何が起こっているんですの?」
梨夢(りむ)「ネイトくんは今日からここで一緒に生活をします」
梨夢(りむ)「それで、明日からはみんなで一緒に帰る手段を探します」
梨夢(りむ)「みんなで頑張ろー!!おーっっ!!」
梨夢(りむ)「・・・返事は?」
ネイト「さっぱり意味が分からない」
ヴェロニカ「同感ですわ」
パスカル「なぜわざわざ牢屋に住む・・・?」
侍丸「よろしくでござる・・・???」

〇研究所の中
梨夢(りむ)「家に帰る手段を考えるために・・・」
梨夢(りむ)「まずはどうやって召喚するのか教えてくれない?」
ネイト「あ、ああ。この装置を使って・・・」
梨夢(りむ)「〜〜?」
ネイト「〜〜。〜〜〜・・・!」
梨夢(りむ)「〜・・・」
侍丸「コソコソ・・・」
侍丸「むむ。なんだか楽しげでござるな」
侍丸「でも拙者は・・・」
梨夢(りむ)「あーっはっはっは!!!いひーっひっひっひ!!!」
ネイト「あは・・・うははははは!!」
侍丸「本当に楽しそうでござるなあ」
梨夢(りむ)「ねえ待ってこれを、こう・・・」
ネイト「ぐ・・・僕はこうする」
「・・・」
「だーっはっはっは!!!」
侍丸「怖・・・」

〇牢獄
侍丸「戻ってきたでござる」
ヴェロニカ「どうでした?」
侍丸「二人で大爆笑していたでござる」
ヴェロニカ「・・・あの子がそんなに笑うとは思えないのだけれど?」
侍丸「本当でござる」
侍丸「気になるなら自分で見に行った方が・・・」
ヴェロニカ「はっ・・・はあ?私は別に・・・」
ヴェロニカ「ただ、あの子一人じゃ心配なだけです」
ヴェロニカ「あの無垢で愛らしい子犬のような顔をしたあの子が困っていたらと思って」
ヴェロニカ「別に気になるわけではありませんわ」
侍丸「それを”気になる”と言うのでは・・・?」
パスカル「しかし一緒に笑っていたとなると、仲が良いのか?」
ヴェロニカ「貴方、いつから聞いてたんですの?」
パスカル「最初からだ。俺も二人の動向は気になっていたからな」
ヴェロニカ「なら自分で確認しに行けばいいと思いますわ」
侍丸「・・・」
ヴェロニカ「そこの人、何か言いたいことがあるのかしら?」
侍丸「せ、拙者は何も!」
パスカル「どういう心境の変化だろうな。ネイトは梨夢を帰す気はなかったはずだが」
パスカル「今は帰る手段を探しているのだろう?何か取引でもしたのか?」
侍丸「気になるなら自分で聞いてきたらどうでござるか」
パスカル「・・・」
侍丸「・・・照れてるでござるか?」
パスカル「照れるか!」
「・・・」
パスカル「ち、違う。護衛の任についていながら護衛の対象にあれこれ聞くわけがないだろう!!」
ヴェロニカ「苦しい言い訳ですわね。要はなんとなく二人の間に入りにくいだけでしょう」
パスカル「・・・なぜ急に仲良くなっている。俺はどうすればいいんだ・・・」
パスカル「護衛はいらないということか?」
侍丸「むしろ拙者たち三人ともいらないでござる」
侍丸「”お前はナシ!”と言われて放置されているだけでござるし・・・」
侍丸「ネイト殿が欲しいのは梨夢殿だけでござる。二人が仲良しで帰る手段を探しているなら」
侍丸「拙者たちは特にすることもなく・・・」
「・・・」

〇研究所の中
梨夢(りむ)「右かな?」
ネイト「左じゃないか?」
梨夢(りむ)「でも左だとしたら・・・」
梨夢(りむ)「ん?誰か来た?」
梨夢(りむ)「あれ・・・どうしたの?」
ヴェロニカ「私は茶葉を探しに来ただけです」
パスカル「俺は・・・散歩で?」
侍丸「拙者は、ええと、修行のために」
梨夢(りむ)「そうなんだ・・・てっきり手伝いにきてくれたのかと」
梨夢(りむ)「私はまだ帰るのを諦めてないから」
ヴェロニカ「・・・ねえ、そこの青カビ臭い貴方」
ネイト「もしかして僕か・・・?」
ヴェロニカ「彼女を帰してしまってもいいんですの?」
ネイト「はっきり言って・・・まだ悩んでいる。だが、気付いたんだ」
ヴェロニカ「無理矢理に結婚するのはいけないことだと、今更気付いたんですか?」
ネイト「いや。そうじゃない」
ネイト「食料の備蓄が残り少ない。調達しに行くにしても、研究所を出られないんだ」
ヴェロニカ「どういうことですの?」
ネイト「召喚した変な生き物が、出入り口を塞いでいる」
ネイト「ここは地下だ。地上に出る道を塞がれてしまってはどうしようもない」
ヴェロニカ「ああ・・・そういうこと」
ヴェロニカ「つまり。私たちは今、地下に閉じ込められているということですわね」
ネイト「ああ」
ヴェロニカ「このままでは飢え死にすると」
ネイト「そうだ」
ヴェロニカ「その変な生き物は倒せないんですの?」
梨夢(りむ)「玉を投げつけたけどびくともしなかった。扉と同化してるんだよね・・・」
ヴェロニカ「玉?」
梨夢(りむ)「玉」
ヴェロニカ「ふふ、大体状況は分かりましたわ」
ヴェロニカ「出入り口を塞いでいる生物を元の場所に帰さないと、私たちは飢え死に・・・」
ヴェロニカ「・・・」
ヴェロニカ「四の五の言ってないでやりますわよ!!!!!!皆様方!!!!!!」

次のエピソード:11.みんなで手を繋ごう

コメント

  • ゆるーい展開から急に語られる食糧問題。元の世界に帰るのを躊躇している人も、とにかく帰りたい(というかイクラを食べたい)人も問題意識を共有、熱い展開になりそうな気配がw

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