異世界で牢屋に入れられましたが、異世界から来て牢屋に入れられた人がいました

空木切

8.一体どうした(脚本)

異世界で牢屋に入れられましたが、異世界から来て牢屋に入れられた人がいました

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〇研究所の中
ヴァルト「──ああ、どうして見つからないんだ」
ヴァルト「どうして私たちを置いていった・・・本当はずっと帰りたかったとでもいうのか」
  父さん
ヴァルト「ああ、くそっ!!ふざけるな!!!私を置いて勝手に消えるなどと・・・!!!」
  父さん、父さん──
ヴァルト「まだだ、もう一度だ」
  父さん、もういいよ、やめようよ
ヴァルト「すまないな、ネイト。お前にも寂しい思いをさせて」
ヴァルト「母さんは必ず戻ってくるからな。大丈夫、大丈夫だ・・・」
  違うよ父さん、僕は父さんさえいれば──
ネイト「はっ!!」
ネイト「うっかり寝てしまった・・・妙な夢を見たような気がする」
ネイト「僕は父さんとは違う・・・」
ネイト「違うんだ・・・!」

〇牢獄
  美味しい・・・美味しすぎる・・・
  ええっ!食べても食べても減らない・・・!!!
  サイコー!!サイコーイエーイ!!
梨夢(りむ)「はっ!!!!!!」
梨夢(りむ)「・・・夢?」
梨夢(りむ)(イクラが恋しすぎるあまりにイクラの夢を見てしまった)
梨夢(りむ)(イクラだけじゃない。カニもあったし、ウニもあった。冷蔵庫の中が海鮮のお祭り状態だった)
梨夢(りむ)(よく思い出してみるとカニもウニも本当に買ってあった気がする。早く帰りたい・・・愛する我が家へ・・・)
梨夢(りむ)「ステーキ肉もあるのに・・・」
ヴェロニカ「貴方、寝ながら何を食べていましたの?」
梨夢(りむ)「ふふ・・・ヒミツ❤」
ヴェロニカ「・・・暇そうですわね。貴方、この施設内を漁って美味しいお茶でも淹れてきなさい」
梨夢(りむ)「どうしたのベニちゃん」
梨夢(りむ)「いつもの”オーッホッホ!!愚民ども~!!さっさと帰る手段を探してきなさぁ~い!!”は?」
ヴェロニカ「私そんな風に見えていたんですの?」
ヴェロニカ「そんな高笑いをした記憶はありませんが・・・威圧的な態度を取ったこともあったかもしれませんわね。今後は気を付けます」
梨夢(りむ)「ほっ、本当にどうしたのベニちゃん!!?」
梨夢(りむ)「私に弱みでも握られた!?」
ヴェロニカ「それって自分で言うことなんですか?」
梨夢(りむ)「変な夢でも見たの!?」
ヴェロニカ「・・・上に立つ者として、下々の者へ慈悲を与えることも必要だと思っただけです」
ヴェロニカ「そうね、貴方も今日はのんびり過ごしなさい。お茶を探すのも明日で良いです」
梨夢(りむ)「・・・」
梨夢(りむ)「のんびりもしたいけど、早く家に帰りたいからやめとく」
梨夢(りむ)「で、今日はどうする?またネイトのところに行く?」
ヴェロニカ「あの男に会ったところで何にもなりませんわ。やめておきなさい」
梨夢(りむ)「じゃあ施設の中を探りに・・・」
侍丸「無駄でござるよ」
梨夢(りむ)「侍丸殿~!元気になったんでござるか~?!」
侍丸「探したところで意味はないでござる」
梨夢(りむ)「何でそう思うの?」
侍丸「それは・・・」
パスカル「考えれば分かることだ」
梨夢(りむ)「あっ!パスカル~!久しぶり!元気してた~!?」
パスカル「・・・。奴が俺たちを放置している意味を考えてみろ。こんなタダ飯食らいを何人も置いておくなんておかしいだろう」
梨夢(りむ)「なんだかんだ三食付きで出入り自由の牢屋だもんね。前衛的なホテルかよってね」
パスカル「俺たちは奴にとって重りだ。帰す手段があるなら、わざわざ置いておく理由がない」
梨夢(りむ)「・・・」
梨夢(りむ)「そうかもしれないけど・・・」
梨夢(りむ)「だからって諦めるの?」
梨夢(りむ)「だって、みんな帰りたいでしょ?そのために今まで頑張ってきたのに」
梨夢(りむ)「ねえ?」
侍丸「・・・」
パスカル「・・・」
ヴェロニカ「・・・」
梨夢(りむ)「・・・え?帰りたいよね?」
梨夢(りむ)「帰らないと困るんでしょ?帰りたい理由があるんじゃなかったの?」
パスカル「・・・前はあった。だが今は見つからない」
侍丸「拙者は何をしたかったのか・・・分からなくなってしまったでござる」
梨夢(りむ)「・・・ベニちゃん・・・」
ヴェロニカ「帰れないのなら、悪あがきをするだけ無駄ですわ」
梨夢(りむ)「・・・!」
梨夢(りむ)「・・・」
ヴェロニカ「貴方はネイトと結婚をしたくないのでしょう?私が特別に取り計らって差し上げます」
ヴェロニカ「それなら、ここにいても問題はないはずですわ」
パスカル「俺も手を貸そう。護衛をするのは慣れている」
侍丸「拙者の忍術があれば何があっても逃げられるでござるよ~!」
ヴェロニカ「これで、問題はないでしょう?貴方には私たちがついています」
梨夢(りむ)「三人とも・・・」
梨夢(りむ)「悪いけど、私には心に決めた魚卵がいるので!!!ごめんなさい!!!」
梨夢(りむ)「走って去る!!!」
ヴェロニカ「どんな去り方ですの・・・」

次のエピソード:9.ネイトの計画と梨夢の過去

コメント

  • 「心に決めた魚卵」って、とんでもないパワーワードですねww
    久しぶりの全員集合回、物語が動きそうですね。梨夢さんのイクラ愛は揺るがない様子でw

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