異世界で牢屋に入れられましたが、異世界から来て牢屋に入れられた人がいました

空木切

6.悪役令嬢の憂鬱2(脚本)

異世界で牢屋に入れられましたが、異世界から来て牢屋に入れられた人がいました

空木切

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〇研究所の中
梨夢(りむ)「さて。到着したはいいもののネイトがいないぞ」
ヴェロニカ「ここまで歩いて足が疲れましたわ。貴方、椅子を持ってきてくださらない?」
梨夢(りむ)「承知!」
ヴェロニカ「足のマッサージもして欲しいのだけれど」
ヴェロニカ「なんだか空気が淀んでいるわ。窓を開けて」
ヴェロニカ「私、もう動きたくありませんわ。早くネイトを探してここに連れてきなさい」
梨夢(りむ)「ええ?ええと、ええと?椅子のマッサージをしてネイトを開ける?」
ヴェロニカ「できるものならやってみて欲しいものですわね・・・」
ヴェロニカ「こうなったら仕方ありませんわ・・・こほん」
ヴェロニカ「ここの責任者はどこにいらっしゃいますの!?その我欲に塗れた顔をさっさとお出しなさい!!!」
ヴェロニカ「来なければ部屋の物を全て処分します!!!!!泣いて許しを請うなら早いうちがいいですわよ!!!!!」
ヴェロニカ「・・・ああ疲れた」
梨夢(りむ)「み、耳が・・・」
ネイト「なっ、なっ、なんだ今の馬鹿デカいサイレンのような声は!!?!?!」
ネイト「うちにドラゴンが!?それともマンドラゴラが!?」
梨夢(りむ)「そこにいるお嬢様の天然爆音上映ですわ」
ヴェロニカ「全く。下民のくせに私を待たせるなんていい度胸をしているわね」
ヴェロニカ「ネイト、私の要求は一つです」
ヴェロニカ「そこでぼーっと突っ立っている飢えた犬のような顔をした人間を差し上げます。代わりに私を家に帰してくださいな」
梨夢(りむ)(確かに私は飢えているかもしれない。イクラが食べたくて・・・じゃなくて)
梨夢(りむ)「ベニちゃん話が違う。ネイトを脅して吐かせるんじゃなかったの?」
ヴェロニカ「下郎がげろげろする様を見たくはないですわ」
梨夢(りむ)「ダジャレだ~あはははは」
ネイト「・・・?・・・?????」
梨夢(りむ)「ほらベニちゃん、向こうも反応に困ってるよ」
ヴェロニカ「何故すべて私任せなんですの・・・?」
ヴェロニカ「はあ。仕方ありませんわね」
ヴェロニカ「ネイト。貴方、もう母親を探すのはやめなさい」
ネイト「はっ・・・はあ?何を言っているんだ?」
ネイト「確かに僕の父さんは、母さんを探していたみたいだけど」
ネイト「僕は母さんを探したわけじゃない。理想の結婚相手を探して・・・」
ヴェロニカ「口ではそう言っているけれど、本当は母親が恋しかっただけなのでしょう?全て無駄ですわ」
ヴェロニカ「貴方の母親は他の場所で幸せに暮らしているはずです。貴方も夢ばかり見ていないで現実を見たらどう?」
ヴェロニカ「無理矢理に攫うような真似をして、逃げ場もない人と強制的に縁を結んでしまおうなどとは傲慢にもほどがあります」
ヴェロニカ「人に好かれたければそれ相応の努力をするべきですわ。現に、貴方の結婚相手は貴方に毛ほども興味がありませんし」
梨夢(りむ)(正論・・・なのか・・・?)
ネイト「・・・」
ネイト「なっ、何を言っているか分からないが・・・どうすれば相手に好かれるんだ?」
ヴェロニカ「あら。そんなの簡単ですわ」
ヴェロニカ「お金です」
梨夢(りむ)「・・・」
梨夢(りむ)(そうだったー!この人お嬢様だったー!!)
ヴェロニカ「具体的に言うと、財力・権力・包容力ですわ」
ネイト「なるほど、勉強になる・・・」
梨夢(りむ)(たぶん違う!!)
ネイト「前二つは分かるが、最後の包容力はどういう意味だ?」
ヴェロニカ「どんな犠牲を払ってでも相手の望みを叶え、何をされても全て許すことですわ」
ネイト「・・・深いな・・・」
ヴェロニカ「意外と飲みこみがいいじゃない。実行できなければ無意味でしょうけどね」
ヴェロニカ「早速実践してみなさい。他はともかく、包容力だけならすぐにでも身に付けられますわ」
ネイト「よ・・・よし」
ネイト「梨夢・・・君がしたいことは何でも叶えてやろうじゃないか。何でも言ってみるといい」
梨夢(りむ)「では・・・」
梨夢(りむ)「家に帰りたいです!!!!!」
ネイト「うっ、そ、それは・・・」
ヴェロニカ「包容力ですわよ・・・」
ネイト「し、しかし、そうしたら僕と君は結婚できないじゃないか。僕はまた・・・」
ネイト「くっ・・・で、デタラメだ!!!お前の言うことは全部めちゃくちゃだ!!!」
ヴェロニカ「なんですって?デタラメ?」
ネイト「ああ、そうだ!!お前の言うことは全部的外れだし嘘っぱちだ!!」
ネイト「僕が母さんを探しているとか言っていたが、僕は母さんなんてどうでもいいんだ!!!」
ネイト「母さんは、僕のことが好きじゃなかったんだ。愛されてなかった。だから、いなくなってもどうでもいい」
ヴェロニカ「・・・そんなの、嘘ですわ」
ヴェロニカ「私が間違っているはずない」
ネイト「全部間違ってるんだよ!!」
ヴェロニカ「・・・っ」
梨夢(りむ)「ベニちゃん!?どこ行くの!!?」
ネイト「放っておけ。それより、僕と何か話を・・・」
梨夢(りむ)「あばよ!!」
ネイト「あっ、おい!!!足速っ!!!」

次のエピソード:7.悪役令嬢の憂鬱3

コメント

  • さすが悪役令嬢サマ!!
    この、クセが強すぎるキャラたちに振り回されるネイトさんと読者、という構図にヤミツキになってしまいますね!w

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