魔法のクッキー!

あとら

エピソード8.叶子と魔法のクッキー(脚本)

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〇田園風景
伊集院 累「あぁ、なんと自然豊かな村だろうか!!」
朝平 真実「バスが二時間に一本しか来ないのも納得だわ」
野上 叶香「えっと、確かこの辺に、 おばあちゃんの家があった筈・・・・・・」

〇平屋の一戸建て
野上 叶香「あった、ここよ」
伊集院 累「物置小屋じゃないか!? 本当にこんな所に人が住んでいるのかい!?」
十六夜 節那「ナチュラルに失礼な事言うのはやめような?」
野上 叶香「ごめんくださーい!!」
十六夜 綾音「なんだい、騒々しいね!! 急患かい・・・・・・って」
十六夜 綾音「アンタ、もしかして、叶香ちゃんかい!?」
伊集院 累「随分若いお婆さまだね!!自然豊かな土地に住む女性は皆歳を取らないのかな?」
十六夜 節那「んなわけあるかい」
十六夜 綾音「アンタ達、面倒な事になる前に早く家の中に入んなさい!!」
野上 叶香「ど、どうしてですか!?」
十六夜 綾音「説明は家の中でするから、 とにかく入って頂戴!!」
野上 叶香「はっ、はい!!」

〇実家の居間
十六夜 綾音「それにしても大きくなったわねぇ。 今中学生位かしら?」
野上 叶香「いいえ。高校生です」
十六夜 綾音「うっそ、もうそんなに経つのね!! 通りで私も体の疲れが取れないわけだ!!」
朝平 真実「歳を取ってなくても毎日疲れている私はどうすればいいのかしら?」
十六夜 節那「学級委員長に風紀委員に叶香のお守りをしていれば、そりゃあ疲れるわな」
野上 叶香「ところで叔母さん、ここってお婆ちゃんの家の筈だけど、どうして叔母さんがここにいるの?」
十六夜 綾音「あぁ、そうかい。ご両親はアンタにはこの事を話していなかったのかい」
野上 叶香「どういう事?」
十六夜 綾音「叶子さん、入院しているんだよ 私は貴女の両親からこの家を譲り受けたの」
朝平 真実「入院?」
十六夜 綾音「えぇ、まぁ、それ以前にも色々あって、 この家どころは村にも居られなくなってね。入院自体はごく最近の話なのよ」
伊集院 累「村に居られなくなった?」
十六夜 綾音「・・・・・・」
野上 叶香「おばさん?」
十六夜 綾音「その調子だと、 アンタ記憶を無くしているわね?」
野上 叶香「記憶?」
十六夜 綾音「・・・・・・」
十六夜 綾音「必ず事情は話してあげるから、おばちゃんに少し時間を頂戴」
十六夜 綾音「それまでは幾らでもこの家に居ても構わないから」

〇古い畳部屋
野上 叶香「おばさん、何だか様子が変だったね」
朝平 真実「野上さんの方こそ大丈夫?」
野上 叶香「何が?」
朝平 真実「あの人が仕事から帰ってくるまでに、貴女も覚悟を決めないといけないわ」
野上 叶香「どうして?」
朝平 真実「空気からして明らかに良い話ではないでしょ どんな話が出ても平常心でいられる覚悟は出来ているの?」
野上 叶香「心配してくれてありがとう」
野上 叶香「でも私は何があっても受け止める覚悟で、 お婆ちゃんに会いに来たから大丈夫」
野上 叶香「だから私の事は心配しないで。 大丈夫だから」
朝平 真実「・・・・・・」
朝平 真実「分かったわ。信じてあげる」
野上 叶香「ありがとう、朝平さん!!」
  ぐぅう〜
朝平 真実「ウフフ、お腹空いたわね。 十六夜さんが、キッチンは好きに使って良いって言ってたから、何か作りましょうか?」
野上 叶香「えへへ、そうだね」

〇綺麗なキッチン
野上 叶香「・・・・・・」
野上 叶香(あの時と同じだ。 私がおばあちゃんからクッキーをもらったあの時と・・・・・・)

〇綺麗なキッチン

〇綺麗なキッチン
野上 叶香(なに、今の・・・・・・?)
伊集院 累「参ったなぁ・・・・・・」
朝平 真実「どうしたの?」
伊集院 累「調味料が足りないんだ」
朝平 真実「それは困ったわね・・・・・・ ここら辺スーパーがあるとは思えないし」
野上 叶香「あっ、さっき商店っぽい家を見かけたよ」
朝平 真実「でも・・・・・・」
伊集院 累「料理は調和が大事だ! 今すぐ買いに行こう!」
野上 叶香「うん!」
朝平 真実「・・・・・・大丈夫なのかしら?」

〇寂れたドライブイン
野上 叶香「なんか雲行きが怪しくなって来たね」
伊集院 累「そうだね。用事を済ませて早く帰ろう」
野上 叶香「すいませーん」
店長「はいはい、今出ますよっと・・・・・・」
店長「貴様は野上のとこの孫娘か!?」
野上 叶香「えっ、あっ、はい。そうですけど」
店長「貴様らに売る商品なぞ無い!! 帰ってくれ!!」
朝平 真実「それなら私がここの商品を買わせていただきます。それなら文句はないでしょう?」
店長「悪いが野上の人間と関わりがある人間には 商品を売らん事にしている」
伊集院 累「そんな横暴が許されると思っているのかい?」
店長「ここでは許されるんじゃよ」
村人A「おう、源さん。いつものアレくれや」
村人B「んん〜?珍しいのう?お客さんが来とるわい」
店長「客だなんて冗談はよしてくれ!! コイツらは野上の人間だ!!」
村人A「あぁ、野上だぁ!?」
村人B「野上の人間なら招かれざる客じゃな これでも喰らえぃ!!」
野上 叶香「キャッ!!」
伊集院 累「叶香くん!!」
十六夜 綾音「ジジイ共!!良い年こいて何してんだい!? 悪態付くのは設定1のスロットだけにしな!!」
店長「綾音!!息子があんな目に遭ったというのに、ソイツを庇うのか!!」
十六夜 綾音「前の夫との間にできた息子への愛より、こんな私の面倒をずっと見てきてくれた叶子叔母さんへの恩の方が大きいんだよ!!」
十六夜 綾音「行くよ、アンタ達!!車に乗りな!!」
野上 叶香「はっ、はい!!」

〇車内
十六夜 綾音「ごめんね、叶香ちゃん。 辛い思いをさせちゃったね」
野上 叶香「大丈夫です。 ちょっとビックリはしましたが」
朝平 真実「叔母様、今の時間は仕事ですよね? どうしてここにいるんですか?」
十六夜 綾音「あぁ、忘れ物しちゃったのよ」
十六夜 綾音「んで取りに行って戻ったら、 貴女達を見かけたってわけ」
伊集院 累「危ない所を助けて頂きありがとうございます」
十六夜 綾音「いいのよ。怪我が無くて良かったわ」
野上 叶香「ねぇ、おばさん。 どうして、おじさん達はあんな事をしたの?」
十六夜 綾音「・・・・・・」
十六夜 綾音「・・・・・・どんな過去でも受け止める過去は出来ているかしら?」
野上 叶香「勿論です!!」
十六夜 綾音「今から話す内容は、貴女にとって、 とてもとても辛い内容よ」
十六夜 綾音「それでも聞きたいのかい?」
野上 叶香「はい!!」
十六夜 綾音「・・・・・・」
十六夜 綾音「駄目ね。私の方が覚悟決まらないや」
野上 叶香「そ、そんなぁ〜!!」
朝平 真実「・・・・・・まさかね」
伊集院 累「叶香くん、まさか・・・・・・ いや、それなら辻褄が合うか・・・・・・」
十六夜 綾音「叶香ちゃん、まずは会って欲しい人がいるから、その人に会って欲しいの」
野上 叶香「会って欲しい人?」
十六夜 綾音「私の勤め先の入院患者さんよ」
野上 叶香「べ、別に良いけど・・・・・・」
野上 叶香「あっ、それなら節那も連れて行かないと!!」
野上 叶香「おばさん、節那がまだ家にいるから、 戻ってもらってもいいかな」
野上 叶香「ヒッ!?」
伊集院 累「おい、何考えてんだ!!アンタ!!」
十六夜 綾音「・・・・・・その名前を二度と私の前で言わないで」
朝平 真実「だとしても何の理由も無くいきなり手を上げるのは、大人として・・・・・・いえ、人としてどうかと思うわ」
十六夜 綾音「・・・・・・ごめんね」
十六夜 綾音「やっぱり私も一人の母だったって事か・・・・・・」
野上 叶香「・・・・・・」

次のエピソード:エピソード9.叶子と魔法のクッキー2

コメント

  • すごい急展開!色々なことの真相が見え隠れする今話、驚きや衝撃で頭がグルグルしますね!この点と点が結びついて線になっていくストーリー展開、たまらないですね!

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