殺し屋、出勤中。

吹宮良治

エピソード13(脚本)

殺し屋、出勤中。

吹宮良治

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〇中規模マンション
  不破がキャリーケースを持ってアパートから出てくる。
東条昌弘「・・・結城あかりはどうなりましたか?」
不破誠「始末した」
東条昌弘「そのケースは?」
不破誠「亡骸が入っている」
東条昌弘「・・・ご苦労様でした。 あとはお金だけですね」
東条昌弘「隠し金庫の場所まで私たちもご同行します」
不破誠「とりあえず車のトランクを開けてくれ。 こいつを入れたい」
東条昌弘「・・・お待ちください」
不破誠「・・・・・・」
東条昌弘「中身を確認させてもらえませんか?」
不破誠「・・・・・・」
東条昌弘「開けたら空っぽなんてことは考えたくもありませんが、念のため」
不破誠「心配するな」
東条昌弘「そういうドラマを観たことがありまして。 用心深くて申し訳ありません」
不破誠「・・・・・・」
東条昌弘「失礼します」
不破誠「やめろ」
東条昌弘「・・・確かに」
不破誠「少しは信用したらどうだ」
東条昌弘「・・・失礼しました」
不破誠「もういいだろう」
東条昌弘「あと一つ」
東条昌弘「この血痕が本物か確認させてください」
不破誠「こんな道端で、いつまで亡骸をさらす気だ」
東条昌弘「すぐ終わりますから」
不破誠「ふざけるのもいい加減にしてくれ」
  あかりの血を指で触る東条。
東条昌弘「・・・血で間違いありませんね」
不破誠「だから言ってるだろう」
東条昌弘「・・・・・・」
不破誠「俺は殺し屋。任務を遂行するだけ」
東条昌弘「・・・安心しました」
不破誠「トランクに積ませてもらう」
  車のトランクにあかりの入ったキャリーケースを積む不破。
岩重君子「では金庫の場所へ案内してください」
不破誠「俺は自分の車で向かう。 あとから付いてきてくれ」
東条昌弘「分かりました」
岩重君子「所詮、殺し屋は殺し屋。 指示に従うしかない奴隷だからねぇ」
東条昌弘「私たちの手を汚さずに済みました」
岩重君子「あとは金だよ金。 それが手に入らなきゃ意味ないからね」
警察官「ちょっとよろしいですか」
警察官「近隣住民から、不審な車が停まっていると通報がありましてね」
警察官「中を確認させてもらっていいですか?」
東条昌弘「・・・通報」
警察官「すぐ終わりますから」
警察官「まずトランクを確認させてもらいますね」
東条昌弘「!」
警察官「・・・このキャリーケースは」
東条昌弘「これは任意ですよね?」
警察官「一般的に皆さんご協力いただいてますので」
岩重君子「開けるんじゃないよ!」
東条昌弘「!?」
  ケースが少し開いているのに気付く東条。
岩重君子「どうしたんだい、東条」
岩重君子「何なんだよ、これは!」
東条昌弘「・・・・・・」
警察官「何か入ってたんですか?」

〇ビルの裏通り
結城あかり「こんな無茶な作戦立てないでよ」
不破誠「上手くいったようだな」
結城あかり「あなたの血までつけさせて・・・」
不破誠「相手を騙す時は、できるだけ真実で塗り固める。 基本だ」
結城あかり「警察が来たタイミングで抜け出せって、数秒しかなかったわよ」
結城あかり「もしあいつらに見られたら終わりじゃない」
不破誠「見られたとしても、警察が保護してくれたはずだ」
不破誠「市民の安全を守るのが警察の役目。 困った時は110番だ」
結城あかり「殺し屋が警察に通報するって。 そんな手よく使うわね」
不破誠「もちろん初めてだ」
結城あかり「・・・・・・」

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