少年ドリルは廃刊です!

西瓜頭

第3話「激臭伝説」(脚本)

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〇漫画家の仕事部屋
金田 一生(かねだ いっせい)「あゆむ、今日は父ちゃんが 一番臭かった時の話をしてやろう」
あゆむ「あゆむ、くさいのヤダ!」
金田 一生(かねだ いっせい)「そうだな、父ちゃんも嫌いだ」
金田 一生(かねだ いっせい)「でも、あの頃の父ちゃんたちは 若くて、青くて、そして──」
金田 一生(かねだ いっせい)「──どこまでも、臭かったんだ」

〇漫画家の仕事部屋
  前回のあらすじ
  激臭サウナ地獄と化した仕事場!
  あゆむは早乙女にニオイを嗅がれ
  女だとバレそうになっていた
  頑張れあゆむ! 〆切は近い!
  なんとか原稿を上げるんだ!

〇黒
  一方そのころ
敷島 海(しきしま かい)「漫画家の先生たちが 必死に原稿を描いてる時」
敷島 海(しきしま かい)「・・・」
敷島 海(しきしま かい)「担当編集って、無力なもんだ」
敷島 海(しきしま かい)「いや、クサってる場合じゃねぇ」
敷島 海(しきしま かい)「俺も、できることをするだけ──」
敷島 海(しきしま かい)「こーいう時は 多忙な男坂センセに代わって」
敷島 海(しきしま かい)「少しでも芸の肥やしを探すんだ」
敷島 海(しきしま かい)「そう、例えば──」

〇ホストクラブ
敷島 海(しきしま かい)「キャバクラで豪遊とかネッ!!」
敷島 海(しきしま かい)「フゥ──────────ッ!」
敷島 海(しきしま かい)「いやめっちゃ涼しい! ここ! めっちゃ! 涼しい!」
敷島 海(しきしま かい)「織香ちゃん、エアコン設定なん℃?」
織香「16℃よん?」
敷島 海(しきしま かい)「贅・沢ッ!」
敷島 海(しきしま かい)「イェ────────!」
敷島 海(しきしま かい)「えっ ナニコレ! めっちゃいいニオイするじゃん! ナニコレ!?」
みゆう「あ・・・わかる?」
みゆう「シャネガリのお香水・・・」
みゆう「あたり一面に撒き散らかしてみたの〜♡」
敷島 海(しきしま かい)「芳・醇ッ!!」
敷島 海(しきしま かい)「ヒュ────────ッ!」
敷島 海(しきしま かい)「ドンペリーニョもう一本入れちゃって!」
敷島 海(しきしま かい)「あ! 社長さんも一本ドーゾ!」
敷島 海(しきしま かい)「いい酒は分かち合わねぇとな!」
織香「あ、領収書の宛名は?」
敷島 海(しきしま かい)「──」
敷島 海(しきしま かい)「『少年ドリル編集部』でッ」

〇漫画家の仕事部屋
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「じゃないよ バカッ!」
ヒャッハー「ヒャッ!?」
御出(おで)「突然どうしたんだな?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ゴメン」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ヘンな電波受信しちゃった」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(凝視)」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(めっちゃこっち見てる)
早乙女 優(さおとめ ゆう)「男坂先生」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「な、なに?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「その机のひきだしに 『女』入ってませんか?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「発想怖ッ! いないよ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(と、とにかく)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(女だってバレないためには──)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(においの元を断つほかないッ!)
あゆむのわき「ぎゅー!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「・・・あれ?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「気のせいか〜」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(通った!)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「!!」
ヒャッハー「男坂先生、何してんだ・・・?」
ヒャッハー「そんな赤ちゃんペンギンみたいな スタイルでよォ・・・」
ヒャッハー「この地獄を終わらせるために」
ヒャッハー「頼む── マジメに描いてくれ・・・ッ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ド正論だッ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(す、少しくらいなら・・・?)
あゆむのわき「む わ っ」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「お や っ ?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ヒィィッ!?(わきギュッ)」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「あれ〜? むこうかな〜?」
ヒャッハー「描いて?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ハイッ!(むわっ)」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「イヤこっちだわ」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「り、理不尽ッ!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「いま婦人って言いました!?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「言ってないヨォ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(もーヤダ! シャワー浴びたい!)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(どーすりゃいいのコレ)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(たすけて! 父ちゃん!)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(そうだ、あの時)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「父ちゃんは──・・・」

〇大学の広場
金田 一生(かねだ いっせい)「大学生時代、父ちゃんはどこまでも 「男」らしさを追いかけていた」
あゆむ「男っ!?」
金田 一生(かねだ いっせい)「キャンパスは部活動やサークルの勧誘で活気に満ちていた」
金田 一生(かねだ いっせい)「とにかく男らしい活動をしたい 男を磨き上げたい」
金田 一生(かねだ いっせい)「そんな父ちゃんの心を惹く 一つの団体があった」

〇大学の広場
  応援団だ
金田 一生(かねだ いっせい)「学ランをビシッ! とキメて演舞するその姿・・・」
金田 一生(かねだ いっせい)「その気合にあてられた父ちゃんは ホイホイ入団しちまった訳だが」
金田 一生(かねだ いっせい)「それがいけなかった」
あゆむ「いけなかったの!?」
金田 一生(かねだ いっせい)「その年の新入団員は 父ちゃん含めて20人はいたかな」
金田 一生(かねだ いっせい)「地獄の合宿が始まった・・・!」

〇黒
金田 一生(かねだ いっせい)「合宿中、父ちゃんたちは しごきにしごき抜かれた」
金田 一生(かねだ いっせい)「やれ、声が小さい」
金田 一生(かねだ いっせい)「姿勢が悪い」
金田 一生(かねだ いっせい)「些細なことで殴られ 蹴り倒された」
金田 一生(かねだ いっせい)「あの時ほどコンクリの地面を 恨めしく思ったことはない」
金田 一生(かねだ いっせい)「学ランに、素足で一日中 演舞し続けるんだ」
金田 一生(かねだ いっせい)「血反吐を吐いても」
金田 一生(かねだ いっせい)「足の裏がズタズタになって」
金田 一生(かねだ いっせい)「化膿して歩けなくなっても」
金田 一生(かねだ いっせい)「絶対に許されなかった」
金田 一生(かねだ いっせい)「演舞が終われば、先輩たちの給仕に 寝床の用意──」
金田 一生(かねだ いっせい)「一日が終わる頃には、風呂に入る気力もなく 気絶するように眠ったよ」
金田 一生(かねだ いっせい)「押し込められた狭い部屋に 毎晩誰かのすすり泣く声が聞こえたっけな・・・」

〇漫画家の仕事部屋
金田 一生(かねだ いっせい)「合宿の一週間が過ぎる頃新入団員は たった5人になっていた」
金田 一生(かねだ いっせい)「狭い寝部屋は血と汗とゲロが染み込んだ 学ランに男たちの体臭が加わり」
金田 一生(かねだ いっせい)「地獄のバイオテロ状態 あれが一番臭かったな・・・」
あゆむ「そ、それで・・・?」
金田 一生(かねだ いっせい)「──」
金田 一生(かねだ いっせい)「それだけだ」
あゆむ「へ?」
金田 一生(かねだ いっせい)「それでおしまい」
あゆむ「ええ〜〜〜〜!?」
金田 一生(かねだ いっせい)「ははっ」
金田 一生(かねだ いっせい)「でも、ホントにそれだけなんだ」
金田 一生(かねだ いっせい)「一週間、同じ顔ぶれと 同じように苦しみ、同じように泣いて」
金田 一生(かねだ いっせい)「同じように傷ついて、血を流した」
金田 一生(かねだ いっせい)「それだけで──」
金田 一生(かねだ いっせい)「一生の友達ができちまったんだ」
金田 一生(かねだ いっせい)「ていうのは言い過ぎか・・・ 在学中はずっとつるんでたわけだし」
金田 一生(かねだ いっせい)「でも」
金田 一生(かねだ いっせい)「きっと俺たち「男」の友情 その始まりは──」
金田 一生(かねだ いっせい)「どこまでも臭すぎる、あの部屋の 一週間にあったんだ」
あゆむ「──それが」
あゆむ「男の友情・・・!」
金田 一生(かねだ いっせい)(まあその後 先輩たちをアレして○✕して ■■■■した訳だが)
金田 一生(かねだ いっせい)(あゆむには言えねーな)

〇黒
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「──そっか、そうだよね」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「父ちゃん、ありがとう!」

〇漫画家の仕事部屋
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ワリィけど中座するぜ!」
「・・・・・・」
ヒャッハー「・・・もしかして 一人でシャワー浴びに行った?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「まさか!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「男坂先生がそんな 卑怯なマネするわけないです!」
???「うへっ!? すっぱぁ!? クサクサクサッ!」
???「むわっ 私の体臭 くさすぎ!? なんちて・・・w」
早乙女 優(さおとめ ゆう)(なんか奥の部屋から衣擦れ音と カワイイ声が聞こえてきたけど・・・)
早乙女 優(さおとめ ゆう)(気のせいだな!)
???「待たせたな! こっからは──」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「気合い入れて行くぜッ!」

〇漫画家の仕事部屋
ヒャッハー「学ランだとッ!? これは・・・」
ヒャッハー「たしかにッ!」
御出(おで)「・・・気合」
御出(おで)「漲るんだなッ!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「あ・・・」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「あ・・・!」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「アニキッ・・・!」

〇黒
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「父ちゃんの形見の学ラン!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「ちょっとデカすぎだけど 取っといて良かった!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「これで体臭をかき消しつつ 自由に動ける!」

〇漫画家の仕事部屋
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「一気に描き上げ──」
  あゆむが筆をとった
  その瞬間──
  その学ランに
  封じられていた
  あらゆる臭気が

〇黒
金田 一生(かねだ いっせい)「あゆむ、父ちゃんな その学ラン──」
金田 一生(かねだ いっせい)「一回も洗ったことないわ!」

〇漫画家の仕事部屋
  数十年の時を越えて
  炸裂した!
御出(おで)「ぐっ・・・」
ヒャッハー「──ハァッ!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「父ちゃん──」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「あゆむ、くさいの、ヤダ・・・」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「え? そんな──」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「あっ、アニキ?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「アニキィ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
  男たちの友情の証は
  受け継がれる
  その激臭とともに

〇雑誌編集部
恩田 実弥(おんだ さねみ)「へ・・・へ・・・」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「へっきち!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「ん〜〜 誰かボクのこと好きって言った?」
三角 瑛里(みすみ えいり)「なーにイミフなこと言ってるんですか」
三角 瑛里(みすみ えいり)「て、うぅうわ!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「オフィスで靴下脱ぐの止めて下さい!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「だって、ムレるんだもん」
三角 瑛里(みすみ えいり)「『だもん』じゃねーわ!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「・・・ていうか 足の裏ボッロボロじゃないですか」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「あ──それは古傷だからだいじょ・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「え? 新手の水虫・・・?」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「あーハイハイ そーだよ水虫水虫」
三角 瑛里(みすみ えいり)「ヒッ・・・・・・!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「い────やァ────ッ!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「きったな────────い!!!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「・・・」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「ヒドイっ!」

次のエピソード:第4話「ドリル系女子高生あゆむちゃん〜曲がり角のアイツを撃破せよ!〜」

コメント

  • 編集がキャバでウハウハな時にあゆむちゃんは激臭に……。
    画面越しから臭ってきそうなデンジャー感が半端ないです。

  • 早乙女くんには激臭爆弾効かないとは!
    恐ろしい子!!
    あゆむのオンナ脇のパフパフ攻防がメチャクチャ楽しかったです。

  • 我が母校剣道部の受け継がれし防具達を思い出しました…
    アレを着けて動き出し、熱と湿気が伝わると封印が解けて…

    呪いの武具でしたね……

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