好きバレしてたらよかったのか?

るか

6 キュンは突然(脚本)

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〇フェンスに囲われた屋上
力丸(突き飛ばされて当然だ・・・)
  あの日から、鷹野に合わせる顔がない──
力丸(避け続けるのも大変だ・・・)
力丸(誰だ?)
セナ「はぁぁ・・・」
力丸(鷹野? 見つからないうちに・・・  そーっと・・・)
  なんとか出て行こうとした時だ──
セナ「おう!! 金魚のフン!!」
セナ「なにコソコソしてんだ?」
力丸「あ・・・ た、鷹野?」
セナ「珍しいな、一人なんて」
力丸「そんなことない」
  心臓がうるさい──
セナ「・・・」
力丸「・・・」
セナ「お前、美紅にフラれただろ?」
力丸「フラれるも何も、自分の気持ちがわからない」
セナ「あれだけ一緒にいるのに?」
セナ「好きでもなければ、あそこまでべったりしないだろ?」
力丸「・・・」
セナ「周りがわかるくらいだ 知らぬは本人だけ──」
力丸「そうなのか?」
セナ「そうに決まってる」
セナ「お前さ、ショックだった時何してた?」
力丸「ショックなんて・・・」
セナ「ぶっ倒れてたろ?」
力丸「あ・・・」
セナ「あの後、どうやって立ち直ったんだ?」
力丸「立ち直るもなにも・・・」
  この数日間、鷹野のことで頭がいっぱいでそれどころじゃなかった──
セナ「人と通じ合うのって」
セナ「こんなに難しいんだな・・・」
力丸「難しいな・・・」
セナ「お!?」
力丸「なんだ?」
セナ「なんか、お前・・・」
セナ「いや、なんでもない」
力丸「なんだよ」
セナ「いや、居心地がいいや」
セナ「お前と一緒だと」
力丸「は? 何言ってんだよ?」
セナ「だな・・・」
セナ「お前、オレのこと・・・すごいイヤそうに見るもんな」
力丸「鷹野が、俺につっかかるからだろ?」
セナ「そうか? オレはお前みたいなヤツ好きだ」
  心臓が・・・大暴れだ
力丸「いつもバカにしてるくせに」
セナ「からかってんの!!」
セナ「反応がオモシレーから」
力丸「帰る!!」
セナ「ああ、じゃあな」
セナ「おい!!」
  鷹野に腕をつかまれた──
セナ「お前、ケガしてんな?」
力丸「ああ、これ・・・」
  とっさにウソをついた・・・
力丸「犬にかまれて・・・」
セナ「ハハッ、ドジなのは変わらねぇな」
力丸(変わらない?)
セナ「しっかり消毒しておけよ!」
力丸「なあ、俺たち昔から知り合いか?」
セナ「お前っ!!!!」
  鷹野が怒りで震えている──
セナ「ま、昔からそういうヤツだったな」
力丸「なあ、いつ・・・」
セナ「教えねぇ・・・絶対教えないからな!!!!」

〇教室
力丸「っていうことがあったんだが・・・」
美紅「あんた、セナのことホントに覚えてない?」
力丸「いや、全く」
美紅「はぁぁ・・・」
力丸「昔、会っているなら、美紅も一緒に会ってるだろ?」
美紅「ええ、まあ・・・」
力丸「どんなヤツだった?」
美紅「本人に聞いたら? 実は・・・」
美紅「正直、あたしも覚えてないし・・・」
力丸「そうなのか?」
美紅「う、うん・・・」
  なんだろう・・・
  何かが抜け落ちてる気がする・・・

〇ジャズバー
  何か落ち着かず、鷹野のピアノを聴きに行った──
セナ「皆さん、今日もありがとうございました!!」
ファン「今日は、全然元気ありませんでしたね」
力丸「そうなんですか?」
ファン「ええ、毎日見てるとわかるんです」
ファン「こんなにした、セイラが憎いっ!!」
力丸「彼女のせいなんですか?」
ファン「ええ・・・ ここ最近、絶不調なんです」
力丸「・・・・・・」
ファン「わかってます?」
力丸「え?」
ファン「だーかーら!!!!」
セナ「お前、なんでここに!?」
ファン「あ、あの、今日も良かったです💕」
力丸(え!? おいおい・・・さっきと言ってることが違うぞ!?)
セナ「どうも」
セナ「なあ、時間あるか? ちょっと付き合えよ」
ファン「あります!! たっくさんあります!!」
セナ「いや、お前じゃなくて・・・こっち」
  そう言うと、鷹野は俺を指さした──
ファン「・・・あ・・・あ・・・あ」
ファン「ひどいっ!!!!!!」
セナ「ハハッ アイツ、嫉妬深い濃すぎるファン」
力丸「大変だな・・・」
セナ「ハハッ まあな」

〇見晴らしのいい公園
セナ「いい眺めだな・・・」
力丸「ああ、夜ここ来たのは初めてだ」
セナ「小さい時、夜にどうしても出たくて・・・」
セナ「よく大泣きしてた」
セナ「すると、母さんがあわてておんぶして・・・」
セナ「散歩してくれるんだ」
力丸「いいな、それ」
力丸「俺は・・・暗闇が怖くて夜は嫌いだった」
セナ「ハハッ、『ザ・こども』ってカンジだな」
セナ「母さんの背中の温かさと、星の冷たさが気持ちよかった・・・」
力丸「冷たいのか? 星が?」
セナ「謎だろ? 星って」
力丸「確かにな・・・」
セナ「すでに死んでる星の光が届いてたりするんだぜ?」
力丸「想像できない距離だからな・・・」
セナ「そういやあ、手、大丈夫か?」
力丸「あ、ああ・・・」
セナ「お前らってさ・・・ 何でも言い合えるくらい仲がいいんだな」
セナ「なんか、うらやましいな」
力丸「うらやましいのは、鷹野の方だ」
セナ「え?」
力丸「立派にピアニストして、 こうしたいってのが、ちゃんとある」
セナ「ハハッ」
力丸「それに、女子にも人気あるし・・・」
セナ「とりあえず、キャーキャーしたいヤツらしかいねーよ」
力丸「?」
セナ「だから、みんなと一緒にキャーキャー騒ぎたいだけなんだって」
力丸「いや、ちゃんと鷹野のことを見てる子もいるだろ?」
セナ「そうかな?」
セナ「まあ、経験豊富そうに見えてるのはありがたいけどな」
力丸「確かに豊富そうだ」
セナ「ハハッ お前はどうなんだよ?」
力丸「わかってるだろ?」
セナ「いんや、わかんねぇー」
  すると、鷹野が寄りかかってきた──
力丸「おいっ!! 重い!!」
セナ「とか言いつつ、押し返さねーのか?」
力丸「人気者を押し返すわけにはいかないだろう?」
セナ「言うね・・・ 柔らかくないから 気持ち良くはないぜ?」
力丸「それでも少しは元気でるだろ?」
セナ「・・・・・・」
セナ「なあ、セナって呼べよ」
力丸「別に、鷹野は鷹野だろ? セナになりきらなくても、お前はお前だろ?」
セナ「ハハッ わけわかんねぇ」
セナ「鷹野も、セナもどっちもオレだって」
力丸「俺の中では、セナは無理してるように見える」
セナ「へぇー、生意気 お前」
力丸「お前じゃない 力丸!!」
セナ「ハハッ 結局お前もじゃん」
セナ「大サービスしてやるよ」
セナ「りきまる💕」
  耳元で囁かれた──
  体中に湧き上がる熱で自分が溶けそうだった
セナ「すげぇ、キレイ・・・」
力丸「今日、花火大会だったんだな・・・」
セナ「オレたち恋人なら最高な夜だな──」
力丸「・・・・・・」
力丸「鷹野、お前に謝りたいことがある」
セナ「ん?」
セナ「あ、わりぃ・・・ マネージャー」
セナ「伊乃里? ああ、すぐ戻る」
セナ「すまねぇ、また学校でな!!」
力丸「あ、ああ・・・またな」
セナ「なんか、離れたくねぇーな ハハッ」
セナ「なーんて、じゃあな り・き・ま・る💕」
力丸「セナっ!! 自信もてっ!!」
セナ「サンキュー」
力丸(強く見えるヤツほど モロいのかもしれない・・・)
  鷹野の背中が小さくなるまで見送った──
  つづく

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