夜にさまよう I (脚本)
〇古い洋館
インターネット上には果てしのない世界が広がっております
夜毎にわたくしはその世界を彷徨い放浪しているのでございます
体力の乏しいわたくしは、街へ出掛けることも叶いません
両親はすでにこの世を去り、この家にいるのはわたしだけ
そんな一人ぼっちのわたくしの楽しみは、電脳空間を散策することなのでございます
ある夜、奇妙な日記を見つけました
彼・・その人は男性であろうと思うので彼と呼びましょう
夜になると彼はこっそり家を抜け出し、闇に紛れて夜の探求者になる
その様子が日々淡々と日記に綴られておりました
そこには孤独を知る者の寂しさと喜びがあり、わたくしはそんな彼に共感を覚えると同時に魅力されたのでございます