魔法のクッキー!

あとら

エピソード6.早苗と魔法のクッキー3(脚本)

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〇ホテルの部屋
十六夜 節那「叶香。送信ボタンってどこにあんの?」
野上 叶香「ここをタップして」
十六夜 節那「サンキュー。マジ助かるわ」
野上 叶香「節那はいつになったらスマホ買うの?」
十六夜 節那「当分は無理だろうな」
野上 叶香「スマホ買ってもらえると良いね」
十六夜 節那「だな。買ったらお前が一番最初な」
野上 叶香「うっ、うん!!」
十六夜 節那「お前顔赤いぞ?熱でもあんのか?」
野上 叶香「だっ、大丈夫だよ!!」
野上 叶香「ほら、スマホが鳴ってる!!」
十六夜 節那「レスポンス早っ」
野上 叶香「えっと、なになに・・・・・・」
野上 叶香「これって!?」

〇ビジネスホテル
朝平 真実「それは明らかに罠じゃない。 私は反対よ」
野上 叶香「でも、もしかしたら犯人に会えるかもしれないよ?」
朝平 真実「少しは自分の頭の悪さを自覚して」
朝平 真実「ネットを利用して魔法のクッキーを商品として扱っている知能犯に勝てる要素はゼロよ」
朝平 真実「確固たる証拠と情報を持って一気に攻め込むこれがセオリーよ」
朝平 真実「何の証拠も情報も持たずに行ったって、 丸め込まれるのがオチだわ」
野上 叶香「でも、そんなの犯人に会えば一発で分かるもんじゃないの?」
朝平 真実「・・・・・・友達の事これ以上悪く言いたくないけど、これだけは言わせてちょうだい」
朝平 真実「伊集院君から連絡が来るまで、貴女は絶対にホテルから出ないで頂戴。いいわね?」

〇警察署の食堂
野上 叶香「本当にこれで良いのかな?」
十六夜 節那「言い方はキツいが、あっちの方が正しい」
十六夜 節那「でも朝平って意外と良い奴じゃん」
野上 叶香「節那は朝平さんみたいな人がタイプなの?」
十六夜 節那「何でも恋愛に結び付けるのはナシな?」
野上 叶香「あっ、うん、ごめん」
十六夜 節那「・・・・・・」
野上 叶香「・・・・・・」
十六夜 節那「一つ良い事教えてやる」
野上 叶香「なぁに?」
十六夜 節那「男が人前で女を褒める時ってのはな、コイツは恋愛対象外だって言ってるのと同じなんだぜ?」
野上 叶香「あっ、そっ、そうなんだね」
十六夜 節那「一つ賢くなったな?」
野上 叶香「えへへ、うん!!」
野上 叶香「あっ、メッセージが来てる!!」
十六夜 節那「・・・・・・誰から?」
野上 叶香「うそ、これって!!」

〇神社の本殿
立木 望「どうもはじめましテ。この度は魔法のクッキーをご購入頂きまして誠に有難う御座いまス」
野上 叶香「あの、なんで直接会ってやりとりしないといけないんですか?しかもすぐ来ないと、購入キャンセル扱いだなんて・・・・・・」
立木 望「たまに悪戯するお客様がいらっしゃるんですヨ。今回もそうだと思いましたので、対応に踏み込ませて頂きましタ」
野上 叶香「あー、確かに。悪戯する人もいますもんね」
立木 望「そうなんですヨ」
立木 望「まぁ、女性の方なので、まさかとは思いましたが、少々気になる点がありましたのデ・・・・・・不快に思われたら申し訳ありませン」
野上 叶香「いっ、いえ、不快だなんて、そんな事! クッキーさえ購入出来ればそれでいいと思っているので!!」
立木 望「そうですカ、流石は叶子お婆様のお孫さン。甘ちゃん過ぎて反吐が出るヨ」
野上 叶香「・・・・・・えっ?」
立木 望「飛んで火に入る夏の虫とは正にこの事ダ。 一緒に来てもらうヨ、叶香ちゃん」
立木 望「このノートを燃やされたくなければネ?」

〇病院の診察室
  某時、病院
伊集院 累「ごめんねパパ。 忙しいのに時間を作ってくれて」
伊集院 才「構わんよ。 ひと段落ついたところだったからね」
伊集院 累「それにしても、まさかそんな事態になっていたなんて、夢にも思わなかったよ」
伊集院 才「まぁ、上手い話は無いって事だ」
伊集院 才「時に息子よ。 お前、あの子とはうまくいってるか?」
伊集院 累「ハニーの事かい?実は喧嘩しちゃって、どうやって仲直りしようか考えている所なんだ」
伊集院 才「えっ、早苗ちゃんと喧嘩したのかい!? 激甘カップルだったから、ちょっと意外」
伊集院 累「パパ何言ってるんだい? 僕のハニーは、叶香だよ?」
伊集院 才「えっ、お前早苗ちゃんと別れたのか?」
伊集院 累「別れたと言うべきなのか・・・・・・」
伊集院 才「まぁ、深くは聞かんよ。 男女の問題は医者でも治せんからね」
看護師「先生。あの、ちょっとよろしいでしょうか?」
伊集院 累「おっといけない。勤務中なのにごめんね。 僕はそろそろ失礼するよ」
伊集院 才「あぁ、また後でな」
伊集院 才「アイツも私に似て、 女運には恵まれなかったんだな」

〇大学病院
伊集院 累「おや、着信が入っている 発信者は、朝平君だね」
伊集院 累「もしもし、何かあったのかい?」
  大有りよ。さっきから野上さんと連絡が付かないの。伊集院くん何か知らない?
伊集院 累「いや、僕は何も知らない・・・・・・」
  ・・・・・・
伊集院 累「ハニー!?」
  ちょっと、伊集院君!?

〇車内
野上 叶香「どこまで連れて行くつもりなの!?」
立木 望「そんなの決まっていル 君にはこれから一生魔法のクッキーを作り続けてもらウ」
野上 叶香「えっ、何言ってるの?正気?」
立木 望「レシピを見て僕もクッキーを作ってみたんダ」
立木 望「だけど出来たのは只のクッキーだっタ」
立木 望「まぁ、お客さんの願いは『清く正しく美しく居続ける事』だったからネ」
立木 望「クッキーにちょっとした隠し味を入れて、売ってあげたんダ」
野上 叶香「何を入れたの・・・・・・?」
立木 望「フフッ、死人が出ないと良いネ?」
野上 叶香「何考えてんのよ!?」
立木 望「このままバックしたら、追いかけてる自転車を轢けるかなって思ってるヨ」

〇開けた交差点
伊集院 累「ハニーを返せぇ!!」

〇車内
野上 叶香「伊集院君!?何してるの!?」
立木 望「イケメンって何しても絵になるね 羨ましいよ」
野上 叶香「流石に限度って物があると思う・・・・・・」
立木 望「イケメンにも厳しい現実があるって事を教えてやる」
野上 叶香「伊集院君!!」

〇開けた交差点
伊集院 累「とぅ!!」

〇車内
立木 望「嘘だろ!?自転車ごと飛んだ!?」
野上 叶香「前!!」

〇開けた交差点
伊集院 累「チェックメイトだ。ハニーを返してもらうよ」

〇車内
立木 望「クソが!! 主人公みたいなムーブかましやがって!!」
野上 叶香「ボンネットの上に伊集院君がいるし、隣の人は口調が変わってるし、理解が追いつかないんだけど・・・・・・」
立木 望「こうなれば、このまま車を発進させてやる!!」
立木 望「うわぁ!!」
野上 叶香「きゃあ!!」

〇病室
  数時間後
朝平 真実「軽症で済んで良かったわね。憎たらしい」
野上 叶香「いくらなんでも辛辣過ぎない!?」
朝平 真実「一人で勝手に先走った挙句、犯人に捕まったのは何処の誰?」
野上 叶香「うぅ、何も言い返せません・・・・・・」
伊集院 累「まぁまぁ、ハニーは無事だったんだし、 そこまで責めなくても良いじゃないか」
朝平 真実「犯人取り逃してたら意味無いでしょ」
野上 叶香「そういえば犯人の事なんだけど、 犯人が私のお婆ちゃんの名前を知っていたんだよ」
朝平 真実「・・・・・・お婆様を?」
伊集院 累「知り合いなのかな? それにしては、些か年齢が違い過ぎるか」
朝平 真実「親戚関係かもしれないわね」
野上 叶香「でも親戚にあんな人居たっけ?」
朝平 真実「そういえば、野上さんのお婆様はこの近くに住んでいらっしゃるの?」
野上 叶香「ううん。結構遠いよ」
伊集院 累「なるほど。 気軽に会いに行ける距離ではないか」
野上 叶香「・・・・・・」
朝平 真実「そんな真剣に考え込んでどうしたの?」
野上 叶香「・・・・・・」
野上 叶香「決めた!!」
野上 叶香「私、おばあちゃんに会いにいってくる!!」

次のエピソード:エピソード7.決戦前夜

コメント

  • 不穏なストーリー展開の中、キャラクター各人の魅力がどんどん増していくように感じられます。特に節那くんは反則的です!
    ちなみに、私も旅行のピークは身支度して現地グルメをリサーチしている時です。ご当地で楽しんでいても、何故かピークはそこなんですよね、、、

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