第四話 あの子はどこだ(脚本)
〇商店街
首輪に表示された文字は弥子の名前だったが、俺は彼女のことを何も知らない。
池田景「クソ・・・! いったい、どうすりゃいいんだ!?」
池田景「あ、そういえば、ラジオのレギュラー番組があるってことは、名前で検索したら案外・・・」
そう思い、スマホで検索しようとした時、着信があった。
相手は非通知。これは・・・。
池田景「もしもし・・・?」
小山弥子「検索しても無駄よ、本名はどこにも出してないもの」
池田景「やっぱり弥子か! どうしてこの番号を!? いや、っていうか監視してんのか!?」
小山弥子「そんなの、どうでもいいでしょ。いいから早く捕まえにきてよ~」
池田景「そんなこと言われても、手がかりがないと・・・」
小山弥子「わたしのことよく見てるなら、わかるとこにいるわよ。じゃ、またね~」
電話が切れた。
池田景(弥子のことを見てれば分かる・・・? ということは──)
池田景「そうだ! あの子は俺と同じ制服を着ていた! とりあえず学校に行ってみよう」
学校に弥子がいるかは分からないが、とにかく今は他に方法がない。
俺は学校へと走り出した。
〇大きな木のある校舎
学校に到着すると、もう放課後ということで、部活動をしている生徒以外はほとんど帰っているようだった。
池田景「一応、人探しはしやすいけど・・・。のんびりしてる暇はない!」
〇まっすぐの廊下
とりあえず色々な教室を覗いてみたり、部活動の様子を観察したが、弥子らしき姿は見当たらなかった。
池田景「だめだ! ここにはいないのか!?」
首輪「ピー、あと15分です」
池田景「クソ! 今から別の場所に行く時間もないし・・・!」
そう思い諦めかけたその時、後ろに誰かいる気配がした。
池田景「や、弥子か!?」
希望を抱きながら振り向くと、そこにいたのは・・・。
田辺「弥子? 誰だ、それ?」
同じ部活の田辺(たなべ)だった・・・。なんだか、怒ってるような顔をしているが、こっちはそれどころじゃない。
池田景「田辺かよ・・・。ちょっと今急いでる──」
田辺「は!? 何言ってんだ! 今日は全国予選なの忘れてんのか?」
池田景「あ・・・」
池田景(そうだ、今日はその日だった。完全に首輪のことでバタバタしてて忘れてた・・・!)
田辺「まじで忘れてたのかよ・・・。まあいいや、それじゃ、行くぞ」
池田景「ど、どこにだよ!?」
田辺「いや、部室に決まってんだろ。オンライン予選会の準備をしないと」
池田景「いやでも・・・」
田辺「いいから、さっさと来いって!」
そのまま、田辺は俺を引きずるようにしてクイズ研究会の部室まで歩きだしてしまった。
〇生徒会室
池田景(結局、部室まで来てしまった。確かに、この日のために色々準備してきたのは事実だ)
池田景(予選会は年に一回しかないし、このチャンスを逃すわけにもいかない)
池田景「けど、しりとりをし続けないと死んでしまうし、命をなくしたら意味ないし・・・」
田辺「何をぶつぶつ言ってんだよ」
池田景「いや、その・・・色々あってさ」
首輪「ピー、あと10分です」
田辺「っていうか、その首輪なんだ?」
池田景「ま、まあ、気にすんな」
本当のことを話したところで、信じて貰えるわけもない・・・。
池田景(っていうか、あと10分でまじでやばい!)
池田景「や、やっぱり今日はやめとく──」
そう言いかけた時、俺の携帯に非通知から着信があった。
こんな時に電話をかけてくるのは・・・。
小山弥子「もしもし~、全然見つけてくれないじゃない! このままだと死んじゃうわよ」
池田景「弥子! どこにいるんだよ!」
小山弥子「そんなの、教えたらつまらないじゃない」
池田景「そ、そんなこと言ってる場合じゃない!」
池田景「それに、これからクイズの全国大会予選なんだ」
池田景「なんとか、タイムリミットを伸ばしてくれ!」
小山弥子「え~、そんな都合の良いこと──」
池田景「頼む! 俺はこの大会に賭けてるんだ!」
小山弥子「・・・・・・」
とにかく、ここは弥子に頼むしかない。俺は必死で懇願していく。
池田景「お願いだ! 弥子がなんのためにこんなことしてるか知らないが、ここで終わりなんてつまらないだろ?」
小山弥子「んー、じゃあ、お題は違うものに変更してあげる」
池田景「い、いや、そういうのじゃなくて、一旦全部中断して──」
小山弥子「それはダメ。クイズ大会に参加しつつも、しりとりはしてもらうから」
池田景「へ? そんなこと、できるわけ──」
小山弥子「嫌とは言わせないわ。それに、オンライン予選会なら、どこにいても大丈夫なんでしょ?」
池田景「それはそうだけど、集中力とかあるし・・・」
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