しりとりデッドラン

森澤 友亮

第五話 恋の果てに(脚本)

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〇まっすぐの廊下
池田景「はい! 答えは『近衛文麿』です!」
  俺はしりとりのお題だった『上げ底』の靴を手にしながらそう叫んだ。
出題者「正解! それでは、最後の問題が終わったので結果発表と参りましょう」
出題者「・・・優勝は、池田景くんです!」
池田景「ありがとうございます!」
出題者「来月の全国大会でも活躍を期待しています!」
池田景(クイズ大会は無事に終了したし、予選大会も優勝することもできた。 後は、首輪をどうにかするだけだが・・・)
首輪「ピー、文字が表示されます」
池田景「えっと・・・『小山弥子』って、またか・・・」
首輪「制限時間は20分です。カウントスタートします」
池田景「とりあえず、誰か弥子を知ってる人がいないか、聞き込みをするしかない!」

〇まっすぐの廊下
  そう思って生徒たちや、教師に聞いてみたのだが、やはりそう簡単に知ってる人を見つけることはできなかった。
池田景「くそ・・・! 何もヒントがないのがきつすぎる!」
  だが、それでも諦めずに廊下を歩いていた教師に声をかけたところ、良いことを聞けた。
教師「小山弥子って、去年の3―Aの卒業生じゃないか? 今は芸名を使って芸能の仕事をしてるよな」
教師「さては、池田、あの子のファンだな?」
池田景「い、いえ、そういうことでは・・・とにかく、ありがとうございます!」
  弥子は3年A組だった。そこに何かヒントがあるに違いないと思った俺は、その教室まで走り出す。

〇教室
  教室に入ると、俺を迎えるかのように教卓の上にタブレットPCが開かれていた。
池田景「これは・・・? 地図が表示されてるけど」
  そこには、GPSで体育倉庫に誰かがいることが示されていた。
池田景「これは・・・弥子は体育倉庫にいるってことだよな?」
池田景(そうと決まれば、ここにいる意味はない)
  時間はどんどん過ぎていくし、俺は体育倉庫に向かって走り出した。

〇体育倉庫
  体育倉庫に到着したはいいが、そこに弥子の姿はなかった。
池田景「クソ! もしかして、騙されたのか!?」
  バタンッ!
  いったん外に出て、違うところを探そうとしたその時、大きな音がして、倉庫の扉が閉まった。

〇体育倉庫
池田景「と、閉じ込められた!?」
池田景「誰かー! 助けてくれー!!」
  だが、どれだけ騒いでも誰も来る気配がない。
池田景(このまま、ここで終わりなんて冗談じゃない!)
首輪「ピー、あと3分です」
池田景「そうだ! スマホで田辺にでも電話して・・・」
池田景「・・・って、圏外!?」
池田景(最近じゃ圏外なんて地下深くくらいでしかならないのに、どうして!?)
池田景(もしかして妨害電波でも出されてるのか!?)
池田景「なんとか・・・なんとかしないと・・・!」
  パニックになりかけたその時、閉ざされた扉の前から声がした。
小山弥子「景くーん、大丈夫?」
池田景「弥子!? お前、今までどこに・・・」
池田景「いや、そんなことはいい! 首輪を解除してくれ!」
小山弥子「え~、どうしよっかな~?」
池田景「頼む! なんでもするから!」
池田景(もうこうなったら、先のことなんて、考えてる場合じゃない!)
小山弥子「じゃあ・・・わたしのことを好きって言ってくれたらいいよ?」
池田景「は・・・? 何言って──」
  どういうことかさっぱり分からない俺には構わず、弥子は言葉を紡いでいく。
小山弥子「わたしね・・・景くんのことずーっと好きだったんだよ?」
池田景「い、いやでも、俺たちは今日が初対面のはずだし・・・」
池田景(それは絶対に間違いがない。こんな子に今まで会ってたら忘れるはずがない)
小山弥子「ふふ・・・去年、テレビでやってたクイズ大会に出てたでしょ? それで一目惚れ・・・しちゃったの」
池田景「え、ええ・・・?」
小山弥子「きゃっ、恥ずかしい!」
小山弥子「でもね、実際に会ったらわたしの理想の景くんとは違うかもしれないし、確かめるために今回のゲームをしたの」
小山弥子「目的のためなら手段を選ばないところなんて、最高だったわ! もっともっと好きになっちゃった!」
池田景(なんだ・・・? 俺が弥子にとって理想の男かどうかを試すために、あんなことしたっていうのか・・・?)
池田景(こいつは、頭がおかしいんじゃないか?)
小山弥子「ねえ、ここまでしたのよ? わたしのこと、好きって言ってくれるわよね?」
池田景(こんな女のこと、好きになれるわけがないじゃないか・・・)
池田景(だが、今は首輪を解除させないと・・・)

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コメント

  • やっぱりヤンデレだった〜(汗)

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