しりとりデッドラン

森澤 友亮

第二話 正しい名前(脚本)

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〇商店街
  どうにかリンゴを入手したが、まだまだ落ち着いていられない。
  そう考えていると、首輪からまた音声が流れてきた。
首輪「ピー、文字が表示されます。ご確認ください」
  例のごとくスマホで撮影して、文字を確認してみると・・・。
池田景「『ゴリラゴリラゴリラ』・・・? ってことは、ゴリラを見に行けばいいのか?」
池田景「っていうか、普通にゴリラって書けよ。 めんどくさいな・・・」
首輪「制限時間は1時間です。カウントスタートします」
池田景「おっ、今度は時間が長いな。これなら余裕・・・」
池田景「って、金がないんだから、走っていくしかないじゃないか!」
池田景「1時間あっても足りるかどうか・・・」
首輪「ピー、1分経過」
池田景「ああもう! わかったよ!」
  とにかく、走り出そうとしたその時、いきなり目の前に人影が現れた。
  こんな時に出てくるやつは、ひとりしかいない。
池田景「やっぱり、お前か・・・」
小山弥子「おつかれさま! 景くんの活躍、ばっちり見たわよ」
小山弥子「でも、リンゴを盗むなんて、いけないんじゃないかしら?」
池田景「しょ、しょうがないだろ! そもそも、誰のせいだと思ってるんだ!」
  とは言え、犯罪なことには間違いない。
池田景(全部解決したら必ず謝りにいかないと)
池田景(だが、こんな事情を話しても理解して貰えるだろうか・・・?)
小山弥子「でも、目的のためなら手段を選ばないかんじ、とっても素敵だったわ」
小山弥子「それじゃ、引き続きがんばってね~」
  そう言うと弥子はさっさと立ち去ってしまった。
  事情を問い詰めようと思ってたのに、そんな隙は全くなかった。
池田景「くそ、結局あいつの思うがままってかんじが・・・」
  その時、また首輪から音声が流れた。
首輪「ピー、2分経過」
池田景「っと、やばい! 早くしないと!」
  色々考えることはあるけど、とにかく今は走るしかない!
  俺は動物園に向かってダッシュした。

〇動物園の入口
  かなり距離はあったけど、必死になって走ったから何とか間に合った・・・。
池田景「はあ・・・はあ・・・」
池田景「かなり疲れたけど、意外と早く着いた気がするぞ」
首輪「ピー、50分経過。あと10分です」
池田景「って、そうでもない!? あと10分で、入場料をなんとかして、ゴリラの檻の前まで行かないと!」
  しかし、さっきと同じで文無し状態だから、どうにかして入場ゲートを突破しないといけない。
池田景「とは言っても、無理やり通ってもすぐに警備員に捕まるだろうしなあ・・・」
池田景(こうなったら、どんな手を使っても通るしかない!)
池田景「け、警備員さん! 大変です! ライオンが脱走して檻の外にいるらしいです!」
警備員「な、なんですって!? それは大変だ!」
  警備員はすぐに向こうに走っていった。
池田景(・・・こんなに簡単に騙されるとは。だが、計画は成功だ)
  俺は颯爽と入園ゲートをくぐり抜けて、ゴリラの檻の前までやってきた。

〇ゴリラの飼育エリア
池田景「よし、これでオッケーだろ!」
首輪「ピー、55分経過。あと5分です」
池田景「はあ!?」
池田景(しっかり、ゴリラを見ているのに、おかしいぞ!)
池田景(まさか、首輪が壊れてるのか・・・?)
  と思った時に檻の前の看板が目に入った。
池田景「ん? 『ニシゴリラ(学名: Gorilla beringei)』ってことは・・・」
池田景「あ! ゴリラゴリラゴリラの学名を持つゴリラじゃないとダメってことか!?」
池田景(そういえば、クイズ研究部の問題でそういうのが出た気がする・・・。 ええと、あれはなんだっけ!?)
池田景「思い出せ、思い出せ、思い出せ・・・!」
池田景「わかった! ゴリラゴリラゴリラが学名なのは、ヒガシゴリラだ!」
  そうと決まれば、ヒガシゴリラを見ればいいだけだ。
  通りかかった飼育員さんに場所を聞いてみるとしよう。
池田景「すいません、ヒガシゴリラはどこにいますか!?」
飼育員「あー、ヒガシゴリラのハナは今体調が悪くて裏で休んでるんですよ。すいません」
飼育員「しかし、ヒガシゴリラが見たいって、お客さん、かなりのゴリラマニアですね」
飼育員「そこにいるニシゴリラのサムはどうです? いい顔してるでしょ?」
池田景「いや、マニアとかじゃなくて・・・! とにかく、ヒガシゴリラが見たいんです!」
飼育員「そう言われましても・・・すいません」
  そのまま立ち去ろうとする飼育員だったが、そうはいかない。
池田景(俺は、絶対に、ヒガシゴリラを見ないといけないんだ!)
池田景「お願いします! 深い事情があるんです!」
飼育員「え? 世の中にヒガシゴリラを見ないといけない事情なんてあります!?」
池田景「あるんです! 実は・・・僕には不治の病に苦しむ恋人がいるんですが、彼女と約束したんです!」

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