アライブ・ソルジャーズ

十五話 失意と決意(脚本)

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〇オフィスの廊下
黒沼 晶「渋屋、朝だ。 朝食を持ってきた」
「・・・」
黒沼 晶「・・・返事なし、か」
黒沼 晶「仕方ねぇ、入るぞ」

〇ファンシーな部屋
黒沼 晶「起きてたのか」
渋屋 杏「勝手に入ってこないでよ・・・」
黒沼 晶「お前、自分がもう何日飯食ってないと思ってるんだ」
渋屋 杏「・・・」
黒沼 晶「そのままじゃぶっ倒れるだろ。 とりあえず腹に食べ物を入れろ、考えるのは後でいい」
渋屋 杏「うん・・・」
渋屋 杏「うっ・・・ごほっ、ごほっ!」
黒沼 晶「大丈夫か!?」
渋屋 杏「う、うん、大丈夫・・・」
黒沼 晶(だいぶ精神的に参ってるな。 体が飯を拒んでる感じだ)
黒沼 晶(何か俺にしてやれることはないのか・・・?)

〇車内
渋屋 杏「私は高校を休学して、エージェントになったのよ」
渋屋 杏「この戦いが終わったら、すぐにでも復学するわ」
渋屋 杏「──大事な友達、何も言わずに置いてきちゃったから」

〇ファンシーな部屋
黒沼 晶「前に言ってた、高校の友人って誰なんだ?」
渋屋 杏「え・・・?」
黒沼 晶「言ってただろ、大事な友人がいるって」
渋屋 杏「え、えっと・・・」
渋屋 杏「瑠奈(るな)・・・ 中野 瑠奈・・・」
黒沼 晶「そうか」
渋屋 杏「・・・会わせてくれるの?」
黒沼 晶「ああ、会わせてやる。 だから飯食って元気出せ」
渋屋 杏「分かった・・・!」

〇警察署の医務室
中井 雛「なるほど、それで瑠奈さんを杏ちゃんに会わせたいんだね!」
黒沼 晶「はい。 あいつが少しでも元気になればと思って」
中井 雛「うん、いいよ。 こっちで瑠奈さんを探しておくね!」
黒沼 晶「ありがとうございます」
中井 雛「晶くんも・・・ 良かった、元気そうで」
黒沼 晶「はい、俺なら大丈夫です。 今、自分がやるべきことをやります」
中井 雛「でも、無茶も無理もしないでね。 晶くんだって大事な存在なんだから」
黒沼 晶「そう言われるだけで十分です」
中井 雛「・・・」
中井 雛「じゃあ、自室に戻ってて! 進展があったら連絡するね!」
黒沼 晶「分かりました」

〇オフィスの廊下
黒沼 晶「・・・」
日谷 紗枝「黒沼さん、少しいいですか」
黒沼 晶「日谷さん? どうしたんですか、急に」
日谷 紗枝「姉さんから伝言を預かっています」
日谷 紗枝「『親玉のギャラジーと戦うなら、戦う前に私のところに来なさい』」
日谷 紗枝「・・・とのことです。 姉さんに会う時は私に言ってください」
日谷 紗枝「秘密裏に黒沼さんを姉さんの元へ連れて行きますので」
黒沼 晶「・・・!」
黒沼 晶「分かりました」
日谷 紗枝「では、私はこれで」
黒沼 晶「親玉のギャラジーを倒す・・・か」
黒沼 晶「そうすれば、もうこれ以上の犠牲を出さなくて済むだろうか」
黒沼 晶「渋屋も、これ以上苦しまなくて済むだろうか」
黒沼 晶「莉呑も、安らかに眠ってくれるだろうか・・・」
中井 雛「あ、いたいた! 黒沼くん、瑠奈さんが来てくれたよ!」
中井 雛「杏ちゃんのためになるなら、ってすぐに来てくれたみたい!」
黒沼 晶「本当ですか!?」
中井 雛「杏ちゃんを連れて、エントランスまで来て!」
黒沼 晶「分かりました!」
黒沼 晶「おい、渋屋! 瑠奈って奴が来てくれたみたいだぞ」
渋屋 杏「瑠奈が!? 本当に!?」
黒沼 晶「ああ、一緒にエントランスに行くぞ!」
渋屋 杏「え、ええ!」

〇高層ビルのエントランス
渋屋 杏「瑠奈、瑠奈ーっ!」
中野 瑠奈「・・・杏」
渋屋 杏「何も言わないまま休学しちゃって、ごめんね」
渋屋 杏「私、瑠奈にエージェントになることを止められると思って、黙ってたの・・・」
中野 瑠奈「いいよ、そんなこと気にしてないし」
渋屋 杏「ありがとう・・・!」
渋屋 杏「瑠奈、私・・・ 絶対にギャラジーを全滅させて、すぐに学校に戻るわ!」
渋屋 杏「いつかまた、瑠奈と一緒に学校に行きたいの!」
渋屋 杏「クラスのみんなとたくさん喋って、ご飯食べて・・・」
渋屋 杏「文化祭も来年は参加する! すっごく楽しみにしてるんだから!」
渋屋 杏「だからどうかその時まで、待ってて欲しいの」
中野 瑠奈「できるの? あなたなんかに」
渋屋 杏「・・・え?」
中野 瑠奈「前回のギャラジーの襲撃、あなたは誰かを救えたの?」
中野 瑠奈「私、見てたよ」
中野 瑠奈「ギャラジーに襲われる人たちを救えないまま、ボロボロになっていった杏のこと」
渋屋 杏「そ、それは・・・!」
黒沼 晶「おい!」

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