クロノアオルガン

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第三話 最悪なオモイ(脚本)

クロノアオルガン

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〇要塞の廊下
クロノア「・・・使用人が失礼を働いたみたいで・・・悪かったね」
クロノア「立ち話もなんだ。 お茶を用意してあるから、こちらへどうぞ」
オルガ「お、お茶なんていらないわっ! 早く、この首飾りを──」
クロノア「まぁ、そう言わず・・・。 急いては事を仕損じるよ?」

〇城の客室
  コポポポポ・・・と小気味良い音を立てながら、まろやかな香りの紅茶がティーカップに注がれていく。
クロノア「さぁ。 冷めない内にどうぞ」
「・・・」
クロノア「おや? 二人共、喉は乾いてないのかい?」
クロノア「毒は入ってないよ?」
  クロノアは、そう言って自分用に注いだティーカップに手をつけ・・・紅茶を口に含む。
クロノア「ね?」
オルガ「そんな事よりもっ! 貴方の狙いは何!?」
オルガ「こんな首飾りをつけて!! どういうつもり!?」
クロノア「あれ? 贈り物は、気に入らなかったかな?」
オルガ「そもそも! 貴方に贈り物をされる理由がわからないわっ!」
オルガ「今すぐ、この首飾りを外してちょうだい!!」
クロノア「フフフ・・・! 君は・・・本当に威勢がいいね」
クロノア「・・・じゃあ、その首飾りを外してあげる代わりに・・・僕の花嫁になってくれる?」
オルガ「は、花嫁!?」
ソディト「・・・クロノア様・・・。 部外者の俺が口を挟むのも悪いんですが・・・」
ソディト「オルガを本気で花嫁にしたいならば・・・ その理由とかをオルガに聞かせてやらないと・・・」
オルガ「そ、そうよっ! 私、貴方に好意を寄せられるような事、 身に覚えがないわ!」
クロノア「・・・」
クロノア「・・・身に覚えがない・・・か・・・」
クロノア「・・・そうだね・・・。 僕ばかりが知っているのも対等じゃないか・・・」
オルガ「?」
クロノア「僕はね・・・オルガ!! 君が好きなんだ!」
クロノア「理由を教えたら・・・ 僕と結婚を前提にお付き合いしてくれるかい?」
オルガ「な、内容によるわ!」
クロノア「前向きに考えてくれるんだね? じゃあ──」
  パチンとクロノアが指を鳴らすと──
  
  先程の使用人二人が部屋に入ってきた。
クロノア「ここから、先は── オルガと二人きりで話したいんだ」
使用人?1「従者殿には、ここでお帰り願いたい」
使用人?2「オルガ様に危害は加えませんので、どうぞご安心を・・・」
ソディト「なんか・・・圧が凄いな・・・?」
ソディト「・・・オルガ、俺は一旦ここで帰る。 エラトの魂跡の首飾りが外れる事を祈っているよ」
オルガ「ここまで、ありがとう。ソディト。 あとは──何とか一人で大丈夫」
ソディト「何かあったら、コレを窓の外に投げるといい──」
  そう言って、ソディトはすれ違い様にオルガに小さな玉を渡す。
ソディト「検討を祈る!」

〇貴族の部屋
  ソディトが去った後、オルガはクロノアの部屋へと通された。
オルガ「で? 私を好きな理由ってなんなの!?」
クロノア「君は──この手紙とこの人形── 見覚えがあるかい?」
オルガ「へっ!? ど、どうしてここにコレがあるの!?」
  クロノアは、その手紙の束と人形を愛おしく抱き寄せながら、オルガを熱っぽく見つめる。
クロノア「コレが──君を好きな理由だよ・・・?」
オルガ「あ、貴方! もしかして──”ゴーレム君”!?」
クロノア「フフフ。 当たり♡ 愛しの”ベルスフィア”・・・」
オルガ「いやいやいやそんな・・・!? だって、ゴーレム君は──」
クロノア「もっと幼いはず?」
オルガ「──・・・!!」
  スッと──オルガにクロノアの長い手が伸ばされ、瞬く間に距離を縮められる。
クロノア「ねぇ?オルガ・・・? オルガ・・・。好き・・・。 今すぐに・・・君を壊してしまいたいくらいに・・・好き・・・!」
クロノア「・・・僕だけのオルガになって・・・?」
オルガ「ち、ちょちょちょちょっと待って!! 何かの間違い!! 何かの間違いよっ!?」
クロノア「間違いになんてさせない・・・!」
クロノア「ずっとずっと・・・ ”ベルスフィア”に逢う機会を伺っていたんだ」
クロノア「逢ったら・・・ この手紙と人形をくれたお礼と──」
クロノア「この手紙のやりとりをした期間に育った 僕の胸の熱い想いを! ・・・受け取って、感じてもらうために!」
  熱を込めて語るクロノアの顔がオルガに近付く。
オルガ「ストップ!ストーップ!!!!」
クロノア「・・・どうして止めるんだい? 手紙では、あんなにも心を通わせただろう?」
オルガ「ちょっと待って! まだ頭が追いついてないんだけど!? 整理させて?」
クロノア「いいよ。 僕が一から教えてあげる・・・」
クロノア「君にどれほど救われて・・・ 君をどれほど愛しているかを・・・」

〇歯車
  ”生命の大樹”。
  
  それを守るために・・・永遠に見届けるために・・・
  僕は、土人形(ゴーレム)として遙か昔に創られた。
  僕には何も不満はなかった。
  城の地下深くで、大樹を見守るという永遠の役目。
  だけどある日、当時のグラディルク城主に言われた言葉が僕の”心”に波紋を立てた。
グラディルク城主「クロノアよ・・・。 日々、生命の大樹を管理するだけに創られたと聞くが・・・」
グラディルク城主「私には、お前が”さびしそう”に見えてしまう」
クロノア「”さびしい”?」
グラディルク城主「だから、お前にこの首飾り──エラトの魂跡を贈ろう」
グラディルク城主「この先、お前にもきっと共に生きていきたい伴侶に巡り合うはずだ。 その時、この首飾りをその伴侶に贈ると良い」
グラディルク城主「この首飾りをつけて愛し合った時、きっとお前は、土人形から人間になれるだろう・・・」
グラディルク城主「私は、その時を見ることは出来ないが・・・ その時が来る事を心から楽しみにしているよ」

次のエピソード:第四話 最悪なオトモダチ

コメント

  • 変態城主クロノア様の正体に驚きです!と同時に重すぎる愛情にも。。。この歪み拗らせきった愛情の告白の結果が楽しみになりますねw

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