彼が姫プで私が騎士で

雛田

姫と姫のレコード戦争(脚本)

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雛田

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〇高い屋上
  ネトゲ廃人とは難儀な生物である。
岸田 彩音「──姫川先生、ゲームがしたいです・・・」
姫川 湊「おい、まだ3日しか経ってないぞ」
  ゲームができない、否、PCを通して異世界に接続できないと禁断症状が出るのである。
岸田 彩音「業務端末にドラファンいれちゃだめかなぁ」
姫川 湊「ダメに決まってんだろ」
  屋上の自動販売機でコーヒーを買っていたら、偶然姫川が追いかけてきたのだ。
姫川 湊「あ、そういえばパソコンの組み立てを手伝ってくれる友人、今夜空いているらしいんだ」
姫川 湊「どうかな、事前にファミレスでも行く?」
岸田 彩音「わあい、姫川の奢りだぁ」
姫川 湊「うん、別にそれでもいいけどお前ポテトしか食わせないからな」
岸田 彩音「ははは・・・ ゲームができなくてポテトが喉を通ってくれるか不安なんだよね・・・ ハンバーグならいける気がするんだ・・・」
姫川 湊「なるほど、元気そうで良かった。 じゃあ就業後に連絡入れてもらえるかい?」
岸田 彩音「おけまる水産ッ」

〇ファミリーレストランの店内
???「どうもー、 姫川とは大学とゲームで出会いましたー」
石島 ルイ「ども!石島ルイって言います!」
石島 ルイ「ドラファンは「紅烏」って名前で10年くらいやってます!」
姫川 湊「大学って言っても、ゲームが先だったろうが。偶然同じ大学だっただけだ」
岸田 彩音「あ、えっと・・・石島さん?紅烏さん? どちらで呼べば・・・」
石島 ルイ「石島でいいですよ。 姫川もそう言ってるんで」
岸田 彩音「あ、はい・・・ それで私は──」
  ふと思う。
  私は姫川の何なんだろう。
  会社の同期とか説明するのはこの場では違うような気がする。
  ならば。
岸田 彩音「姫川の────奴隷の岸田です!」
石島 ルイ「姫川・・・おまえ・・・」
姫川 湊「違う! 断じて違う!」
岸田 彩音「でも意外です、もっとオタクっぽい人が来ると思ってた」
  そう・・・たとえば・・・

〇黒背景
???「デュフ! パソコン組み立てるでござるよ!」
  こんな感じの。

〇ファミリーレストランの店内
石島 ルイ「くっ・・・姫川・・・ どういうふうに説明していたんだ・・・」
姫川 湊「パソコン組み立てることができるネトゲ廃人」
石島 ルイ「その説明なら、こういうの想像しちゃうよね! うん、仕方ないね!」
岸田 彩音「でもチャラ男なのにネトゲ廃人ってギャップありますね────」
  いや。
  姫川も大概だぞ、エリート営業マンの癖にネトゲ廃人で姫プするバカじゃん?
姫川 湊「ついでにいうとコイツ、女キャラ使ってる」
岸田 彩音「ネカマっすか?」
石島 ルイ「中の人の性別明かしてないだけだよ・・・ 見抜きメールとか来るけどスルーしてるよ・・・」
岸田 彩音「ネカマじゃん」
姫川 湊「姫だな」
石島 ルイ「いや! 俺は彼女がいるので、そういうつもりは!」
岸田 彩音「なんだ、独り身の我々に喧嘩売ってるんスか?買いますよ?」
姫川 湊「さらっと彼女いる自慢はねーよ、石島」
石島 ルイ「え? 2人は交際しているのでは?」
「・・・・・・・・・は?」
  交際?
  私がこの姫川と?
  姫川は出世株で、お世辞抜きにしても顔がいい。そんな姫川と私が交際したら、後ろから刺されるに決まってんだろ。
  そもそも姫川は白百合アリスのことが好きだから──いや、その白百合アリスは私だけども?
  姫川は「白百合アリス=岸田彩音」の事実を知らないわけで。酔ってる時の対応を見る限り、酒田さんが伝えている線も薄い。
姫川 湊「交際はしてない、単なるドラファンのプレイヤー同士で気の合う仲間なだけだよ」
  半分脅しでゲームに誘ったくせによく言うわ。
岸田 彩音「まあそんなところです」
石島 ルイ「えー!? 付き合えばいいのに! 仲良いんでしょ?気が合うんでしょ?」
岸田 彩音「そんなことしたら直結厨として匿名掲示板の晒しスレで晒されるでしょうが」
姫川 湊「同意だ」
石島 ルイ「お前ら・・・」
姫川 湊「そして姫は誰のものにもならない。姫人生が終わるぞ」
石島 ルイ「姫人生ってなんだよ・・・」
岸田 彩音「・・・そうですね、哲学、でしょうか」
石島 ルイ「なおさら意味不じゃボケェ・・・」
岸田 彩音「そんなことより、ネトゲ廃人なのに彼女ってどこで作ったんですか!」
石島 ルイ「えっ、そこ聞いちゃう・・・?」
姫川 湊「ゲーム内で出会い、オフ飲みからのホテルにGO、めでたく交際だ・・・」
  流石、姫川の友達。
  典型的な直結厨で面白くなってくる。
  さて、直結厨とは何なのか。
  オンラインゲームに出会いを求める奴は一定数いるが、直結厨とは性行為を目的とした出会いをしたがる奴のことである。
  つまり、下半身に脳みそが存在する奴のことである。純粋にゲームを楽しみたい層からするとはた迷惑な存在だ。
石島 ルイ「違うよ・・・ なんで姫川はそんな捏造するんだよ・・・」
石島 ルイ「ネトゲの中で出会って、お茶しようって言われて、そのままなし崩しにホテルに連れて行かれたんだよぅ・・・」
岸田 彩音「姫川の説明と何も変わらなくない?」
姫川 湊「むしろ「俺は悪くねえ!」って言ってるあたり、悪質さが増してるな」
石島 ルイ「ねー、姫川・・・ この人なんで俺にあたり強いわけ?」
姫川 湊「直結厨に優しくしろっていうほうが無理じゃね?」
岸田 彩音「そもそも直結厨が人権を求めるのって間違ってない?」
石島 ルイ「いや、俺は普通にゲームしたいだけなんだよ・・・ 直結厨なんて言われたくないよ・・・」
  流石にイジりすぎただろうか・・・
  反省反省。
岸田 彩音「うん、まあいいです。 それで石島さん、今日はお顔合わせ・・・ってことですけども──」
  なんで前の休みではなく、今日になって突然顔合わせになったのか。
岸田 彩音「なんでまた、今日コンタクトを取ってきたんです?」
  そしてもうひとつ。
  多分この石島という人は私にあんまり興味がない。
  おそらく話があるのは──
岸田 彩音「多分、姫川に話があったんですよね。 私との顔合わせというにはパソコンの話が一切出てこないですし」
石島 ルイ「うわ、火の玉ストレート・・・」
石島 ルイ「そうだよ、姫川にちょっとお願いがあってさ・・・」
姫川 湊「ん、そうだったのか。 電話してくれればいいのに」
石島 ルイ「彼女のいないところで話したかったんだ。 俺も彼女も在宅だからさ」
姫川 湊「お? 不仲か?」
石島 ルイ「できるもんなら別れたい・・・」
  なんとなくこの人、苦労人な気がしてきた。
  割と常識人なのかもしれない。
姫川 湊「それで?」
石島 ルイ「あのさ、マリンたそで白百合アリスの保有レコード塗り替えるのやめて欲しいんだよ・・・」
岸田 彩音「それに何か問題でも?」
石島 ルイ「うちの彼女がやめて欲しいっていうんだ 白百合アリスの痕跡を消されるのが嫌なんだってさ」
岸田 彩音「は? そんな奴いんの?」
姫川 湊「お前の彼女って、まさかあの雛菊カレン・・・? なんでそんなのと付き合ったんだ、馬鹿なのか」
石島 ルイ「いや最初は普通だったんだけど、俺が昔ロマネスクに入ってたからって理由で近づかれたんだ・・・」
岸田 彩音「ロマネスクのメンバーだったの、イヴェリコさんと同じ?」
石島 ルイ「イヴェリコさんとは面識があるんだ、岸田さん」
岸田 彩音「はい、少し話しました」
  たしかキャラ名は紅烏・・・って言ってたよな、
  紅烏・・・ん・・・どんな奴だっけ・・・
岸田 彩音「あ」

〇薄暗い谷底
紅烏「ひえっ、敵に近づかれたよ! たすけて、あっ、近接攻撃やめっ」
白百合アリス「なんでイヴェリコさんがタゲ取る前に攻撃したんですか・・・」
紅烏「この距離なら一発で落とせる自信があった・・・ヒールはよ、ヒールはよ〜!」
白百合アリス「お前にやるヒールはねえ、床舐めてろ」
Ivy「火力減って殲滅速度落ちるからヒールしてやれアホ」
白百合アリス「ったく、これだからメガネはよぉ・・・」

〇ファミリーレストランの店内
  思い出した・・・
  影と幸の薄いメガネ狙撃手の紅メガネちゃんかー
石島 ルイ「お前が彼女に煽るようなメッセージ送るから最近機嫌悪いんだよ・・・」
姫川 湊「白百合アリスを過去のものにしたい俺の行動指針とバチクソ逆の行動してんだから、牽制するのは当然だろ?」
姫川 湊「SNSで事あるごとに白百合アリスの名前出してるの見るとイラッときてな?」
姫川 湊「固定ツイートで「白百合アリスさま、復帰を心待ちにしております」とか書かれて本人戻りたくなるかよ」
石島 ルイ「それも説得中だったんだ・・・ 余計なことしないでくれよ・・・」
岸田 彩音「なるほどな・・・ 姫川も石島クンの彼女も白百合アリスの厄介オタクってことか」
  白百合アリスでそんな信者作るムーブしてたことないんだけどな。
  とはいえ、私は元ギルドメンバーが困っているのを見過ごせるほど冷徹ではない。
岸田 彩音「私は別にいてもいなくてもいいみたいだし、2人で思う存分口論してくれ」
岸田 彩音「石島紅烏クン、週末はよろしくね」
石島 ルイ「え、あ、はい・・・」
姫川 湊「え、岸田さんに予定が・・・」
岸田 彩音「お前いったい私をなんだと思ってるんだ」
姫川 湊「ネトゲしか趣味のない残念な人」
岸田 彩音「ええ、そうですけど余計なことをしたくなったので」
石島 ルイ「余計なこと・・・?」
岸田 彩音「ではご馳走様でした、また明日」
  そう、私は余計なことをしにゆく。
  ひとつは石島くんに悪いことをした気がするのでその償い。
  もうひとつは・・・
  レコードを書き換えられたっていうなら、書き換えるしかないだろうよ

〇インターネットカフェ
岸田 彩音「よし」
  ファミレスの隣の建物のネットカフェ。
  ゲーミングPCの席を指定し、ドラファンを起動する。
  IDとパスワードは体が覚えている。

〇幻想
  キャラクター選択画面に映るのは勿論──
  白百合アリス。
  さてと。
  サクッとタイムアタック、やりますか。

次のエピソード:レアスキル無双は姫の嗜み

コメント

  • アリスー! ついについに!!

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