第6話:どうすっかなぁ(脚本)
〇山中の川
カナ「眺めは悪くないんだけどな」
川岸に着いた後、下流に広がる草原を、できるだけ川から離れないように歩いていった。
川沿いなら、町なんかがあるかもしれない。
この世界にもし人間みたいな存在がいれば、の話だけど。
だいぶ歩いてきたので、木陰で休める場所を探して、腰を下ろした。
みんな、今ごろ心配してるかなぁ・・・。
スマホの時刻は、20:15を過ぎたところ。まだ日は沈んでない。
太陽――この星の――は空の高いところにあって、ちっとも日が暮れそうな気配はなかった。
この世界の一日は何時間なんだろう。
まぁ、暑くて喉が渇くのを別にすれば、明るいのはかえってラッキーだ。
この世界のこと、もっと知らないといけないし、このまま夜を迎えてしまうのは、どう考えてもまずい。
さっき見た星は、かなりの高さまで昇ってきてる。ここが地球じゃないらしいことはよくわかった。
でもまだ、さっきのバスのこととか、いろいろ謎は残ってる。
あのふざけた標識に書いてあったように、本当にここは「異世界」なの?
ぼうっと座ってると、ちょっと離れたところを四、五羽の鳥が飛びすぎていくのが見えた。
あの鳥、食べれるかなぁ。
そう、とにかく一番の課題は、食べ物だよねぇ。
もう空腹も限界。なんか食べたい!
カナ「どうすっかなぁ・・・」
異世界に転移するなんて、前もって聞いてたら、おいしいものいっぱい用意してきたのに!
あの鳥のほかにどんな生き物がいるのかまだわからないけど、まさか自分で狩りするわけにもいかない ・・・よねえ?
ゲームやラノベで異世界が舞台なら、だいたい特殊なスキルとか魔法とかがついてくるものだし
かわいい衣装なんかも着れちゃうのがお決まりの展開だ。
でも、私には何の能力もないし、身を守るための武器もない。制服とカバンが唯一の装備で、着替えはまったくなかった。
まじで生き残っていけるのか、不安しかないぞ。
ついさっきも、川の浅瀬のわきを通ったときに、冷たくて気持ちよさそうだったので
ちょっと靴と靴下を脱いで足を入れてみた。気持ちがよかった。
見たところ、水も澄んでいて危険な生き物とかはいない感じだ。
このくらい透き通ってキレイなら、飲んでもだいじょうぶかな?
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