第十四話 JKだけど、大人の恋を知ってもいいですか?(脚本)
〇古いアパートの一室
真奈央と鹿嶋が部屋の家具を動かしている。
鹿嶋紳助「しかし、まらさん大丈夫やろか」
花木真奈央「大丈夫です。飛び出した師匠の背中は、たしかにそそり立っていましたから!」
鹿嶋紳助「・・・背中がそそり立つってなんやねん」
〇ラブホテル
ホテルの従業員「ちょっとね、ここでそういうことされると困るのよ」
折戸久美子「だから客引きじゃねぇって。人を待ってんだよ!」
ホテルの従業員「そう言って誰も来ないじゃない」
まらすけの声「久美子――!」
折戸久美子「え!」
走ってきたまらすけが従業員を突き飛ばした。
ホテルの従業員「ぐえっ」
まらすけ「はぁ、はぁはぁ・・・」
折戸久美子「・・・なんだよ」
まらすけ「久美子、僕ん家来い!」
折戸久美子「はい?」
〇けばけばしい部屋
まらすけが帰ってくると、部屋の内装がまるでラブホテルのように模様替えされていた。
折戸久美子「・・・ずいぶんはりきった内装だな」
まらすけ「違う、僕じゃない! こんなバカなことするやつ、一人しかいないだろ」
折戸久美子「ふっ、あいつか」
まらすけ「ん、なんだこれ?」
テーブル上には手紙と女子高生の制服が置かれていた。
手紙には『ぜひともご活用ください! 真奈央』とある。
まらすけ「あのバカ。こういう過剰にエロい演出が緊張して嫌だからうちにきたのに・・・」
折戸久美子「ふっ、あはは。ホントにバカだねぇ。エロバカ。お前と一緒だよ」
まらすけ「・・・久美子、これ」
まらすけは小袋から中身を取り出す。
まらすけ「あの時うまくいかなくて、結局使えなかったやつ・・・。 ホテルのゴミ箱に捨てたはずだけど」
折戸久美子「拾っといたんだよ。なんだよ『愛の初体験』って」
折戸久美子「そんなもん常に持ち歩いてたってのが、あんまり可笑しかったんで記念に取っといた」
まらすけ「悪趣味すぎる・・・」
折戸久美子「また使う時が来るつて、信じてたんだよ」
まらすけ「え」
折戸久美子「さてと。脱衣所どっち?」
まらすけ「あ、その奥だけど。えっ?」
折戸久美子「ったく。あたしの人生、最初で最後だよ。コスプレなんて」
まらすけ「久美子、君・・・」
折戸久美子「着てやるよ。だから、ちゃんと興奮しろよ」
まらすけ「・・・・・・」
まらすけ「・・・あっ」
まらすけは少し前屈みになる。
〇明るいリビング
花木真奈央「すごい。模写修業のおかげで、今までよりエロい絵に奥行きが出る・・・!」
折戸久美子「おー、いま帰ったぞー!」
花木真奈央「あ、お帰りなさい!」
花木真奈央「・・・あれ、久美子さん、なんだかツヤツヤしてませんか?」
花木真奈央「肌にハリがあるというか、妖艶でセクシーというか」
折戸久美子「んー、ふふふふ。あ、制服なんだけどしわくちゃにしちゃったから、クリーニング出して返す」
花木真奈央「あ、はい」
花木真奈央「・・・て、制服しわくちゃ!?」
折戸久美子「あー、久々に女って感じがするぜ」
花木真奈央「お、大人だ!」
折戸久美子「早くあいつのとこ行きな。あたしが出てくる時、なんか描き始めてたから、あんたが着くころには出来てんじゃないの」
花木真奈央「! 久美子さん、私行ってきます!」
折戸久美子「・・・さて、一眠りするか」
〇古いアパートの一室
花木真奈央「師匠、エロください!」
花木真奈央「え、鹿嶋さん。これは一体・・・!」
鹿嶋紳助「ワイも今来たとこや。そしたら、まらさんが倒れてて」
まらすけ「ま、まなお、これ・・・」
花木真奈央「これって!」
まらすけ「できたよ。新作のネームだ・・・」
花木真奈央「!」
まらすけ「読んで欲しい、君に・・・」
花木真奈央「え、でも・・・」
鹿嶋紳助「ふう」
鹿嶋紳助「ワイが一番その新作を待ち焦がれとった自信がある」
鹿嶋紳助「せやけど、それが今一番必要なんはお前や。はよ読め」
花木真奈央「は、はい!」
〇古いアパートの一室
花木真奈央「・・・・・・」
まらすけ「・・・どうかな?」
真奈央は小刻みに震えている。
鹿嶋紳助「あ、これは来るで。過去最大のぽっぽーの鳴き声来るで」
花木真奈央「ほ」
まらすけ「ほ?」
花木真奈央「ほんとうにすごいです」
鹿嶋紳助「鳴くんやのうて、泣くんかい」
花木真奈央「だって、こんなの読んだことないから。 どう感情を表現したらいいか・・・」
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