〇一人部屋（車いす無し）
　　珠璃の家。
山本珠璃「行ってきます」
　　今日も珠璃は写真に手を合わせて出発した。

〇オフィスビル
　　そのころ薫も、出社していた。
森薫「今日も頑張らなくちゃ！」
氷川純也「おはよう、森。あれからどうなった？」
森薫「何とか山本先輩とは関わらないようにしてるんですよ」
氷川純也「そうか。うまくいくといいな」

〇オフィスのフロア
森薫「何とか、高校時代の同級生が助けてくれると言ってたんですよ」
氷川純也「それはよかったな」
会社の同僚「持つべきものは、友達だね」
森薫「そうですね」
　　やがて、珠璃が入ってきた。
山本珠璃「おはようございます」
倉田俊成「おはよう」
森薫（どうか、先輩が私に対し何も言わないことを祈ります・・・!!）
　　珠璃は普通に着席したことで、薫はほっとした。

〇ファストフード店の席
　　その日のお昼休みのこと。
上司「で、席替えをしたというのは本当かい？」
森薫「そうなんです。おかげさまで助かりました」
上司「もし今後困ったことがあったら、私に気兼ねなく相談してほしいもんだよ」
森薫「はい！そうしますね！」
　　森薫は、安堵の笑みを浮かべ、昼食を楽しんだ。

〇オフィスのフロア
　　午後になった。
森薫「席替えしたおかげか、山本先輩のことを気にしなくなってるような気がします」
上司「そうか。それはよかったな」
会社の同僚「アイツの動き、今後も注視していかないといけないな」
　　安堵の笑みを浮かべる森薫。

〇オフィスビル
　　夕方になった。
森薫「先輩、お疲れさまでした！」
会社の同僚「お疲れさん」
会社の同僚「お疲れさまでした。あの、森先輩ですよね？」
森薫「そうだけど？」
会社の同僚「私、山本先輩と同じ小学校だったんですよ。名前は宮野と言います」
森薫「山本先輩と一緒だったの!?」
会社の同僚「こっちもたまげたよ」
会社の同僚「実は、山本先輩とは小学校からの友達だったんですよ」
森薫「私は、高校の時でしか山本先輩とは親しくなかったかな」
　　まさかの登場にびっくりする一同。

〇アパートの台所
　　その夜、帰宅した森薫は、家族に連絡をした。
森薫「「えっと、今日は先輩の友人だった後輩と出会ってびっくりしちゃった」っと」
　　すると、しばらくしてLINEが届いた。
「それで、その子は何と言っていたんだい？」
　　LINEの相手は、森薫の父だった。
森薫「「山本先輩とは小学校が一緒だったけど、先輩の家族が事故に巻き込まれたことを知って精神的ショックを受けた」って」
「その子はきっと、先輩の秘密を知ってるかもしれない。今後も先輩やあの子の動きは注視した方がベターだ」
森薫「「わかったわ。もし何かあったらまたお父さんやおかあさん、警察とかに相談するわね」っと」
「分かった。おやすみなさい。明日も早いから、しっかり寝るんだよ」
森薫「ありがとう、お父さん。おやすみなさい。気を付けてね」
　　森薫は、LINEを送り終えると、入浴することにした。

〇おしゃれなキッチン
森薫の父親「あの子のことが、本当に心配になって来たな」
森薫の母親「大丈夫よ。あの子は芯は強い子なんだから、きっとうまくやっていくわよ」
森薫の父親「そうだね」

〇一人部屋（車いす無し）
山本珠璃「おやすみなさい」
　　珠璃は、自分が今後酷い目に合うかもしれないことを、薄々感じていたのである。しかし、彼女の憎悪は、湧き上がるのだった。