入れ替わりパーソナリティ~好きなあの子が恋してる相手は僕に恋してる!?

れこん

エピソード11(脚本)

入れ替わりパーソナリティ~好きなあの子が恋してる相手は僕に恋してる!?

れこん

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〇海岸の岩場
千陽「おい千蔭。あんまし父さんと母さんから離れて遠くに行くなよ!」
千蔭「もう! お兄ちゃんってば口煩いんだから」
千蔭「それよりコッチに来て! 面白い場所を見つけたの」
千陽(あーもう! 千蔭はいつも勝手に行動するなぁ)

〇洞窟の入口(看板無し)
千蔭「ここよ。なんか崖に掘った洞窟があるから探検してみようよ」
千陽「いやいや。どうみても危なそうだからやめとけよ」
千蔭「ハァ!?」
千蔭「お兄ちゃんってば、ほんとつまんない男!」
千蔭「そんなんじゃ一生モテないよ」
千陽(うぐ・・・。なぜ妹にここまで言われなきゃならないんだ)
千蔭「あーあ、こんなチキンでつまんないお兄ちゃんじゃなくて別のお兄ちゃんだったら良かったのになぁ」
千陽「なんだと!!」
千陽「それを言うならコッチこそお前みたいな生意気じゃない”本当の妹が欲しい──あっ”」
千陽「──っ(マズい!)」
  実は僕の妹の千蔭は生まれてすぐに捨てられているのを発見されて身元不明だったのだ。
  それを僕の両親が知って病院で里親として引き取り”千蔭”と新たに名前を付けて僕の妹にしたんだ。
  そのことを千蔭は知らないし、これからも知られてはいけない。
千蔭「本当の妹? どういう事?」
千陽「なんでもない。売り言葉に買い言葉だ!」
千陽「それより僕はこんな薄気味悪い洞窟になんか探検しに入らないからな」
千蔭「あっそ。だったら私一人で懐中電灯持って探検してくるから」
千蔭「お兄ちゃんは入り口でガタガタ震えて帰って来るのを待っててね」
千陽「く・・・生意気な妹め」
千陽「どうなってもしらないからなー!!」

〇暗い洞窟
千蔭「うわ・・・。ジメジメして嫌な空気」
千蔭「けど退屈しのぎには丁度いいか」
千蔭「それに私はお兄ちゃんと違ってビビりじゃないし、どうせなら奥まで行って何か拾ってお土産にしよう」

〇黒背景
千蔭「や、ヤバ。何も見えない」
千蔭「えーと・・・スイッチオン!」
千蔭「うわっ!? なんなのこの鉄の塊」
  千蔭は知らなかった。
  この洞窟──もとい防空豪は、第二次世界大戦末期、
  帝国陸軍が本土決戦に備えて砲弾や弾薬を保管して隠していた防空豪だ。
  そして戦後の混乱により、誰からも忘れて危険な物が放置された場所だということを・・・。
千蔭「あのおっきな先の尖った塊は何かしら」
千蔭「んっ・・・重っ」
千蔭「あっ!」
  砲弾が倒れた
千蔭「・・・」
千蔭「ふぅ。何にもならなくて良かった」
  千蔭は運が良かった。何故なら倒れた砲弾には信管と呼ばれる部品がついておらず
  衝撃を与えても爆発しなかったのだ。
千蔭「うーん、他に持ち帰ってお兄ちゃんに自慢できるだけ物は無いかしら」
千蔭「あっ! 丁度良いもの発見! これ持って帰って見せよう!」

〇洞窟の入口(看板無し)
千陽「くそ、千蔭のやつ出てこないな。心配だから僕も中に入ってみようかな」
千陽「・・・いや、やっぱ無理。こんな中が暗くてジメジメしてる場所なんてキモすぎて入れないよ」
千陽「マジであいつよくこんな場所に入っていけたな」
千蔭「お兄ちゃーん!!」
千蔭「この洞窟の中訳のわかんない鉄の塊だらけで面白かったよ!」
千蔭「あとあと、お土産にこんなパイナップルみたいな形のモノ拾って来た!」
千蔭「あれ? このパイナップル変なピンがついてる。なにこれ?」
  千蔭は手榴弾の安全ピンを抜いてしまった
千陽「ば、バカ! 危ない!!」

〇病室
藤堂千陽(とうどう ちはる)「うわああああっ!!」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「・・・」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「あれ? ここは・・・どこなんだ?」
看護師「失礼します。検温の時間です」
看護師「あら! 藤堂さんお目覚めになったんですか!?」
看護師「すぐに先生をお呼びします」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「病院・・・なのか。いったい僕の身に何が起こったんだ?」
藤堂千陽(とうどう ちはる)(それにさっきの見た夢も先後の瞬間が妙にリアルでゾッとする)
藤堂千陽(とうどう ちはる)「・・・」

〇病室
藤堂千陽(とうどう ちはる)「──えっ!? 僕が刺されて入院? しかもあともう少しで死ぬところだった!?」
医者「・・・その様子だとその時の記憶が無いようだね」
医者「おい、記録しといてくれ」
看護師「はい先生」
医者「さてと、記憶が無いと言う事は頭も打った可能性も考えられる」
医者「明日精密検査しよう」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「ちょ・・・」
藤堂千陽(とうどう ちはる)(記憶が無いのは多分千蔭と入れ替わってる最中に起きた事だから頭は打って無いって!)
医者「取り敢えず目覚めたばかりで負担だろうから今日はここまでにしよう。では失礼するよ」
医者「さっきの記録を院長に渡して来る」
看護師「分かりました」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「あの・・・僕の両親は──」
看護師「すごく心配しておられたので、さっきお目覚めした時に連絡しときました」
看護師「ですが、今日はもう夜も遅いので明日病院に来てもらうようにお願いしましたよ」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「そうですか。ありがとうございます」
看護師「今日はもう休んで早く良くなって下さい」
看護師「それじゃ消灯しますね」

〇病室
藤堂千陽(とうどう ちはる)(この状況を作り出したのは絶対に千蔭だ)
藤堂千陽(とうどう ちはる)(くそっ! こんなのって勝手過ぎて酷すぎる!)
藤堂千陽(とうどう ちはる)(千陰なんか──)
  ──僕の中から、消し去ってしまいたい

〇豪華な社長室
医者「ごく・・・(緊張する)」
医者「院長、これが例の患者のカルテとさっき目覚めた時の記録です」
柊院長「ほほう。例の患者とな? 何か患者様に対して腫れ物扱いみたいな呼び方じゃのぉ君ぃ」
医者「い、いえ決してそのような意図ではなく──」
柊院長「ふぉふぉふぉ。一応君も知っておるじゃろう? 今入院しておる藤堂君がかつてこの病院で治療手術を受けた事を・・・」
医者「は、はい。存じ上げておりますが、その時の執刀医は誰かは存じておりません」
柊院長「ふぉふぉ、それなんじゃがな。当時あの子を手術した執刀医はワシなんじゃよ」
医者「い、院長自らが!?」
柊院長「ふぉふぉふぉ、当時あの子らは帝国陸軍の残した手榴弾でバラバラに身体を吹き飛ばされとってのぉ」
柊院長「それで助かる見込みが無いから、どうせならワシが大戦中に編み出した医療技術を試してみたくなったんじゃ」
医者「な、なんと・・・。院長は患者を実験台にするために手術をしたと?」
柊院長「まぁの。それと君はワシの娘と結婚して婿養子になっておる」
柊院長「いづれこの病院を継ぐから話しておこうかの──」
柊院長「ワシが藤堂兄妹に施した実験の全貌をの。 ふぉふぉふぉ!」
  続く

次のエピソード:エピソード12

コメント

  • 千陽と千蔭は人体実験されていたんですね。
    ただの二重人格かと思っていたけど、かなり根が深い話しですね。
    院長には、ブラック・ジャック並みの医療技術があると確信しました。
    まだまだ考察する楽しみが増えました。
    戦争の爪痕である防空壕、もう掘るようなことが無いといいな。

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