第九話 人間に戻るんだ(脚本)
〇化学研究室
ゾン「これが?」
ビー「あぁ!間違いない!」
ゾン「これで・・・人間に戻れるんだな」
ビー「おそらく」
ビー「それであの子に気持ちを伝えることが出来るんだ」
ゾン「あ・・・でも」
ビー「なんだよ?」
ゾン「お前ともお別れって事か」
ビー「・・・」
ビー「何言ってんだよ!」
ゾン「お前と敵になるんだよな」
ビー「・・・」
ゾン「やっぱり、僕」
ビー「ゾン・・・」
ビー「すぐに襲って、ゾンビに戻してやるよ」
ゾン「・・・ビー」
ゾン「ありがとな、いろいろと」
ビー「気にすんな!」
ゾン「僕さ、少しの間でもいいから あの子と話がしたい」
ゾン「それが出来ればいいんだ」
ビー「ゾン・・・」
ゾン「よし」
ビー「待って!」
ゾン「え?」
ビー「今、ここで人間に戻っちゃったら 俺、襲っちゃうかもしれないからさ」
ゾン「あ、そっか」
ビー「いったん、外に出よう」
〇商店街
松岡力「はぁはぁ」
おい!人はいないのか?
誰かいるのか?
松岡力「やべぇよ、このままじゃゾンビになっちまうよ」
いいか!ゾンビになってからじゃ遅いからな!
なる前に殺しちまうんだ!
わかってるよ
ゾンビに襲われてたまるかよ!
松岡力「くそ!」
〇汚い一人部屋
ゾン「これが・・・」
ゾン「これで、あの子と」
ビー「どうしたんだよ、しけたツラして」
ゾン「いやさ、いざ人間に戻るってなったら」
ゾン「いろいろ考えちゃって」
ビー「そりゃそうだよな」
ゾン「本当にこれでいいのかな?」
ビー「何言ってんだよ」
ゾン「え?」
ビー「いいに決まってるじゃん!」
ゾン「うん」
ビー「それに、俺はお前の事、何があっても 忘れないから」
ゾン「それは俺もだよ!」
ビー「人間に恋して、ゾンビから人間に戻ったやつなんて」
ビー「忘れようにも忘れられないだろ」
ゾン「ビー・・・」
ビー「あのさ」
ゾン「ん?」
ビー「もし、俺がさ、お前を襲おうとしたら」
ゾン「うん」
ビー「頭撃ってさ、殺してもいいんだからな」
ゾン「それは・・・」
ビー「せっかく戻るんだ!人間をまっとうしろよな!」
ゾン「・・・」
ビー「苦労して手に入れたワクチンがもったいないだろ」
ゾン「・・・」
ビー「なんで寂しい顔してんだよ!」
ゾン「うん!」
ビー「今夜あの子に会いに行って」
ビー「ワクチン打って、人間に戻って」
ビー「気持ち、伝えるんだろ!」
ゾン「うん!」
ビー「そんなしけたツラしてんじゃねえよ」
ゾン「・・・」
ゾン「ありがと」
ビー「俺らはさ」
ビー「何があっても」
ビー「ずーっと友達だから!」
ゾン「うん!」
ビー「だから!何泣いてんだよ」
ゾン「ゾンビと人間が友達って変だな」
ビー「・・・」
ビー「じゃあな」
ゾン「うん」
ビー「元気で」
ゾン「ありがとう」
〇古いアパート
松岡力「くそ!あいつはまだか!」
松岡力「まったく役に立たねえなあ!」
松岡力「ん?」
ビー「よし、俺はここまでだ」
ゾン「あぁ、ありがとう」
ビー「頑張れよ!」
ゾン「うん!」
ゾン「うぅぅぅ〜」
松岡力「っだよ、おい!」
松岡力「襲えるもんなら襲ってみろよ! どうせ俺はもうすぐゾンビになるんだ!」
ゾン「うぅぅ〜」
松岡力「見ろよ手も足も緑に変色してきてら!」
松岡力「お前らみたいに気持ち悪くなってきてら!」
ゾン「うぅぅぅ〜」
松岡力「俺はもう終わりだぁ!」
松岡力「美奈!」
高橋美奈「力君・・・」
ゾン「うぅ・・・」
〇古い倉庫
高橋美奈「力君に手を出すな!」
〇古いアパート
ゾン「うぅぅぅ」
松岡力「なんだ、こいつ?」
高橋美奈「・・・」
松岡力「襲って来ないのか?」
松岡力「ってか、美奈!ワクチンは!?」
高橋美奈「・・・」
松岡力「お前、俺を見捨てるのか!?」
松岡力「お前、それでも人間か!?」
松岡力「今までの恩、忘れたのか!」
高橋美奈「・・・」
松岡力「誰のおかげで母親が助かってると思うんだ!」
高橋美奈「・・・」
ビー「ったく、俺も帰ればいいものを」
ビー「どうも気になっちゃうんだよなぁ」
ビー「無事、告白出来たのかな?」
ビー「・・・」
ビー「え!?」
ゾン「うぅぅぅ」
松岡力「なんだよ?こんな俺を襲おうとするのか?」
ゾン「うぅぅぅ」
松岡力「くそ!やれよ!」
松岡力「そしたら、この女をすぐに襲って」
松岡力「巻き添いにしてやるよ!」
ゾン「うぅぅぅ」
松岡力「なんだよ?」
ゾン「うぅぅぅ」
高橋美奈「え!?」
松岡力「もしかして・・・」