お婆さん

カンノアナ

エピソード(脚本)

お婆さん

カンノアナ

今すぐ読む

お婆さん
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇住宅街の道
A「聞いてぇ。この間さぁ、変なお婆さんに会っちゃった」
B「変なって?」
A「うーん。人喰い婆さんっぽいの」
B「えーっ!何言ってんの」
B「で、どこで」
A「公園側の、豪邸がいっぱい建ってる辺り。わかる?あそこ」

〇高級住宅街

〇住宅街の道
B「なんでそんなとこ行ったの」
A「散歩」
A「歩いてたらさ、お婆さんがうずくまってたの、道端に」
B「で、何歳くらい?」
A「うーん、七、八十ってとこかな」
B「どんな感じ?」
A「シャネルのロゴ入りスニーカーに黄色の花柄のワンピでぇ」
A「グッチのポシェット下げてた。ニューリッチ的婆さん」
B「何それ。ニューリッチってさ」
A「成金っぽい」
B「あ〜ぁ、ブランドきてますぅーって感じか」

〇高級住宅街
A「でね、大丈夫ですかって声かけたら、大丈夫って言うから、」
A「ペコリ頭下げて歩き出したの。そうしたらさ」
婆「お爺さんと逸れてしまったんです」

〇高級住宅街
A「後ろから話しかけてきたわけ。家はどこかと聞くと、すぐそこだって言うの」
B「送っていきましょうかとか言ったんでしょ」

〇高級住宅街
A「うん。手を繋いでって、お婆さん腕をぐっと伸ばして待ってるんだよ」
A「でね、その手がね垢で真っ黒だったんだ」
B「うっわ。触りたくない」
A「ワンピの裾から足が見えてさ、まだらに黒くて粉吹いててゾウさんみたいだったんだ」
B「なんか臭ってきそうな婆ちゃんだね」
A「婆ちゃん、意外におデブさんで引っ張り上げて立たせるのに一苦労したよ」
B「うわーっ。歩くのもめっちゃ遅そう。足とか上がんなくてさぁ」
B「引きずってさぁ、 一歩一センチしか進まない」
A「え。何でわかるの。そうなんだよその通り。そんで、」
A「一歩進む度に婆ちゃんの全体重が私の腕に乗っかるの」

〇高級住宅街
B「はぁ〜。。歩く杖になっちゃったね」
A「「そこです、そこです」って、家の前来るとさ」
A「「そこです、そこです」って隣の家を指差すんだよ」

〇高級住宅街
婆「そこです。そこです」

〇高級住宅街
B「最悪。迷子のボケ老人だったとか」
A「そう思うよね。杖になったの後悔したもん」
B「でもさ、あんな高級住宅街だし、ちょっとは下心あったんでしょ」
B「感謝されてお礼されたりとかさ」
A「ははは。実話ちょっと妄想した。豪邸に近づく度に」
B「で」
A「婆ちゃんが不気味でさ。少しづつ擦り寄ってきてね、」
A「指で私の横腹をつんつんし始めたの」
B「え!ミートテック腹巻きをプニョプニョしたの?」
A「あーっ。ひどいー。まぁそうだけど。でねでね、婆ちゃん、」
A「私の顔を上目遣いで覗き込んできてニヤっと笑ったんだよ」
婆「ふふふ」

〇高級住宅街
B「こーわーいー。肉付きの確認とか?ヘンゼルとグレーテルかっ!」
A「だからさ、腰を横に引いて歩くようにしたんだけど。キツかったー」
A「腕なんて痛いの通り越してマヒだよ」
B「婆ちゃんのこと聞けそうな人いなかったの?ご近所さんとか」
A「見えない振りしてる人いた。でさでさ、婆ちゃん、」
A「「お茶でもどうですか」って言い始めたの」
B「絶対ダメでしょ」
A「断っても断っても、二、三歩したら同じこと聞くんだよ」
A「是非今度って半分叫びながら言って、やっと黙ったよ」
婆「お茶でもどうですか」

〇お化け屋敷
A「あー!あれがこの通りの最後の一軒だ。やっと解放されるーっと思ってたら、」
A「パトカーがサイレン鳴らして走ってきたんだ」
A「そしたらね、婆ちゃん、シャキッとして自力で立って慌てふためいてるんだ」
婆「ぁぅぁゎぁぅ」
B「婆さん、実話、歩ける?」
A「パトカーが見えなくなると、また歩けなくなってた」
B「キョウレツ」
A「もっとキョウレツ!家の前まで来ても歩くのやめないんだ婆ちゃん」
B「えっ!じゃあ家どこ」
A「T字路の通り向こう側」
B「そんなとこに家あったけ?」

〇壁
A「うーん。昔は店屋だったんじゃないかな」
A「正面の入り口とショーウインドウに新聞紙が貼られてた」
B「あ!わかった。コンクリ剥き出しでヒビが入ってる、とにかく四角いやつ」
B「カビっぽい緑の建物でしょ」
A「そうそう、雑草ボウボウの」
B「なんかさ、そのT字路渡ったら、こっちの世界に戻ってこれないみたいじゃん」
A「その建物の横に細長い通路があって、奥に階段があった」
B「渡ったんだ。」

〇不気味
A「その通路の両脇に部屋があってね、人が住んでるみたいだった」
B「マジに」
A「うん。表札があったもん」
B「っていうか、足を踏み入れたんだ。。その建物に」
A「ドアの覗き穴の中にね、目が見えた気してゾワっとしちゃった」
B「危ないなぁ。そこまで付いて行くことないじゃん」
A「婆さんさ、階段に着くと四つん這いになったんだ」
A「で、私の手首をぎゅーっと握ってぐいっと引っ張って言ったんだ」
婆「お茶でもどうですか」
A「婆さんの手は振り切れたんだけどさ、足がガクガクいっちゃって」
A「四つん這いになりそうになって逃げ出したんだ」
B「。。」
A「婆さん、凄い速さで階段を這い上がってた。腕がさ、3本くらいあったみたい」
B「生えた。。」
A「婆さんの部屋のドアがね、半開きだったんだけど、」
A「真っ赤に染まってたような気がする」

〇高級住宅街
B「もぉー。怖すぎ!」
B「あ、ちょっと、なんで手握るの? 痛いって!」
A「いいから、いいから。こっち、こっち」
B「もぉーっ!引っ張らないでってば! あっ。」
婆「一緒にお茶でもどうですか」

〇壁

コメント

  • じわじわと増幅する不快感と恐怖感がせめぎ合う語り口に引き込まれました。私も美味しそうな「ミートテック腹巻き」を巻いてるので、道でお婆さんにあったら食べられないように気をつけます。

  • 読みながら怖って、背中がぞわぞわ。そうでもないかも⁉と思ったら勘違い。
    最後ギャッー。おばあさん見かけたら思い出しそう。

  • えっ、いつのまに? やはり人食い婆さんだったんですね!彼女たちの会話が、途中まで全く予想できそうにないように展開したところが、最後の衝撃のフィナーレにより効果的だったと思います。

成分キーワード

ページTOPへ