《エデン》

草加奈呼

エピソード27 神が創りし獣(脚本)

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草加奈呼

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〇洞窟の深部
神が創りし獣「ウ・・・グ・・・ぁ・・・」
レグルス「ウィル!! 私の声が聞こえるか、ウィル!?」
神が創りし獣「ウ・・・ァ・・・?」
神が創りし獣「ぁアアアアアアアアアア!!」
レグルス(ダメだ、手がつけられん・・・!!)
レグルス(私の闇の能力で、無に返すしか・・・)
レグルス「・・・・・・・・・・・・」
レグルス「能力が使えない・・・!?」
レグルス「ジェルバーン、君の能力で、ウィルの 時を戻す事はできるか!?」
ジェルバーン「俺も、無理ですね・・・。 自分にかけていた技まで解けてしまいました・・・」
レグルス(くっ・・・ 不本意だが、仕方あるまい・・・)
レグルス「アイ=リーンの子孫たちよ!!」
レグルス「我々はすでに能力が使えない!!」
レグルス「このままでは、 ウィルは人間を傷つけてしまう!!」
レグルス「そうなる前に、ウィルを倒してくれ、 ・・・・・・頼む!!」
風華「レグルス、いいのですか・・・?」
風華「あなたの狙いは、ウィルを救い、 子孫同士の因縁を断ち切ること・・・」
風華「ウィルを神獣のまま倒せば・・・ それは・・・・・・」
レグルス「・・・どのみち、ウィルがあのまま人間を 攻撃してしまったら、それは叶わなくなる」
レグルス「ウィルは、まだ”人間を殺していない”」
レグルス「そうなる前に、頼む・・・!!」
風華「・・・・・・・・・・・・」
風華「わかりました。あなたの想い、私たちが 引き継ぎます・・・!」
風華「・・・・・・みんな!!」
風華「神具を構えて、攻撃体制へ・・・!!」
「応っ!!!!」

〇洞窟の深部
  私は、カートが魔術の封印を解いてしまったと知った時、許されぬ事ではあるが、
  感謝をしてしまった。
  カートがこのまま封印されれば、
  私たちの願いも叶う、と・・・
  私がこの世から去っても良かったのだが、
  ウィルがセ=シルの子孫として生きる
  には、他の子孫たちに存在を認知させなければならなかった。
  仲間を探し集めるのに、時間がかかってしまった。
  そんな時、カートが魔術の封印を解いて
  しまったと知り・・・仲間を集める口実が
  できた。
  しかし、他の仲間は我々と違い、
  生きる事を望んだ。
  だから、私は苦肉の策を考えた。
  カートと風華の間に、
  子をもうける事を・・・。
  2人の間の子なら、確実に風の能力を
  受け継ぐ事ができる。
  他の仲間も、渋々だがこの策を受け入れてくれた。
  もちろん、私はそんな事はさせまいと
  思っていた。
  だが、生きる事を望む仲間に、
  一緒に死んでくれなどと言えようか?
  私は、仲間を騙し利用し、カートのところ
  まで辿り着いた。
  その結果が・・・これだ。
レグルス(アイ=リーンよ、セ=シルよ・・・)
レグルス(私は、いかなる罰も受けよう・・・)
レグルス(すべて私が引き受ける・・・!)
レグルス(だから・・・頼む・・・! ウィルを・・・みんなを・・・!!)

〇洞窟の深部
紅蓮「行くぜ!! フレイムセイバー!!」
神が創りし獣「ジャ・・・マ・・・ダ・・・」
紅蓮「んなっ・・・! 弾かれた!?」
吹雪「雷火! 同時に行くぞ!!」
吹雪「なんでだ!? 攻撃が全部弾かれてる・・・!!」
影利「もしかして、 神具の攻撃が効かないんじゃない!?」
色時「そうか・・・! 神具は魔術を 封印するためのものだから・・・!」
氷河「もしかして、魔術以外には効かない!?」
紅蓮「くっそ! どうすれば・・・!?」
風華(どうすれば・・・!? 神獣に神具の攻撃は効かない・・・!!)
風華(神具は魔術を封印するためのもの・・・ 魔術以外には効果がない・・・)
風華「・・・そうよ!」
風華「私たち、神具を 最強の武器だと勘違いしてたんだわ!!」
風華「その神具に頼りすぎていた・・・ だから!!」
風華「みんな、神具から宝玉を外して!!」
紅蓮「ええっ!?」
風華「私たちは、魔術を封印するんじゃない!」
風華「神獣を・・・ ウィルを解放してあげるの!!」
吹雪「いいけどよ、俺の神具は多分、 宝玉を外したら・・・」
吹雪「だーっ!! やっぱり!!」
風華「それでいいのよ!」
風華「みんな、宝玉のない神具か、 自然の能力だけで戦うの!」
紅蓮「よし・・・よくわかんねぇが、 行くぜ!!」
神が創りし獣「イ・・・ラ・・・な・・・イ・・・」
紅蓮「ぅおおおおーーい!! 逆の属性を出してきたぞ!?」
氷河「水!? 水の能力も使えるのか!?」
地季「そういえば、 さっきは風を使っていた・・・」
風華「レグルス! 彼の能力は、たしか”光”でしたよね!?」
レグルス「私も、 ウィルの能力を見るのは初めてだが・・・」
レグルス「私の闇の能力は、 すべてを”無”にする力がある」
レグルス「おそらく、その逆である”光”は・・・」
風華「すべてを・・・”有”にする・・・?」
風華「つまり・・・」
レグルス「”すべての能力が備わっている” ということだ・・・!」
風華「そんな・・・!!」
雷火「だったら、力で行くしかねぇーー!!」
神が創りし獣「グ・・・ゥ・・・ウ・・・」
地季「地の回復能力まで・・・!」
氷河「”すべての能力”って・・・ そういうことか!!」
影利「じゃあ・・・これはどう!?」
影利「光を出してきた・・・!?」
神が創りし獣「ぐ・・・ウ・・・ウ・・・!」
風華「でも、 反属性の闇は、少し効いてる・・・!?」
影利「くううううっ、厳しいわ・・・!」
色時「影利! 援護します!」
影利「力が・・・増幅された・・・!?」
レグルス「君の闇の能力で、ウィルを無に返すんだ!!」
影利「無に返す!? そんなの、やったことないわよ!?」
レグルス「コツを教えよう。 君なら、できるはずだ・・・!」
影利「よおおおおし、行くわよ!!」
神が創りし獣「グ・・・アア・・・ァ・・・ッ!!」
神獣「・・・・・・・・・・・・」
風華(神獣の姿に戻った・・・!!)
「お兄ちゃん!!」

〇洞窟の深部
メイ「お兄ちゃん・・・元に戻ってよ・・・ お兄ちゃん・・・」
レスト「・・・・・・・・・・・・」
レスト「大丈夫、生きてる」
メイ「どうしたら元に戻るの・・・?」
レグルス「メイ」
メイ「レグルス様・・・」
レグルス「残念だが・・・ウィルの本当の姿は、 こちらの方だ・・・」
レグルス「先程の闇の力で、すべて無に返った。 しばらくウィルの姿になるのは無理だろう・・・」
メイ「レグルス様も、 みんなも消えかかって・・・」
メイ「あたしは、 どうしたらいいんですか・・・?」
レグルス「・・・・・・・・・・・・」
  風華は、徐にウィンドハープを弾き始めた
紅蓮「どうしたんだ、風華?」
風華「わからない・・・ わからない、けど・・・」
風華「こうした方が、いいって思えて・・・」
風華「眠っている、 ウィルにも届きますように・・・」

〇幻想2
ウィル「ここ・・・は・・・?」
ウィル「綺麗なところだなぁ・・・」
ウィル「・・・僕、死んじゃったのかな?」
ウィル「だとしたら、 おかあさんに会えるといいな・・・」
風麗「・・・・・・・・・・・・」
ウィル「風麗!?」
ウィル「待ってよ、風麗!」
ウィル「風麗・・・どこに行ったの・・・?」
セ=シル「・・・・・・・・・・・・」
ウィル「・・・・・・・・・・・・」
ウィル「まさか・・・」
セ=シル「もしかして・・・ウィルなの・・・!?」
ウィル「おか・・・さん・・・?」
「おかあさんっ!!」
セ=シル「ああ、ウィル・・・ ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
セ=シル「あなたをひとりにしてしまって・・・ ずっと後悔していたの・・・」
ウィル「ずっと会いたかった・・・ やっと会えた・・・」
ウィル「まさか、本当に会えるなんて。 僕、もう死んでもいいや」
セ=シル「いいえ。 あなたは、まだ死んではダメ」
ウィル「どうして? 僕、おかあさんと一緒にいたいよ」
セ=シル「ウィル、よく聞いて」
セ=シル「今、あなたのせいで私の子孫たちは 消えようとしています」
セ=シル「私と一緒にいたいのなら、 最後の一仕事をしてきなさい」
ウィル「最後の仕事?」
セ=シル「ウィル、あなたには、 私と同じ光の能力が備わっている」
セ=シル「光はすべてを生み出す力があるの」
セ=シル「あなたの残りの力を、 あの女の子に授けなさい」
セ=シル「そうすれば、 セ=シルの子孫はまた生まれてくるわ」
ウィル「えーと・・・?」
ウィル「よくわからないけど、わかった」
ウィル「終わったら、 おかあさんと一緒に暮らせる?」
セ=シル「ええ、一緒に暮らしましょう」
ウィル「じゃあ・・・行ってくるね」
セ=シル「・・・・・・ウィル・・・・・・」

〇洞窟の深部
メイ「・・・あっ」
メイ「お兄ちゃん、目が覚めた!?」
神獣「メイ・・・・・・」
レグルス「ウィル・・・良かった・・・」
神獣「レグルス・・・」
神獣「僕ね、おかあさんに会えたよ」
「えっ?」
神獣「おかあさんに、叱られちゃった」
レグルス「そうか・・・」
神獣「メイ」
メイ「えっ、なに?」
神獣「この世界は、君に任せた」
メイ「ど、どういう事!?」
神獣「あ、そうだ・・・」
神獣「メイ以外は、消えかかってたんだっけ」
神獣「今、延命処置をするね」
ジン「おおっ、元に戻った!?」
神獣「ごめんね、まだ、延命処置をしただけ」
神獣「君たち子孫が生き残るには、やっぱり 風の子孫が必要だよ・・・」
エクスト「じゃあ、どうしたら・・・?」
神獣「ごめんね・・・僕にはもう、 力も時間も残されていない・・・」
神獣「メイ・・・」
メイ「お兄ちゃん・・・?」
神獣「ごめん・・・あとは・・・ たのんだ・・・」
メイ「お兄ちゃん! お兄ちゃん、しっかり!」
神獣「・・・・・・・・・・・・」
メイ「お兄ちゃああああん!!」
レグルス「メイ・・・」
  メイ・・・・・・
メイ「・・・・・・ん?」
  メイ・・・・・・
  僕の声が、聞こえる・・・?
メイ「えっ? お兄ちゃん・・・!?」
  メイだけに聞こえたウィルの言葉・・・
  ウィルは、最期に何を語るのか────

次のエピソード:エピソード28 奇跡の子

コメント

  • 幻でもおかあさんに会えて良かった。風麗が会わせてくれたのかな。
    そういえばアイ=リーン側に光はいなかった気が?そこで「ん?」となるべきだった?
    レグルスは頭が良すぎて凡人には理解できない感じがありますが、ウィルの思いはとてもシンプルですね。
    残る不明点はカートが封印を解いた理由かな?見逃してるかもしれませんが😅

  • まさに佳境と言った雰囲気ですね。それぞれの想いも解っり、終結に向かってる感じがします。

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