9.悪女のママではいられない。その3(脚本)
〇荒野
ブリアザイト(──シタラを捕まえたのはいいけど)
ブリアザイト(アルはどこにいるわけ? まさか諦めて帰ってないでしょうね)
ブリアザイト(あの鳥がいないのは好都合だけど、 あいつまでいないんじゃ・・・)
うぉおおおお!?
アルバス「──どこ行きやがった!? 鳥!」
ブリアザイト「・・・あんた今、空から降ってきた?」
アルバス「お? なんでリアザママがここに──」
アルバス「まさか、なにかあったのか? ロリコン共が攻めてきたとか!?」
ブリアザイト「なにその想定・・・ そんなんじゃないから・・・」
ブリアザイト「あんたが連れてたシタラって子、 記憶が戻ったってさ」
アルバス「ママの記憶が!? そりゃよかった!」
アルバス「よし、鳥なんてさっさと捕まえて、 俺がママを送ってやらないと──」
ブリアザイト「あー・・・その必要はないわ あの子、一人で出て行っちゃったから」
アルバス「なに!? そりゃまずい!」
ブリアザイト「ち、ちょっと待って! どこ行く気よ!?」
アルバス「ママはロリコンに狙われてんだ! 一人だとママが危ない!」
ブリアザイト(どんな状況よ、それ!?)
ブリアザイト「あたしのこと助けてくれるんでしょ? あの鳥はどうするのよ!」
アルバス「ママを送り届けたら、絶対戻ってくる! 少しの間待っててくれ!」
ブリアザイト「そんなの信じられるわけないじゃない そう言って投げ出すつもりじゃ──」
アルバス「約束しただろ、ママ? ママが困ったら、俺が助けるって」
アルバス「絶対に戻ってくる。親子の約束だ!」
ブリアザイト(親子の、約束・・・)
〇森の中の小屋
ブリアザイト「──ママ、どこ行くの?」
ブリアザイト「おでかけなら、私も連れてってよ」
男「・・・おい、先行ってるぞ」
ブリアザイト「今の人・・・ よくお茶を買ってくれた人?」
ブリアザイト「あの人も一緒に行くの?」
ママ「・・・着いて来ないで」
ブリアザイト「え? ママ?」
ママ「あなたはここにいなさい」
ブリアザイト「な、なんで? 私も一緒に行くよ!」
ブリアザイト「前に、約束してくれたよね ずっと一緒にいるって・・・」
ママ「リアザ、あのね──」
〇荒野
ブリアザイト「──そんなもの、あてにならないわ」
アルバス「ママ?」
ブリアザイト「言いたくなかったけど、 シタラから伝言があるの」
ブリアザイト「あんたと一緒にいるのは、 もううんざりだってさ」
アルバス「・・・シタラママが言ったのか?」
ブリアザイト「ええ、そうよ」
ブリアザイト「親だからって慕ってくるのも、 きゃーきゃーうるさいのも──」
ブリアザイト「全部迷惑で、邪魔だったってさ!」
アルバス「俺が、ママの迷惑・・・」
ブリアザイト「・・・あんたが傷つくだろうし、 伝える気はなかったんだけど」
ブリアザイト「どうしても行っちゃいそうだから・・・ ごめんね、アル」
アルバス「いいんだ、ママ──」
アルバス「そんな嘘じゃ、俺は傷つかないからな」
〇荒野
ブリアザイト「う、嘘って・・・ あのね、信じたくないんだろうけど──」
アルバス「なあ、リアザママ ”降物猟師”って知ってるか?」
ブリアザイト「は?」
アルバス「もっと古いと”呪い拾い”なんて 呼ぶ人もいるな」
ブリアザイト「なんの話よ?」
アルバス「俺みたいな奴の呼び方さ」
〇英国風の部屋
ブリアザイト「──へぇ、アルってスポット荒らし?」
〇荒野
アルバス「──”スポット荒らし”は、 管理者気取りのロリコンが使うもんだ」
ブリアザイト「あたしがシェルターの連中だって言うの?」
アルバス「シェルターとは言ってないが、 ロリコンって自覚はあるみたいだな」
ブリアザイト「そっちじゃないわよ! 管理者の方に決まってるでしょ!」
アルバス「その反応だと、 やっぱりリアザママもロリコンか」
ブリアザイト「・・・ふん、もう呼び方はどうでもいいわ」
ブリアザイト「それで、 あたしがシェルターだったらなに?」
ブリアザイト「シタラを助けに行くの? 簡単にさせると思う?」
アルバス「・・・ママ、そこを動かないでくれ」
ブリアザイト「脅したって無駄よ あたしだって、降物を持って──」
鳥「ピィイイイイ!」
ブリアザイト(──鳥? いつの間に!?)
アルバス「──ママになにすんだ、鳥野郎!」
アルバス「くそ、逃げ足の速い・・・!」
アルバス「大丈夫か、ママ?」
ブリアザイト「・・・なんで助けるの?」
アルバス「そりゃ、約束だからな」
ブリアザイト「──いいかげんにして! 二度も騙されて、まだ言うの!?」
ブリアザイト「あたしが絆されるとでも思ってる? だとしたらお生憎さま!」
アルバス「ぬががががっ!」
ブリアザイト「しばらくは起きれないわ せいぜい、あの鳥に気をつけることね」
〇荒野
ブリアザイト(──困ったら助ける? そんなこと言う奴、いくらでもいたわ)
ブリアザイト(けど最後にはみんな、 本性を見せて離れていくんだ!)
ブリアザイト(約束なんて守らない、誰も信用しない!)
ブリアザイト(シェルターとだって、 貰うだけ貰ったら──)
ピィイイイイ!
ブリアザイト「え?」
ブリアザイト(な、なんであたしの方に!?)
ブリアザイト「──くそ、来るなら来い! 焼き鳥にしてやるから!」
ブリアザイト「うわっ!?」
ブリアザイト(スタンガンが──いや、鳥はどこ!?)
鳥「ピィイイイイ!」
ブリアザイト(なにあれ・・・? いったいなにをして──)
ブリアザイト「嘘っ!?」
ブリアザイト(風で降物の山を崩すなんて・・・!)
ブリアザイト「や、やば──」
〇黒背景
ブリアザイト「あ、あんた──」
〇荒野
ブリアザイト「は・・・?」
ブリアザイト「は、ははは・・・」
ブリアザイト「まともに動けなかったのに、 あたしを助けに来たの?」
ブリアザイト「言ったじゃない あたしは絆されたりしないの」
ブリアザイト「どうせあんただって、最後には──」
ブリアザイト「最後・・・」
ブリアザイト「最後まで、約束守られちゃった」
〇荒野
ピィ・・・
鳥「ピィ、ピィ・・・」
ブリアザイト「・・・なによ、急に静かになって そいつが死んで悲しいの?」
ブリアザイト「そういえばそいつ、 さっきも空から降ってきたもんね」
ブリアザイト「遊び相手? それとも仲間だと思った?」
鳥「ピィ・・・」
ブリアザイト「・・・だから、あたしの方に来たの? アルを助けたかったとか?」
ブリアザイト「それなら、あたしのこと──」
ブリアザイト「へっ?」
鳥「ピッ!?」
〇荒野
アルバス「──よっしゃあ、鳥ゲット!」
ブリアザイト「は、はぁああああ!?」