エピソード10(脚本)
〇モヤモヤ
いつまでも馬鹿な事をやっとたらいけん。
いつか相手から恨まれて殺されるぞ
あぁ・・・。伊良子先生よぉ。
その”いつか”ってやつは今この瞬間なんじゃのぉ。
〇水の中
殺されそうになる間際──
武司の目の前には記憶の奥底にある生まれた後から現在までの映像が走馬灯として見えた。
そして──意識は超越し・・・
〇入り組んだ路地裏
ん、なんじゃこの汚いおっさん・・・
ヤクザ「死ね! ”来栖”ぅう!!」
えっ、もしかしてこのおっさんは・・・俺なんか・・・
〇モヤモヤ
???「このバカタレ! はよ意識をコッチに戻して体を動かさんかい!」
〇入り組んだ路地裏
可憐(かれん)「えっ、躱した!?」
来栖武司(くるす たけし)(あ、あぶなー。あともうちょっとでマジで死ぬところじゃった)
来栖武司(くるす たけし)(それとさっきの男の声は誰じゃったんじゃ?)
???「・・・」
タケル刑事「・・・」
来栖武司(くるす たけし)「あ・・・!」
武司、まだ死んだらいかん・・・
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「武司、ここにいたのね! 大丈夫!?」
来栖武司(くるす たけし)「千蔭、なんでここに・・・」
来栖武司(くるす たけし)(あと、あの時一瞬見えたのは、もしかして死んだ親父──もしかして、あの世から見守って助けてくれたんか)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ちっ、イヤな予感が的中したわね。 探しに来て助けにきたわよ!」
来栖武司(くるす たけし)(えっ・・・こいつ俺を助けに? やばい、なんか嬉しい。惚れ直した!)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ほら、まだ終わってないからボサっとしないで! 追撃がくるからそこから私の位置まで下がって!」
来栖武司(くるす たけし)「お、おう。わかった!」
可憐(かれん)「なに、あんた誰!?」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「どうもーはじめましてー」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「来栖武司の彼女の千蔭でーす」
来栖武司(くるす たけし)「うをっ。そうハッキリと人前で言われるとなんだか照れるのぉ」
可憐(かれん)「ちょっとソコ! 目の前でいちゃつくな!」
可憐(かれん)「あと彼女だか何だか知らないけど、復讐に関係ないならどっか行って!」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ごめーん。 実は関係有る」
可憐(かれん)「なんですって!? あっ、まさかあんた。来栖武司とお兄ちゃんの喧嘩に一緒に居た女ね!」
可憐(かれん)「だとしたらあんたのせいでお兄ちゃんは敗けたんだから、あんたも復讐の対象に入れてやるわ!」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「・・・」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ねえねえ。あんたもしかしてブラコン?」
可憐(かれん)「う、うるさい! だまれ!」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「あっ、その反応絶対ブラコンだわ。 よっ、お兄ちゃん好き好き~♡」
可憐(かれん)「うるさい!うるさい!うるさい! お兄ちゃんは私のヒーローなんだから好きで何が悪い!?」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「別に悪くないよ。 (私も他人の事言えないしね)」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「けど、そんなあんたに都合が悪い事教えてあげる」
〇ネオン街
藤堂千陰(とうどう ちかげ)(あ、あいつは──!)
実は、武司を探しに街に来たら偶然あんたのお兄ちゃんを目撃したんだけどさ。
あんたのお兄ちゃん。うちのクラスの委員長──木下誠美となんだか楽しそうに二人で歩いてたよ
〇入り組んだ路地裏
「ガーン──」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)(ガーン・・・)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)(──ってちょっと)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)(よく考えたらこれって私の中で眠ってるお兄ちゃんまで反応するから自分にダメージが帰って来るわ)
〇入り組んだ路地裏
可憐(かれん)「嘘、そんなの嘘よ・・・。 お兄ちゃんが私以外の女なんかと一緒に行動する訳ない」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)(よし、ひとまず作戦成功ね。 ショックで気が動転してるわ)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)(けど、本当になんで木下誠美はあんな輩と一緒に居たのかしら・・・)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)(マズい、思った以上にメンタルダメージが大きくて中のお兄ちゃんが抑えきれなくなりそう)
来栖武司(くるす たけし)「・・・」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「──ちょっと武司! なんであんたまでショック受けてんのよ!」
来栖武司(くるす たけし)「お、おうすまん」
来栖武司(くるす たけし)(いやいや、ショック受けるじゃろ普通。 あの誠美があんな奴と一緒じゃと? ありえんじゃろ・・・)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「あーもう! なんなの? もしかして木下誠美の事が今はそんなにきになるの!?」
来栖武司(くるす たけし)「ち、違うわい!」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ふん。とにかく今はチャンスなんだから逃げるわよ」
〇ネオン街
トン田(むっ、兄ちゃん感じるぜ。 我が愛しの妹──可憐が何かショックを受けてる気がする)
木下誠美(きのした なるみ)(感じるわ。 武ちゃんが近くで移動している)
「聞いてくれ──ください! この近くで妹──幼馴染が居る気がするんだ──です!」
「えっ!? どうしてかって?」
「それは、大事な存在だから近くに居たら感じるんだ──です!」
「・・・」
トン田「はは、成る程なぁ・・・」
木下誠美(きのした なるみ)「ふふっ。ですよね」
謎にシンクロする二人だった。
しかしそれが分かればすぐに意気投合し、目的の場所は同じだと理屈ではなく本能で感じた。
そしてそれは同時に最悪なタイミングでもあった。
〇ネオン街
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「早く来て。コッチ!」
木下誠美(きのした なるみ)「えっ? 千蔭ちゃん!?」
木下誠美(きのした なるみ)「武ちゃんまで一緒!?」
来栖武司(くるす たけし)「ちょ・・・待ってくれや千蔭」
トン田「あっ! お前この前の中坊!」
来栖武司(くるす たけし)「なっ!? トン田と誠美!?」
来栖武司(くるす たけし)(嘘じゃろ──マジで二人で居ったんか)
トン田「ひゅー! 丁度いいぜ。この前の仮をこの場で──」
トン田(ぐわああ! やられた腰が・・・まだ本調子が出せねえ)
来栖武司(くるす たけし)「おい馬鹿誠美! どうしてお前がそんな奴と一緒に居るんじゃ!?」
来栖武司(くるす たけし)「言っとくがそいつは”カツアゲ定食”ってあだ名が着くくらい人様から金を脅し取るクズ中のクズじゃぞ!」
木下誠美(きのした なるみ)「それはコッチのセリフよ! 今日学校で可憐ちゃんに襲われて怪我させられて帰ってこないうえに──」
木下誠美(きのした なるみ)「あんな不良みたいな恰好の千蔭ちゃんと街に居るなんて信じられない!」
木下誠美(きのした なるみ)「こっちはどれだけ心配したと思ってるの!?」
トン田「お、おいちょっと待てよ。お前らもしかして可憐と同じ中学か?」
トン田「しかも可憐がそいつを襲って怪我させただと!?」
トン田「あいつ一言もそんな事言って無かったぞ──」
可憐(かれん)「お兄ちゃん・・・」
〇モヤモヤ
可憐(かれん)「本当だったんだ・・・。 私以外の女と行動してるって」
トン田「可憐。お前今日兄ちゃんに黙って何やってたんだ!?」
木下誠美(きのした なるみ)(ヒッ!? なんで刃物を持って──)
可憐(かれん)「私は! お兄ちゃんがやられたから来栖武司に復讐しようとしてたのに──!」
可憐(かれん)「なのに、お兄ちゃんは・・・そんな女と・・・」
可憐(かれん)「裏切り者ー!! もう誰も信じられない!」
可憐(かれん)「皆死んじゃえーー!!」
〇血しぶき
〇ネオン街
トン田「なっ!? お、お前・・・」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ば、バカじゃないの? たった一人のお兄ちゃんなんだから。それはやっちゃいけないでしょうが・・・うっ」
可憐(かれん)「あ、ああ・・・」
続く。
怒涛の展開!
サンタの話は事前に読んでましたが、そうか、来栖だ!
ここで繋がるんですね。おお…。
トン田と誠美ちゃんのエスパー能力発現には笑いましたが、これで収まるかと思いきや、可憐ちゃんの刃先が変わっただけという…まだまだドキドキの展開がおわりません!