城下町編 女生徒の夏季休暇2(脚本)
〇西洋の街並み
ダフィー「ケル!?」
ケル「元気そうだね、ダフィー」
ダフィー「え、いや、えぇ!?」
ダフィー「な、なんでここに!?」
ケル「・・・」
ケル「来ちゃった」
ダフィー「来ちゃった、で来れる場所じゃないよね!?」
ダフィー「グレイスから馬車で一日がかりだよ!?」
ケル「ダフィーが帰省するって聞いてたからね」
ケル「先回りしてみた」
ダフィー「えぇ!?」
ローディア「はて、婦人に無理を言ってついてきたのはどなたでしたでしょうか?」
ケル「──うっ!?」
ダフィー「あ、ローディアさん」
ダフィー「お久しぶりです」
ローディア「えぇ、お元気そうでなによりです、ダフネ様」
ローディア「学園では学力試験があったそうですが、問題無かったようですね」
ダフィー「はい、なんとか追試も無く」
ローディア「それはようございました」
ローディア「とても努力なされたのでしょう」
ローディア「・・・どなたかにも見習って貰いたい程ですね」
ケル「い、いや、私も結構頑張ってるよ、・・・ね?」
ローディア「さて、どうでしょうか?」
ローディア「来年、王立学園に入学した後、恥ずかしくない成績をとってほしいものですが」
ケル「わ、分かってるって!!」
ダフィー「ふふっ、がんばってね、ケル」
ケル「ほ、本当に大丈夫だって!?」
ダフィー「で、本当にタレイアを案内すればいいの?」
ダフィー「とは言っても何にも無いんだけどさ」
ケル「えっと、ローディ?」
ケル「今って・・・」
ローディア「そろそろご婦人が帰宅なされます」
ローディア「日を改めた方が良いでしょう」
ケル「ん、分かった」
ケル「そういう訳なんだけど、ダフィー」
ケル「明日は時間あるかな?」
ケル「一度帰らなくちゃ行けなくて・・・」
ダフィー「大丈夫だよ」
ダフィー「なら、また明日ね」
ケル「うん、また明日!!」
ローディア「ではこれで失礼致します、ダフィー様」
ダフィー「2人とも、またね」
ダフィー「それにしてもびっくりしたなぁ」
ダフィー「まさか2人が来てるなんて」
ダフィー「ま、私も早く・・・」
ダフィー「・・・あ!?」
ダフィー「ナフタル叔母様との約束!?」
〇西洋の街並み
〇西洋の街並み
〇暖炉のある小屋
ナフタル「こんにちは~」
ナフタル「今日も来たわよ~」
ナフタル「ダフネ、居るかしら~」
ダフィー「・・・おはようございます、ナフタル叔母様」
ナフタル「おはよう、ダフネ」
ナフタル「って、あら?」
ナフタル「表情が優れないけどどうかしたの?」
母「ふふっ、ダフィー」
母「ナフタルなら平気よ」
ナフタル「何なのかしら?」
ダフィー「実は、その・・・」
ダフィー「ごめんなさい!!」
ダフィー「実は今日、予定をいれちゃって・・・」
ダフィー「せっかく来てくれたのに・・・」
ナフタル「・・・なるほど」
ナフタル「やっぱり貴方は可愛いわねぇ、ダフネ」
ダフィー「え!?」
ナフタル「いいのいいの」
ナフタル「私よりもそっちの用事を優先なさいな」
ナフタル「私は会おうと思えばいつでも会えるのだから」
ダフィー「え?」
母「ふふっ、ほら行きなさいダフネ」
母「ナフタルなら大丈夫だと言ったでしょう?」
母「グレイスから友人が来ているのだから」
ダフィー「う、うん・・・」
ナフタル「・・・いってらっしゃい、ダフネ」
ダフィー「うん、行ってきます!!」
ダフィー「ナフタル叔母様、お話はまた聞かせてね」
ナフタル「さてさて」
ナフタル「子供が大きくなるのは早いわねぇ」
母「えぇ」
母「本当にね、ナフタル」
〇西洋の街並み
ダフィー「お待たせ、ケル!!」
ケル「おはよう、ダフィー」
ローディア「おはようございます、ダフネ様」
ダフィー「ごめんね、待たせちゃったかな?」
ケル「ううん、そんな事無いよ」
ケル「というか、私こそ無理言ってない?」
ケル「せっかく帰ってきてたんだから会う人が居たりとか・・・」
ダフィー「あー、それは大丈夫」
ダフィー「ちょっとお母さんの知り合いが来てた位だから」
ケル「え、良かったの?」
ダフィー「2人から行ってきなさい、って言われちゃった」
ダフィー「だから今日はしっかり案内するよ」
ダフィー「・・・とは言っても本当に何も無いんだけどさ」
ケル「タレイアって言えば、タリア湖?」
ダフィー「そうだね、まずはそこかなぁ」
ダフィー「こっちだよ」
ダフィー「とは言っても遠くからも見えるから分かるだろうけど」
〇湖畔の自然公園
ダフィー「ここがタリア湖だね」
ケル「ここが・・・」
ダフィー「ブランカ王国最大の湖、タリア湖」
ダフィー「山岳部からいくつもの河川が流入しており、また湖からは大河が海まで流れ出ている」
ダフィー「王国の農業用水の大半をこの湖がまかなっている」
ダフィー「特に大河の流域では肥沃な農地が築かれており、えー」
ダフィー「・・・あれ、どの国だったっけ?」
ダフィー「えー、とにかく他の農業大国には劣るものの豊富な農作物が・・・」
ケル「たぶんニグラ国かな?」
ダフィー「あ、そうそれ!!」
ダフィー「・・・って、やっぱりケルの方が詳しいね」
ダフィー「学園で頑張って覚えたんだけどなぁ・・・」
ケル「ううん、知識だけで知っててもやっぱりダメだよ」
ケル「こんなに綺麗な湖だなんて知らなかったから」
ケル「凄いね、湖の底まで見えるんじゃない?」
ダフィー「中央部はかなり深いから無理だよ」
ダフィー「一応溺れたりするから子供だけじゃ立ち入り禁止で、泳げる所も決まってるから」
ダフィー「奥の方はタレイアの人間でも立ち入り禁止の区域もあるからね」
ケル「・・・へ、へぇ~」
ダフィー「うん、何かの管理地?らしくて・・・」
ダフィー「許可を得てる人間以外は駄目だね」
ダフィー「だからそっちは何があるかは分かんないんだよねー」
ケル「だ、だったらそっちは別にいいよ」
ケル「他には、そう!!」
ケル「聞くところによると、釣りも出来るんでしょ?」
ダフィー「え、あぁ、そうだね」
ダフィー「流れがあるところが良いとかで大河への入り口辺りが人気だよ」
ケル「そっちも見てみたいな!!」
ダフィー「なら、行ってみようか」
ケル「そうしようそれがいいよ!!」
ローディア「はぁ・・・」
ローディア「あの方は、本当に・・・」
〇湖畔の自然公園
ダフィー「・・・そういえばそろそろ女王様の即位記念祭があるんだよね?」
ケル「え?」
ケル「あぁ、そうか」
ケル「ダフィーはグレイスで初めてだったね」
ダフィー「うん、具体的に何があるの?」
ケル「とは言ってもただの式典だよ?」
ケル「城下町ではお祭りがあるんだろうけど」
ケル「出店とか出るんじゃないかな?」
ダフィー「へぇ」
ケル「式典の方は女王への感謝、そして王国の発展と平和の祈り」
ケル「王城ではバルコニーから女王の挨拶があったりとか」
ケル「そっちは肩がこりそうなのばっかりだよ」
ダフィー「そうなんだ」
ダフィー「けど一度見てみたいなぁ、女王様」
ダフィー「女王様が学園を作ってくれたおかげで私は通えてるんだし」
ダフィー「グレイスに行ってケルやキリエとも仲良くなれたしね」
ケル「・・・」
ケル「うん」
ケル「凄い人なんだよ、本当に」
〇湖畔の自然公園
〇湖畔の自然公園
〇湖畔の自然公園
ダフィー「ってもう日が暮れてきちゃった!?」
ダフィー「まだタリア湖を案内しただけなのに!?」
ケル「さすが王国最大の湖」
ケル「1日見て回ってたらすぐだね」
ダフィー「ごめんね、ケル」
ダフィー「お弁当食べたとは言え、疲れなかった?」
ケル「大丈夫大丈夫」
ケル「今日は楽しかったよ」
ケル「せっかくだしもう少し・・・」
ローディア「いえ帰りますよケル様」
ケル「ローディ・・・」
ローディア「そろそろ婦人が戻られます」
ローディア「ダフネ様もご家族が心配なされるでしょうし」
ケル「・・・分かったよ」
ローディア「はい」
ダフィー「帰るんですね?」
ローディア「はい、今日はもうお暇させていただこうかと」
ローディア「本日はケル様にお付き合い頂きありがとうございました」
ケル「そんな子供みたいな・・・」
ローディア「帰る時間になって帰りたくないとダダをこねるのならば子供のようですが」
ケル「うっ・・・」
ダフィー「ふふっ、気を付けたくださいね」
ダフィー「あ、宿まで送りましょうか?」
ローディア「・・・いえ、せっかくの申し出ですが」
ローディア「もう日が暮れます」
ローディア「ダフネ様も早くご自宅にお帰りください」
ローディア「ご家族が心配なされますよ?」
ダフィー「・・・分かりました」
ダフィー「そういえば2人は明日は・・・」
ケル「ごめんね、明日は用事があるんだ・・・」
ローディア「婦人とですね・・・」
ダフィー「あ、そうなんですね」
ローディア「おそらくそのまま帰路となるので次に会うのはグレイスになるかと」
ダフィー「分かりました」
ダフィー「じゃあ、お二人とも改めて」
ダフィー「さようなら」
ダフィー「またグレイスで」
ケル「またね、ダフィー」
ローディア「えぇ、失礼致します」
ローディア「・・・さて」
ローディア「では帰りましょうか、ミケラノヴァ様」
ケル「はーい」
ローディア「言葉を無為に伸ばさ」
ケル「はい!!」
〇古い洋館
ローディア「・・・あちらもお帰りのようですね」
ナフタル「あらお帰りなさい、二人とも」
ケル「お、お母様!?」
ローディア「お帰りなさいませ」
ナフタル「2人も楽しんできたようね」
ナフタル「今回無理に着いてきた位ですし」
ケル「そ、それは・・・」
ナフタル「怒っているわけではありません」
ナフタル「楽しんできたのならなにより、それだけです」
ナフタル「・・・さ、早く行きましょう」
ナフタル「今日の夕食もきっと美味しいわよ?」
ナフタル「ローディア、貴方も休んできなさい」
ナフタル「ミケラノヴァは私が連れていくから」
ローディア「かしこまりました」
ケル「──え!?」
ナフタル「今日の話を聞かせて貰おうかしら?」
ナフタル「明日はタレイアについての授業、そしたらもう帰るのだからね」
ローディア「では私は失礼させて頂きます」
ケル「ロ、ローディ!?」
ナフタル「そんなに警戒しなくても本当に世間話をするだけですよ?」
ケル「は、はい・・・」
ナフタル「ふふっ、では行きますよ」
ナフタル「・・・そのダフネさんとやらの話をね」