幸せのハリボテ

komarinet

第四話 探偵事務所(脚本)

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〇空港ターミナルビル
栄田 栞里(あれは・・・ 駿のお父さんとお母さん!?)
栄田 栞里(この間スマホで話したばかりなのよ 見間違うわけない・・・!!)
栄田 栞里(あああマズい、こっちくる!)
栄田 栞里「─────っ」
栄田 栞里「・・・・・・・・・・・・」
栄田 栞里「え? 嘘。 気付いて・・・ない?」
栄田 栞里(どういうこと? 気付かなかったの? それとも気づかないフリ、なのかしら)
栄田 栞里「そうだ! さっきあの二人、 北陸行きの搭乗手続きにいたわよね」

〇空港のロビー
栄田 栞里(あー、違う航空会社かぁ)
栄田 栞里(同じ会社だったら顧客端末 触らせてくれるのになぁ・・・)
栄田 栞里(ああ、もう何考えてんの私!)
栄田 栞里(知らないままでいいって 決めたばかりじゃないの!)
栄田 栞里「・・・・・・・・・・・・」
栄田 栞里(でも今のが本当にご両親だったのか それだけは確かめたい)
栄田 栞里(そうだ! 聞くだけ聞いてみよう! で、ダメだったら潔く諦めよう!)
栄田 栞里(それならいいわよね)

〇おしゃれな受付
栄田 栞里(同じ業界だもの。 別に少し尋ねるくらい変じゃないわ)
栄田 栞里(さも当然のように振る舞えば 名前くらい教えてくれるはず)
栄田 栞里(問題は受付のメンツよね ベテランだったらマズいけど・・・)
栄田 栞里(新人っぽい気弱そうな男子! これはイケるかも!)

〇幻想2
栄田 栞里「ねえ、そこのあなた! ちょっといいかしら?」
  栞里は昨日の影響でバフがかかっていた

〇おしゃれな受付
空港地上職員「・・・・・・・・・」
栄田 栞里「あのー」
空港地上職員「あ、はい! すみません! 搭乗手続きでしょうか?」
栄田 栞里「ううん、違うの。 ちょっと尋ねたいことがあって」
栄田 栞里「私、スターダスト航空で キャビンをしている栄田と言います」
空港地上職員(うわっ、セカンドクラスの社員証!)
空港地上職員(中堅以上のキャビンさんだ・・・ 失礼がないようにしないと)
空港地上職員「お、お疲れ様です!」
栄田 栞里「さっきここへ来たご年配のご夫婦、 覚えてる?」
空港地上職員「あ、はい! 金沢空港への手続きをされていました」
空港地上職員「あのご夫婦がなにか・・・?」
栄田 栞里「ああ、多分知り合いだと思うんだけど ここ数年お会いしてなくて」
栄田 栞里「ご本人か確認したいのよ」
栄田 栞里「ほら、話しかけて人違いだったら 気まずいじゃない?」
空港地上職員「わかります」
栄田 栞里「申し訳ないんだけど 少し端末見せてもらっていいかしら?」
空港地上職員「もちろんです! ちょうど今画面に出ているこのお二人です」
栄田 栞里「ありがとう」
栄田 栞里(イケた!)
栄田 栞里(名前は古村泰志と古村美保 住所は船橋市×-○○-△、ね)
空港地上職員「会社違うと微妙に違いますよね わかります?」
栄田 栞里「ええ、それは大丈夫」
栄田 栞里「うーん。やっぱり人違いだったみたい ありがとうね、助かっちゃった」
空港地上職員「いえ。お疲れ様です」

〇空港の滑走路

〇飛行機内
栄田 栞里(泰志に美保・・・間違いない! 夫婦が偶然同じ名前なんて出来すぎてる)
栄田 栞里(きっと名字だけ変えて、詐欺を・・・)
栄田 栞里(って、何考えてんの私! 気にしないって決めたでしょ!)
栄田 栞里「・・・・・・・・・・・・」
栄田 栞里(あと少しだけ、調べてみよう・・・かな)

〇空
栄田 栞里(ご両親のことだけ・・・)
栄田 栞里(それだけ調べたらやめよう)
栄田 栞里(明日、東京に帰ったら・・・)

〇空

〇空

〇空港ターミナルビル
栄田 栞里「お疲れ様でしたー」
岡本 七菜「しおりん、おつー」
栄田 栞里「お疲れ様、七菜ちゃん」
栄田 栞里「あのね、七菜ちゃん。その・・・」
岡本 七菜「・・・・・・・・・・・・」
岡本 七菜「──」
岡本 七菜「しおりん! 次シフトが一緒になったら また、向こうでご飯に行こ?」
栄田 栞里「え? う、うん。いいけど」
岡本 七菜「────その時でいいよ」
栄田 栞里「・・・・・・うん」
岡本 七菜「今日はデートなのだ それじゃあ、しおりん。ばいにゃ──」
栄田 栞里(私が探偵事務所に行こうとしてるって わかったのかしら?)
栄田 栞里(やっぱり七菜ちゃんって ただ者じゃない気がするわ)

〇開けた交差点

〇商店街
栄田 栞里「えーと、確か名刺にあった住所は この辺りよね」
栄田 栞里(さらに一本路地裏に入る、と)
栄田 栞里「あ、あった! え? でもこれって・・・」

〇殺人現場
栄田 栞里「あ、怪しい・・・ でも看板もちゃんとある」
  堀田探偵事務所はこちら→
栄田 栞里「あー! 何止まってんの、私! ここまで来たんだから行くわよ!」

〇非常階段
栄田 栞里(非常口から入るのね 人目を避けるためかしら)
栄田 栞里(事務所はここの三階ね)

〇薄暗い廊下
栄田 栞里(なんだか不気味な雰囲気)
栄田 栞里(本当にちゃんとした 探偵事務所なのかしら)
栄田 栞里(七菜ちゃんは大手とか言ってたけど・・・)
栄田 栞里「あっ」
栄田 栞里「これは・・・色々大丈夫かしら」
???「どうぞ。ご予約の方ですよね」
栄田 栞里(わっ、監視カメラでもあったの!? 今の独り言、聞かれてないわよね・・・)
栄田 栞里「あ、はーい! 失礼します!」

〇応接スペース
???「どうも。あなたが15時ご予約の・・・」
栄田 栞里「あ、栄田 栞里と言います」
???「ふーん。ははーん。 なるほどなるほど」
???「今日は大阪便でしたか」
栄田 栞里「えっ!? あっ!? はい、確かに 関空から飛行機で帰ってきました、けど」
栄田 栞里「私・・・ネットから名前と電話番号で 予約しただけですよね?」
???「ははっ、まあ、そういう商売なんで!」
???「電話番号と名前があれば充分ですよ」
???「口座情報とクレジット系のデータは 取れますし。あとは芋づる式ですよ」
栄田 栞里「は、はあ・・・」
???「ちなみに下着のサイズは87・・・」
栄田 栞里「いいい言わなくていいですっ!」
栄田 栞里(探偵ってみんなこうなの!? 怖すぎる!!)
???「さて、今日のご依頼は恐らくご主・・・ おっと、これは失礼!」
???「七菜さんからのご紹介だったので 気合いが入りすぎてしまいました」
???「改めてまして、私ーーーー」
堀田 晴臣「ハルオミー・ホッターと申します!」
栄田 栞里(どうしてファーストネームから 先に言うの!?)
栄田 栞里「・・・・・・・・・・・・」
堀田 晴臣「あれ? おかしいな。七菜さんには 大爆笑だったんですが・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

〇空
栄田 栞里「ただいまー」

〇飾りの多い玄関
栄田 栞里「ごめんねー ちょっと会議が長引いちゃって」
栄田 美雪「お母さん、おかえり!」
栄田 栞里「ただいま、美雪」
栄田 美雪「・・・・・・・・・・・・」
栄田 栞里「ど、どうかした?」
栄田 美雪「お母さん、ぎゅーーーっ!」
  ポフッ
栄田 栞里「わっ、美雪! どうしたの?」
栄田 美雪「じゅーでんちゅーでーす」
栄田 栞里「充電? ごめんなさい 寂しかったのね」
栄田 美雪「違うよ! お母さん、元気ないから 美雪が元気を充電してあげるの!」

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コメント

  • 不安感を煽るような出来事と幸福感を得るような出来事との緩急が巧みで素晴らしい……!
    夫を疑わなくてはならない苦痛とストレスがシンプルに伝わってハラハラします😭
    会話の流れなども自然で、ノーストレスで読めてありがたいです☺️

  • また、うまい引きを~!(地団駄)
    休憩できないじゃないですか!w
    ホッターさん面白そうな人ですね😆七菜ちゃんにどんだけよわいのかwあらかじめしっかり警告して覚悟を決めさせてくれるのは誠実ですね。

  • 綺麗になったことがまさか調査で生きてくるとは🫢
    探偵の名刺はきっと夫に渡ってしまうのでしょうね。。
    毎回次が気になるのは引きのうまさだけではないのでしょうね。

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