異世界 怪人X

桜海(おうみ)とあ

異世界 怪人X(脚本)

異世界 怪人X

桜海(おうみ)とあ

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異世界 怪人X
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〇地球
  これは地球ではない地球の物語──

〇大きい展示場
暗黒の帝王「人間どもよ! この世の滅亡を愉しむがいい!」

〇渋谷駅前

〇公園通り

〇繁華な通り
暗黒の帝王「燃えろ! 燃えろ!」
「そこまでだ! 暗黒の帝王!」
怪人X「これ以上の悪事は、私が許さない!」
暗黒の帝王「誰だ!! 貴様は!」
怪人X「この星を守る、怪人X !!」
怪人X「地球を脅かす者は、誰だろうと許さない!」
暗黒の帝王「ぎゃあー!」

〇東京全景
暗黒の帝王「ぐぬぬ・・・おのれ、怪人X!」
暗黒の帝王「この世界の全てを終わらせてやる!」

〇地球

〇宇宙空間

〇宇宙空間
怪人X「はあっ、はあっ・・・」
怪人X「なんて奴だ 星ごと吹っ飛ばしやがった」
怪人X「私だけが、生き延びてしまった」
怪人X「私のせいで、人類を守れなかった」
怪人X「ちくしょう!!」
  そこにいるのは、誰?
怪人X「・・・誰だ? どこから声がしている?」
  ボクは星として生まれてきた
  そしてボクは滅びた
怪人X「お前、” 地球 ” なのか?」
  わからない、ボクの名前は
  わからない
  ただ
  生きたい・・・
  まだ生きたい
  その想いが、ボクの頭の中を
  ループしている
  生きたい・・・生きたい・・・
怪人X「そうだな。 まだ生きられた星だった」
怪人X「すまない」
  なら、助けて・・・
怪人X「助ける?  でももう星は消滅してしまったぞ」
  ボクは、また生まれる
  新しい星で今度こそ、
  ボクを救って──

〇地球

〇西洋の城

〇城の救護室
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「・・・」

〇貴族の応接間
サグ公爵「既に城下では王太子暗殺の噂が立っております」
リプレゼント教皇「・・・陛下」
リプレゼント教皇「王太子が暗殺されたとなれば、我が国の脆弱さを他国に知られることとなります」
リプレゼント教皇「停戦していた隣国が、この国へ攻め入るでしょう」
リプレゼント教皇「これは国を揺るがす、由々しき事態でございますぞ」
アウグスト王「捕まえた暗殺者は誰の仕業か、 まだ吐かぬのか?」
サグ公爵「それが・・・」
サグ公爵「先ほど牢屋で自害しました」
アウグスト王「なんと!」
サグ公爵「申し訳ありません」
アウグスト王「・・・何か手を打たねば」

〇美しい草原
怪人X「・・・ここか? 新しい地球は?」
ライム・ライカ「ぎゃー! 魔物だ!!」
怪人X「待て、待て、違う」
怪人X「私は怪人X。 この星を守るために、宇宙から来た」
ライム・ライカ「宇宙?」
怪人X「そうだ。空の先だ」
ライム・ライカ「怪人さん。強いならこの国を救えるの?」
怪人X「私は人間同士の争いには関わらない。 この星の危機が訪れた時だけに力を使うのだ」
ライム・ライカ「嘘つきだ! 本当は弱いんだ!」
怪人X「な! 何を言う!」
怪人X「私が本気になれば、この星など簡単に吹き飛ばしてしまうのだぞ!」
ライム・ライカ「この国は、もうすぐ戦争が始まるんだ」
ライム・ライカ「星を壊せるぐらい強いんだったら助けてよ!」
ライム・ライカ「ボクの家族を、この国を救ってよ!!」
怪人X「わかった。戦争を止めてやろう」
ライム・ライカ「ほんと?」
怪人X「ああ、約束する。 この国のみんなが明日も平和に生きられると」

〇山間の集落
怪人X「しかし、約束したとはいえ、果たして戦争を止めることなどできるのか?」
怪人X「戦争を仕掛けてきた敵国を全員抹殺すれば」
怪人X「それでは暗黒の帝王としていることは一緒ではないか!」
怪人X「戦争の根本を探らなくては・・・」

〇ヨーロッパの街並み
怪人X「あのー。すみません」
城下町の人「きゃー! 魔物よー!!」
「わーー!!」
「逃げろー!!」
城下町の人「殺されるー!」
怪人X「あ、いや! 怪しい者では!」
怪人X(困ったぞ。元いた地球では、人間は怪人を仲間扱いしてくれたのに・・・)
怪人X(新しい地球には、怪人がいないのか?)
???「あそこだ!」
騎士「魔物に向かい、一斉に矢を放て!!」
騎士「わあああ!」
怪人X「面倒なことになる前に、この場所から離れた方が良さそうだ」
怪人X「仕方がない・・・誰かをコピーするか」
魔道士「ぎゃーーー!」
怪人X (魔道士)「ふむ。この者のステータスは、魔道士か」
怪人X (魔道士)「この地球は魔法が使えるらしい」

〇西洋の城

〇城の救護室
怪人X (魔道士)(あの少年が次期国王)
怪人X (魔道士)(毒を盛られて死の底を彷徨っている)
怪人X (魔道士)(魔道士たちの治癒魔法でかろうじて心臓が動いているが、魔法が途切れれば死ぬ)
怪人X (魔道士)(戦争までの時間稼ぎのために生かしているのか?)
怪人X (魔道士)(気の毒だな・・・)
リプレゼント教皇「そこのお前、交代に来たのか?」
怪人X (魔道士)「・・・はい」
リプレゼント教皇「皆のマカが回復するまで、1人で頑張れるな」
怪人X (魔道士)「・・・御意」
怪人X (魔道士)「周りに誰もいなくなった・・・」
怪人X「さて、この少年を救い、戦争を止めようか」

〇モヤモヤ
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「父上、母上、メリッサ」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「どうして誰もいないのだ?」
怪人X「少年」
怪人X「お前を助けにきた」
怪人X「さあ、私の手を取るのだ」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「あなたは誰だ? 敵か? 味方か?」
怪人X「私は怪人X。 この星を救いに来た」
怪人X「まず最初に、お前の命を救ってやることに決めたのだ」
怪人X「さあ、少年、私の手をとれ」
怪人X「この暗闇から抜け出すぞ」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「・・・わかった。あなたを信じよう」
怪人X「これは!!」

〇城の救護室
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「・・・んんっ」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「ここは・・・」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「ボクは、生き返ったのか?」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「先ほどの魔物は?」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「いるわけないか。夢だったのだな・・・」
「おーい!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「ん?」
「ここ、ここー!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「ええー!」
怪人X「なんだか知らないが、少年と握手をした途端、変化したのだ」
怪人X「おそらく少年の深層心理に入り込んだせいで、この星の形に組み替えられたのだろう」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「そうか。鳥になってしまうなんて驚いたぞ」
怪人X「人間がよかったのに」
「ぎゃー! 鳥がいるー!」
「殿下から離れなさい!」
怪人X「この私が少年の命を救ったというのに!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「メリッサ! 落ち着け!」
メリッサ「殿下! 目を覚まされたのですね!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「この鳥がボクの命を運んできてくれたのだ」
メリッサ「この汚らしい鳥がですか?」
怪人X「なんだと!!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「この青い鳥はボクの命の恩人である。 丁重に扱え」
メリッサ「かしこまりました」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「それと、まだ誰にも息を吹き返したと告げるな」
メリッサ「しかし殿下、 もう犯人は逮捕されましたよ?」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「用心に越したことはない」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「それと、この鳥のために食べ物を持ってくるように」
メリッサ「かしこまりました。鳥の大好物をご用意いたしますね♪」
怪人X「あの娘、私の食事に毒を盛らないか心配なのだが」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「はっはっ。 メリッサが? その心配はない」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「彼女はボクの乳母だ。 そしてボクが一番信頼している女性だ」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「安心したまえ」
怪人X「少年よ。何故生き返ったことを皆に告げないのだ?」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「・・・それは」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「まだ真犯人は捕まってないからだ」

〇謁見の間
「ボクは、13歳の洗礼を受ける聖現祭で出された葡萄酒を飲んだ途端、意識を失った」
「儀式のために使う葡萄酒は、この国の教皇が用意したものだ」
「そして使用するグラスは、公爵家から贈られたものを使った」
「教皇、公爵家、双方が王に不満を抱いており」
「水面下でキナ臭い動きをしていると、間者から耳に入れていた」
「双方にボクを殺す動機がある」

〇城の救護室
怪人X「少年は内部の犯行を疑っているのだな?」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「隣国の犯行と思わせて父上を動かし、戦争を企てている者がいる」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「戦争が起きれば、街は貧困に苦しみ暴動が起きる。すれば王政は脆くも崩れるだろう」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「その時に王の椅子に座るため、仕掛けたのやもしれん」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「ただ、どちらが黒なのか・・・」
怪人X「それは私が調べよう。 鳥ならどこでも行けるからな」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「ありがとう。怪人X」
怪人X「気にするな。この星を救う前のウォーミングアップだ」

〇貴族の応接間
アウグスト王「やはり戦争しか道はないのか」
サグ公爵「苦渋の決断ではありますが・・・」
サグ公爵「軍の準備を──」
リプレゼント教皇「・・・」

〇城の救護室
怪人X「───という感じだ」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「そうか、ありがとう」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「褒美だ。たんとお食べ」
怪人X「ぎゃあー!!」
怪人X「私は虫は食べない!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「せっかくメリッサが、捕まえてくれたのだ 新鮮だぞ!」
怪人X「新鮮でも! 食べないの! 炒飯とかラーメンとかないのか?」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「なんだそれは?」
怪人X「・・・そういえば、この星の食べ物の知識は疎いな」
怪人X「少年が食べるものと同じものを準備するといい。おそらくそれが、正しい食事だ」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「そうか、わかった」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「あと。ボクの名はアンセムだ」
怪人X「ではアンセム。そのパンを少しくれないか」
怪人X「うんま!!」
怪人X「この星の食べものも、なかなかだな」

〇貴族の応接間
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「失礼する」
アウグスト王「アンセム!」
アウグスト王「具合は、大丈夫なのか?」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「ご覧の通り、回復いたしました」
リプレゼント教皇「殿下!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「リプレゼント教皇。魔法のおかげで、復活できました」
リプレゼント教皇「ご息災で、何よりと安堵しています」
サグ公爵「あの毒が癒えたのですか」
サグ公爵「さすがは教皇の魔道士たちですね」
騎士「ご報告いたします。早馬の連絡によると、北東より敵の軍勢が近づいております!」
騎士「その数、10万」
アウグスト王「10万!  今から兵を集めても3万にも満たぬぞ!」
リプレゼント教皇「陛下。ここは教会の者たちで城を守ります」
リプレゼント教皇「故に、陛下は進軍の指揮を」
アウグスト王「では城は教皇に任せよう」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「お待ちください! 父上!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「先陣を切って、王の陣が出るのは得策とは思えません」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「ここは、先陣に遠距離攻撃に長けた教皇の率いる魔法士たちに出ていただく方が良いかと」
リプレゼント教皇「殿下、ここは大人の場。チェス盤ではありませんよ」
アウグスト王「心配するな。無事帰還するから、お前はベッドに戻りなさい」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「しかし!!」
メリッサ「さあ、殿下。病み上がりですので、そろそろお部屋に戻りましょう」

〇洋館の廊下
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「なんということだ。戦争が始まってしまった!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「止めねばならぬのに、子供の僕では何もできないなんて!」
怪人X「少年、どうするつもりだ?」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「お願いだ! 君の力を貸してほしい」
怪人X「・・・」
怪人X「私は、人と人の戦いには関与しないと決めている」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「ならどうしてボクを助けた! 見殺しにすればよかったじゃないか!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「生き返ったのに戦争が始まってしまうのなら、ボクはなんのために生き返ったんだ!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「・・・」
怪人X「このような結果になるとは思ってなかったのだ」
怪人X「これは私のミスだ」
怪人X「だから、力を貸すのはこれきりだ」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「ありがとう!」
怪人X「しかし残念ながら、この鳥の身体から解放される方法がわからない」
怪人X「だから」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「腕輪?」
怪人X「この腕輪に私の力を入れた」
怪人X「これで君にも私の力が使えるはずだ」

〇戦場
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「城壁が破られている・・・」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「こんなに早く攻めてきているのか」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「父上・・・助けに参ります!」
アンセム「・・・」
怪人X「失敗したら星ごと吹っ飛ぶからな」
アンセム「ええー!」
怪人X「ファイト」
アンセム「他人事感・・・」
敵「うおおー!!」
アンセム「これ以上の侵攻はやめろ!」
アンセム「今すぐ撤退するんだ!」
アンセム「さもなければ・・・」

〇山並み

〇戦場
怪人X「あの山のように吹き飛ぶぞ!」
敵「・・・」
敵「ヒソヒソ」
敵「撤収! 退却せよー!!」
怪人X「っほ。よかった。無視されたらどうしようかと考えていたところだった」
怪人X「山一つ吹っ飛んだがな」
怪人X「・・・テレッ!」

〇西洋の城

〇謁見の間
リプレゼント教皇「無事帰還するだと? バカが!」
リプレゼント教皇「王も公族も爆撃の雨の中、死ぬのだ」
リプレゼント教皇「流石に10万の敵襲に勝てはしまい」
リプレゼント教皇「あとはリリック王国との打ち合わせ通り、国の玉座を明け渡し」
リプレゼント教皇「教皇である私が、天下を取る!」
リプレゼント教皇「ついに玉座に座る日が来た!」
アウグスト王「教皇、そのような企みであったか」
リプレゼント教皇「なぜここに!」
アウグスト王「なぜ? 戦争が終結したからである」
リプレゼント教皇「まさか! そんなはずが!」
アウグスト王「敵襲は去った。残る膿も出し切らねばなるまいな」
リプレゼント教皇「お、お待ちください陛下! これは何かの間違いでございます!」
リプレゼント教皇「私に憑き物がついていたのでしょう!」
リプレゼント教皇「つい先ほど、この世のものとは思えぬ魔物が、城内に侵入したとの報告がございました!」
アウグスト王「ほお、聖職者ともあろうものが、憑き物がついた? 魔物のせい?」
アウグスト王「偽聖職者をこの国に置いておく訳にはいかない」
アウグスト王「今すぐ追放せよ!」
リプレゼント教皇「お待ちください!! 陛下ー!」

〇けもの道
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「・・・」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「怪人X・・・」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「君のおかげで、この国の平和が取り戻せた!」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「力を貸してくれてありがとう!」
怪人X「それじゃあ、私は旅に出るとしよう」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「え! もう行っちゃうの?」
怪人X「ラーメンが恋しいのだ」
アンセム・ハインリッヒ・アウグスト「そうか、残念だが。 旅立ちを見守るとしよう」
怪人X「じゃあな。少年」

〇空
怪人X「次は猫耳メイドがいる国だといいな・・・」
怪人X「あ、腕輪回収忘れた!」
  ── fin  ──

コメント

  • 地球とはちがう地球のような国があるという冒頭から、読み進めながら怪人Xの動きがよく想像できました。最後の彼の言葉から、やはり私達の地球が一番のお気に入りだということが伝わり嬉しくなりました。

  • 開始早々に地球が滅んでて笑いました🤣
    怪人Xの台詞センスが面白かったです!ラーメンとメイドがいる国...一つしか思いつかない...

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